ディズニー、かつて“ディズニー版スマブラ”を本気で試作していた。初代『キングダム ハーツ』大ヒットから生まれた、幻のクロスオーバー大乱闘

ディズニーがかつて、『大乱闘スマッシュブラザーズ』のようなクロスオーバー対戦ゲームを企画していたことが、元開発者の証言からあらためて明らかになった。

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ディズニーがかつて、『大乱闘スマッシュブラザーズ』のようなクロスオーバー対戦ゲームを企画していたことが、元開発者の証言からあらためて明らかになった。仮題は「Disney’s Action Figure Face Off」。初代『キングダム ハーツ』の成功を受けて生まれた企画だったといい、実際にプロトタイプ制作まで進んでいたという。海外メディアTime Extensionが報じている

クロスオーバーに難色、『キングダム ハーツ』開発初期の壁

当時の経緯を明かしたのは、ディズニーのゲーム事業を手がけていたディズニー・インタラクティブの元コンセプトアーティストKen Christiansen氏だ。同氏は初代『キングダム ハーツ』にも参加しており、ドナルドとグーフィーの衣装案や、モンストロのステージに向けたコンセプトアートなどを手がけていたという。

『キングダム ハーツ』シリーズは、主人公「ソラ」がドナルドやグーフィーとともに、さまざまなディズニー作品を題材とした世界を巡るアクションRPGだ。シリーズ第1作は当時のスクウェアより、2002年3月28日にPlayStation 2向けに発売された。複数のディズニー作品のキャラクターや世界を、ひとつのゲーム内で扱うクロスオーバー作品だが、Christiansen氏によれば、開発当初のディズニー側はこうした作品の垣根を越えた展開に慎重だったという。

同氏は、開発を進めるうえで難しかった点のひとつとして、たとえば「ライオン・キング」のキャラクターが「リトル・マーメイド」の世界に入り込むような、作品同士が交わる可能性をディズニー側が受け入れにくかったことを挙げている。特にディズニーの米国側がこうしたクロスオーバーに抵抗を示していたといい、制作側との間では多少の衝突もあったそうだ。一方で、Christiansen氏を含むアーティストやプロデューサーらは、さまざまな作品を横断させるアイデアを歓迎していたとのこと。

『KH』大ヒットで一転、“ディズニー版スマブラ”始動

『KINGDOM HEARTS -HD 1.5+2.5 ReMIX-』

そうした懸念を抱えながら発売された初代『キングダム ハーツ』は世界的なヒット作となり、その後もシリーズ展開を重ね、シリーズ累計販売本数3900万本以上を記録している。Christiansen氏によると、初代の成功を受けて、ディズニー側のクロスオーバーに対する姿勢も軟化。異なる作品のキャラクターを共演させる新たな企画が社内で持ち上がるようになり、そのひとつとして生まれたのが「Disney’s Action Figure Face Off」だったという。

「Disney’s Action Figure Face Off」では、ディズニーキャラクターを「アクションフィギュア」として扱い、そのフィギュア同士を戦わせるという設定が考えられていたという。「トイ・ストーリー」のようにキャラクターを“おもちゃ”として扱う発想を取り入れ、「ターザン」「ライオン・キング」「トレジャー・プラネット」など、さまざまなディズニー作品のキャラクターを集めた『大乱闘スマッシュブラザーズ』風のゲームにする構想だったようだ。

実際、Christiansen氏が過去に公開したコンセプトアートでは、フック船長と野獣が対峙する姿なども描かれており、単にディズニー作品を集めるだけではなく、キャラクター同士の戦闘そのものを中心とする企画だったことがうかがえる。またChristiansen氏は、当時ディズニー社内でゲーム企画を売り込む際の様子についても明かしている。企画では、大量のアートやロゴを貼り付けた巨大なプレゼンテーションボードが用意され、横幅は約1.8~2.4m、高さは約1.2mにも及んだという。そうした大きなボードを前に、幹部へゲームの内容を説明していたそうだ。

プロトタイプまで制作、それでも“幻”に終わった理由

『Disney•Pixar Cars』

ただし、「Disney’s Action Figure Face Off」が製品化されることはなかった。Christiansen氏によれば、企画はプロトタイプ段階まで進んだものの、ディズニー側が映画やテレビ作品とのタイアップゲームなど、より手堅いタイトルに注力する方針を取ったため、中止されたという。当時は「トレジャー・プラネット」「アトランティス」「キム・ポッシブル」など、映画やテレビ作品に紐づくゲーム企画には予算が付きやすかったとのこと。クロスオーバーへの姿勢が変わりつつあった一方で、こうした新規企画を製品化するまでの壁はなお高かったようだ。

なお、「Disney’s Action Figure Face Off」の存在そのものは、今回初めて明らかになったわけではない。2013年には、Christiansen氏のポートフォリオで公開されていた本作のコンセプトアートを、SiliconeraNintendo Lifeといった海外ゲームメディアが取り上げ、ディズニーキャラクターのアクションフィギュア同士を戦わせる『大乱闘スマッシュブラザーズ』風の企画として紹介していた。

一方で、当時分かっていたのは、主に“企画の存在”と“コンセプトアート”まで。なぜこのゲームが企画されたのか、どこまで開発が進んでいたのか、なぜ中止されたのかといった詳しい経緯は明かされていなかった。今回のインタビューでは、Christiansen氏本人の証言によって、20年以上前に進められていた幻の企画の経緯があらためて具体化したかたちだ。

幻の企画から約20年、ソラは本家『スマブラ』へ

『Disney Infinity 2.0: Gold Edition』

ちなみにChristiansen氏も言及しているように、ディズニーはその後、複数作品を横断する『ディズニー インフィニティ』シリーズを展開。同シリーズの「Toy Box」モードでは、異なる作品のキャラクターを同じ空間で遊ばせることができ、『2.0』ではマーベル、『3.0』ではスター・ウォーズも加わるなど、作品の垣根を越えたクロスオーバーを広げていった。

さらに2021年には、『キングダム ハーツ』の主人公ソラが、『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』最後の追加ファイターとして、本家『スマブラ』への参戦を果たしている。幻の“ディズニー版スマブラ”こそ実現しなかったものの、その誕生につながった作品の主人公が、約20年後に本家の舞台へたどり着いたのは、なんとも数奇な巡り合わせと言えるだろう。

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Junya Shimizu
Junya Shimizu

ローグライクが大好きです。映画や海外ドラマも好きなので、常に時間に追われています。

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