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Steamで「AI生成コンテンツの使用開示」に記載がある場合、レビューが少なくなるというデータ分析報告
Steamでは、「AI生成コンテンツの開示」がある作品でレビューが少なくなる可能性を示す分析が改めて話題になっている。

Steamでは、開発時やゲームの実行に生成AIを用いるタイトルについてストアページ内に「AI生成コンテンツの開示」というセクションがあり、どのように生成AIが利用されるかユーザーが確認できるようになっている。そんなSteamでの生成AIの利用に関して、ゲーム市場分析サイトGame Oracleの創設者Ross Burton氏が昨年12月に、「AI生成コンテンツの開示」があるとレビューが少なくなる可能性を示す分析を発表していた。海外メディアのDualShockersが6月23日に引用する形で報道し、再度話題となっている。
2023年においてValveは、デベロッパーがAI技術を活用すること自体は問題ないものの、他者の著作権を侵害するコンテンツは認められないとしており、AIの訓練データにおいて著作権侵害を理由に訴訟が起きている背景などを踏まえ生成AIを利用したゲームの取り扱いには慎重な姿勢をとっていた。しかし、2024年1月10日には方針を変更し、ゲームの開発(事前生成)および実行(ライブ生成)において、どのようにAIが使用されているかを開発者に説明させ、その開示情報をもとに審査をおこなうとした。これに伴って、ストアページにどのように生成AIが利用されているかが明記されるようになり、ユーザー側も作品への生成AI技術の用いられ方を把握することができるようになっている(関連記事)。

このようなシステムとなったあと、生成AIの利用を報告するゲーム数は急増。本稿執筆時点ではSteam全体でストアページ内に「AI生成コンテンツの開示」を含むゲームは、未発売作品も含めて約2万本。2024年には約2200本、2025年には約4700本、2026年も未発売作品も含めると約4700本と年々大きく増加していることがうかがえる。また、全体のゲーム本数と比較すると2024年は約12%、2025年は約22%、2026年は暫定ながら約34%と、「AI生成コンテンツの開示」があるゲームの比率も上昇している(SteamDB)。なおSteamでの「AI生成コンテンツの開示」は、ローカライズや宣伝素材などに生成AIが使用されている場合にも必要となる点には留意したい。
生成AI利用が活発化の一途をたどるなか、2025年12月17日にゲーム市場分析サイトGame Oracleの創設者Ross Burton氏が「AI in Games: The Impact On Sales(ゲームにおけるAI:売上への影響)」というレポートを発表している。同氏は計算免疫学の博士号を有しており、機械学習やデータ解析などを用いた研究経験を活かして、今回の分析をおこなったようだ。
「AI生成コンテンツの開示」があると、レビューは少なくなる?
| AI使用ゲーム | AI非使用ゲーム | |
| レビュー数の中央値 | 4 | 7 |
| レビューが0件の割合 | 19.8% | 15.2% |
| レビューが100件未満の割合 | 91.7% | 94.9% |

Burton氏のレポートでは、2025年1月〜10月にリリースされた有料のゲームが対象になった。異様に高額なゲームを販売していたり、短期間でゲームを多数販売したりしているような外れ値となるようなデベロッパーを除外した、9879本のゲームを分析。そのうち17.9%が「AI生成コンテンツの開示」を含んでいたそうだ。単純な統計値を比較すると上記の表のように、生成AIを使用しているゲームの方がレビュー数の中央値が低く、またレビューが0件の割合が高い。また、100件以上のレビューを集めているゲームの好評率の中央値についても生成AIを使用するゲームでは84.6%であるのに対し、生成AIを非使用のゲームでは88.3%であるという差が確認できる。

とはいえ、レビュー数の差に影響する要因は、「AI生成コンテンツの開示」があるかどうかだけではないだろう。そこで次にBurton氏は上の図のように各要素の因果関係をもとに統計モデルを構築した。モデルを使用し、同じタイプのゲームで発売時期も同じ、開発経験やパブリッシャーの支援状況も同様とした場合、生成AIを使用することは発売後1か月間で得られるレビュー数にどのような影響を与えるのかを分析。影響を算出したところ、「AI生成コンテンツの開示」がある場合レビュー件数が約53%減少するとの推計が得られたとのこと。
ただこの結果も鵜呑みにはできないという。このモデルは「AI生成コンテンツの開示」の影響が大きいことを示すとともに、未測定の要因による“ノイズ”の影響が大きかったそうだ。Burton氏は続いて開発者のスキルやマーケティング規模など正確な数値化ができていない未測定要因を仮想的な「Xファクター」として設定。Xファクターが生成AIを採用する可能性とレビュー件数の双方に影響を与えると仮定した際に、「AI生成コンテンツの開示」によるレビュー現象の推計がどの程度変化するのかを感度分析と呼ばれる手法で先述した53%という数値の頑健性を検証した。結果として同氏は、「AI生成コンテンツの開示」がある場合レビュー件数が約53%減少するとの推計について、中程度には頑健であると結論付けている。
それぞれBurton氏の統計モデルによる推計であり、また頑健性も中程度という点には留意したいものの、「AI生成コンテンツの開示」がある場合レビュー件数が少なくなるとの分析が報告されていた点は興味深い。レビュー件数はかならずしも売上に直接関係するわけではないとはいえ、作品がユーザーに遊ばれ、フィードバックを得られているかを示す重要な指標だろう。少なくともレポートの分析期間であった2025年1月〜10月には、「AI生成コンテンツの開示」が作品のレビュー投稿数に影響をもたらしていた可能性がうかがえる。Burton氏は今回の検証では未測定要素がさまざまあり、推計にバイアスが存在する可能性があることを強調しつつも、現状では多くのデベロッパーにとって、現時点では生成AIを用いることはマイナス要因になりうるのではないかと推察している。
風当たりもありつつ、活用される分野も
昨今ではユーザーやクリエイター間で、特にアートワークなどに生成AIを利用することへの風当たりが強い傾向にある。たとえば開発中のプレースホルダーとしてアートなどに生成AIが用いられ、置き換えを忘れたまま作品がリリースされた場合などには、批判が噴出する事例も見られる。またたとえばゲーム開発者会議Game Developers Conference(GDC)が毎年実施している業界の調査レポート「STATE OF THE GAME INDUSTRY」では2026年、52%が「生成AIがゲーム業界にネガティブな影響を与えている」との回答を寄せた(関連記事)。

一方で企業が生成AI使用についてのポリシーを定める傾向は業界で強まっているほか、メール作成・スケジューリングなどの日常業務やコードアシスタント、プロトタイピングには一定の活用がおこなわれている傾向も見受けられる。生成AIの利用に対するネガティブな意見の根底には、学習データを巡る権利上の懸念や、雇用・製作体制への影響の不安があるとみられ、まずはそうした批判を比較的受けにくい分野での利用が進められているのかもしれない。
実際、Unreal EngineやUnityといったゲームエンジンには、AIを活用した開発支援ツールが導入。さらにSteamでも、今年1月からは開発作業の効率向上のために使用されるそうしたAIツールに関しては、情報開示や審査におけるアンケートでの報告が不要であることが明示されていた(関連記事)。
なお今回のBurton氏もレポートの最後に、生成AIは“小屋を建てるときに使う金づち”のようなツールであり、避けるべきものではないと言及。ただし慎重に向き合うべきであり、なんでもかんでも“叩いて回る”のではなく、負担を軽くするためのものであるとの結論を述べている。ゲーム業界では賛否が分かれている生成AIの利用。今後業界でどのように利用されるのか、そしてユーザー側の受け止め方が変化していくのかどうかは注目される。
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