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『DOOM』を生んだ老舗id SoftwareにもXBOX大規模レイオフの影響及ぶ。本部の内製エンジン担当チームに“1人しか残ってない”と報じられるも、マイクロソフトが否定
テキサス拠点のゲームエンジン「id Tech」を担当するチームでは、“1人を除いた全員”がレイオフされたという。

マイクロソフトは現地時間7月6日、全社にわたり、約4800人規模のレイオフを実施した。XBOX部門においては当日に約1600人がレイオフされ、老舗スタジオid Softwareの本部であるテキサス拠点もその対象となっていた。これにより、テキサス拠点のゲームエンジン「id Tech」を担当するチームでは、“1人を除いた全員”がレイオフされたという。海外メディアKotakuが関係者による証言をもとに報道。一方でマイクロソフトがこの報道を一部否定している。
id Softwareはテキサスに拠点を置くゲーム開発会社だ。1991年にJohn Carmack氏やJohn Romero氏ら4名によって設立。『Wolfenstein 3D』『DOOM』『Quake』など、のちにFPSの金字塔とも呼ばれる作品を手がけ、FPSの黎明期を築いた。同社ではその後、これら3作のシリーズを軸に開発を続け、2009年にはZeniMax Mediaの傘下に。2021年3月にマイクロソフトがZeniMax Mediaを買収したことで、現在はXBOX部門に属している。

マイクロソフトのレイオフでは、多くの傘下スタジオが影響を受けており、『Psychonauts』シリーズのDouble Fineは再独立、『Hellblade』シリーズのNinja Theoryは新たなオーナーのもとへと移ることが決定(関連記事)。また『The Outer Worlds』などを手がけたObsidian Entertainmentでも約4分の1のスタッフがレイオフ対象となり、『Avowed』の続編を含む未発表のプロジェクトが開発中止となったことが関係者の証言として伝えられた(関連記事)。
そしてWARN(Worker Adjustment and Retraining Notification)通知の情報から、ZeniMax Mediaではテキサス州にて158人が、メリーランド州379人がレイオフされたことが判明。この中にはBethesda Game StudiosやZeniMax Online Studiosなどのスタッフも含まれている。これにより、たとえば今年4月にシーズン制に移行したばかりの『The Elder Scrolls Online』では、さっそく開発ロードマップの見直しに迫られている(関連記事)。
一方で、テキサス州の158人のうち96人は、id Softwareテキサススタジオの従業員だという。加えて同スタジオでは40人のリモートスタッフもレイオフされたとのこと。同社に21年以上在籍していたシニアゲームプレイシステムプログラマーのMichael Maynard氏や、プリンシパルVFXアーティストのDerek Best氏など、長年同社に在籍したベテランたちもレイオフの対象となったことを公表している。

これにより、同社の内製ゲームエンジン「id Tech」のチームは特に大きな打撃を受けていることが報じられた。このゲームエンジンは、のちに「id Tech 1」と呼ばれる『DOOM』向け「Doom Engine」に始まり、世代を重ねながら同社の作品を支えてきた。シリーズ最新作『DOOM: The Dark Ages』には「id Tech 8」が使われている。また外部スタジオにおける活用例も多く、「id Tech 3」は初代『Call of Duty』に、「id Tech 5」はTango Gameworksの『サイコブレイク』に、それぞれ独自改良された上で採用された。
当初Kotakuが関係者の証言として、id Softwareのテキサスオフィスの「id Tech」チームのメンバーは1人しか残っていないと報道。また、同スタジオがレイオフされたスタッフに頼らずにゲームエンジンにパッチを当てることができるのかわからないという。この関係者は、「技術としてのid Techはおそらく永遠に死んだ」とKotakuに話した。しかしマイクロソフトはこの報道を否定しており、複数の拠点で数十人のスタッフがid Techに取り組んでいるとコメントしているとのこと。またテキサススタジオのチームに1人しか残っていないという証言も事実と異なるという。

なおid Software自体はドイツ・フランクフルトにもスタジオを持っており、テキサスオフィスの拡張拠点という位置づけだ。『DOOM』やZeniMax Media傘下のスタジオで開発中のほかのゲームに向けた、id Techを含む技術開発および開発ツール群の保守などがおこなわれているという。先述したマイクロソフトの反論も踏まえると、id Techの保守・開発については、今後はフランクフルト拠点も含めた複数のスタジオで続けられる可能性がある。
ただXBOX部門では本会計年度中にさらに約1600人のレイオフを予定していることが明らかになっている。今後もid Softwareを含めXBOXリセットの影響が及ぶ可能性はあるだろう。
ちなみに先日にはid Softwareの創設者を含む元スタッフらが、『Quake』開発当時の状況を振り返る一幕も見られた(関連記事)。今回のレイオフについても創業者たちは反応を見せており、John Romero氏はレイオフ対象者に同情を示した上で、id Softwareの歴史はゲームの歴史としても重要であるとして、保存するべきとの考えを示した。またJohn Carmack氏は、id Softwareはマイクロソフトの視点では「採算がとれない事業(marginal business)」だったのではないかとの見解を示していた。とはいえ、先述したようにマイクロソフトによれば「id Tech」の開発には複数の拠点が取り組んでいるとのこと。ただレイオフが傘下スタジオに及ぼした正確な影響や、今後のさらなる人員削減を含めて、動向は注目されるところだろう。
【UPDATE 2026/7/10 15:16】
マイクロソフトの声明を踏まえて、本文および記事見出しを調整
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