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オープンソースのゲームエンジン「Godot」、“生成AIを用いた開発参加”を制限へ。管理の負担もすごいし、コミュニティが育たないので
オープンソースのゲームエンジン「Godot Engine」の運営元は現地時間6月30日、Godotのコントリビューター向けガイドラインを近く改訂すると発表した。

オープンソースのゲームエンジン「Godot Engine」(Godot)の運営元は現地時間6月30日、コントリビューター向けガイドラインを近く改訂すると発表した。これにより、生成AIをもちいたコントリビューションには一定の制限が加えられる見込み。Godot Engineの開発においては、生成AIを用いたプルリクエストが急増しており、質の低いコードがレビュアーの業務を圧迫していることが問題視されていた。
Godot Engineは、PC/モバイル/Web向けゲームおよびアプリを制作できる2D/3Dゲームエンジンだ。オープンソースとして提供され、完全無料で利用可能。開発を支えるためのコストは寄付によって賄われている。近年インディーゲームを中心として採用例が増えており、大手スタジオでも用途に応じて用いられることがあるゲームエンジンだ(弊誌インタビュー記事)。
Godot EngineはGitHub上でバージョン管理されており、ユーザーは誰でも自由に提案することができる。またディスカッションに参加したり、プルリクエストによって変更を申請することも可能。プルリクエストはコントリビューターなどによって内容が確認され、承認されれば指定のブランチにマージ(統合)される仕組みだ。

一方でこうしたユーザー貢献型の開発コミュニティにおいて、近年はLLM(大規模言語モデル)などの生成AIを用いたプルリクエストが急増していると報告されている。それらのなかには、意味不明な内容や過度に冗長な説明文、投稿者自身が変更点を把握していないケースなど、質の低いプルリクエストも多く、妥当性を判断するレビュアーを疲弊させているとして問題視されていた(関連記事)。
こうした背景からGodot財団は6月30日、数か月にわたる議論の末、Godotのコントリビューター向けガイドラインを近く改訂すると発表した。新たなガイドラインでは、AIが生成したコード、AIエージェントによるプルリクエストの提出に加え、人間同士のコミュニケーションにおけるAI生成テキストの利用も禁止される。
財団は、プルリクエストの増加自体は、人々のGodotへの貢献意識が高まっている兆候だとして歓迎しながらも、その膨大な件数に対して資格のあるレビュアーの数が不足しており、対応が不可能になりつつあると背景を説明。さらに、本来レビューには新たなコントリビューターを育成し、将来のレビュアーやメンテナーへと成長を促す役割があったが、現在はフィードバックを返してもただAIに吸収されるだけだとも指摘。こうした状況はレビュアーたちの士気を低下させ、開発に悪影響を与えているという。
財団は、すべてのコントリビューションは、自身のコードに責任を持ち必要に応じて修正できる意思と能力を持った人間によっておこなわれるべきだと、方針を明確にした。その理由について、AIは責任を負うことができないほか、AIを頻繁に使用するユーザーも、自分のコードを十分に理解して修正できるとは限らないためと説明している。

改定後のガイドラインでは、自立型AIエージェントの使用や、バイブコーディングが禁止される。また、AIによるコード生成も認められず、提出するコードはすべて人間が作成したものであることを必須条件とした。一方で、コード補完、正規表現、検索・置換といった単純な作業については、限定的にAIの使用も認めるとしている。そして、コードの作成過程でAIを使用した場合はプルリクエストの議論内でその事実を明記することも義務付けた。
また、人間同士のコミュニケーションにおいても、生成AIが作成した文章を使用することを禁じた。プルリクエストなどのレビューは、メンテナーがボランティアとして担っており、彼らはAIではなく人間との対話を望んでいると財団は説明。これはレビュアーへの敬意という基本原則だと理由を語った。ただし機械翻訳については、元の文章が人間によって書かれている場合は引き続き利用が認められるという。
Godot財団は日々変化するAIツールを巡る状況に対して、引き続き保守的なアプローチを維持するとしつつも、今後の状況に応じて再評価をおこなうとしている。生成AIの発展によって、ゲーム開発やゲームエンジンへの貢献の間口が広がった一方で、コーディングを深く理解していないユーザーによる安易なプルリクエストの増加は、以前より問題視されてきた。一例として、GitHubでは低品質なコントリビューションの増加に対応するため、今年2月にリポジトリごとにプルリクエストの作成を制限または無効化することができる機能を実装している。。こうしたなか、Godot Engineも生成AIによるコントリビューションに制限を加える方針を示した格好だ。AI時代の新たなガイドラインのもとで、Godotがどのように発展を続けるのかは注目される。
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