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なぜか「6年ぶりアプデ」で日本語対応した人気ゲーム、開発者に理由を訊いたら“求愛”された。カナダのゲームスタジオの日本愛、今になって暴走
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Scavengers Studioはカナダに拠点を置くゲームスタジオだ。これまでは対戦型マルチプレイゲームの『Darwin Project』と、物語重視のアドベンチャーゲーム『SEASON: A letter to the future』の2作品をリリースしている。毛色がまったく違う2作品を制作し、そのどちらも高評価を得ているユニークなスタジオである。
そのScavengers Studioが、今回日本を含めたアジアへ本格的に進出するという。ユーザーと長期的な関係を築くことを目指しているそうで、手始めに日本語に正式対応していなかった『Darwin Project』を6年ぶりにアップデート。なんとここにきて日本語表示への対応がなされた。高評価の過去作を手土産に日本と関係を築きたがる、Scavengers Studioの狙いは何なのか。
今回弊誌はScavengers Studioにインタビューを実施し、『Darwin Project』と『SEASON: A letter to the future』の両作についてや、日本進出の理由について訊いた。スタジオの“日本リスペクト”やものづくりへのこだわりなどをうかがうことができたので、本稿でその模様をお伝えする。

6年ぶりのアップデートは、コミュニティと再び繋がるため
――自己紹介と、スタジオの紹介をお願いします。
Amélie Lamarche氏(以下、Lamarche氏):
Scavengers StudioのCEOを務めているAmélie Lamarcheです。Scavengers Studioはカナダ・モントリオールを拠点とするインディーゲーム開発スタジオです。
これまで私たちは、競技性の高いマルチプレイヤー体験を提供する『Darwin Project』から、内省的なアドベンチャーである『SEASON: A letter to the future』まで、大きく異なるタイプの作品を手がけてきました。両作はまったく違うゲームではありますが、根底には同じ哲学があります。私たちはプレイヤーに、本物の感情を抱いてもらいたいと考えています。
設立当初から、私たちはプレイヤーの心に長く残るようなゲームを作ることを目標にしてきました。それは、プレイヤー同士の意味のある関わりであったり、記憶に残る世界観であったり、独自のアートディレクションであったりします。ゲームはエンターテインメントであると同時に、感情的にも意味のある体験になり得ると信じています。
――まずそれぞれのゲームについて聞かせてください。『Darwin Project』はどのようなゲームでしょうか?
Lamarche氏:
『Darwin Project』は、競技性の高いマルチプレイヤー型サバイバルゲームです。試合の舞台となるのは、凍てついた荒野です。プレイヤーは過酷な環境を生き延びながら、他のプレイヤーとの駆け引きに勝ち抜かなければなりません。
本作では、戦闘そのものだけでなく、追跡、移動、そして相手プレイヤーの心理を読むことが非常に重要になります。競技性と、その場その場での判断や即興性が組み合わさることで、『Darwin Project』ならではの個性が生まれていると思います。

――本作は2020年を最後にアップデートがしばらく停止していましたが、2026年3月に突如パッチが配信されて驚きました。開発が再開されたと聞きましたが、なぜ6年が経った今、ふたたび本作を手がけることになったのでしょうか?
Lamarche氏:
私たちは、『Darwin Project』を中心に生まれたコミュニティへの感謝を忘れたことはありません。アクティブな開発が落ち着いてから何年も経った今でも、このゲームへの愛着を示してくださるプレイヤーの方々や、復活を望む声を目にしてきました。
今回は新たに1対1モードを追加し、本作の大きな魅力のひとつである、緊張感のあるデュエルと高いスキルが求められるゲームプレイに改めて向き合う機会を提供します。これは私たちとコミュニティと再びつながり、この先どのような展開が生まれるのかを見ていくための機会でもあります。
ただし、当時の体験をそのまま再現しようとしているわけではありません。長年のファンが愛してくださった要素を大切にしつつ、より多くのプレイヤーにとって親しみやすい形にできないかを模索しています。
――本作は一時は日本語表示にテスト対応していたものの、正式対応はされませんでした。しかし今回、ついに日本語表示に正式対応するそうですね。この機会に日本で再び『Darwin Project』を盛り上げていく計画なのでしょうか?
Lamarche氏:
その通りです。日本語ローカライズを通じて、より多くのプレイヤーにとって遊びやすい環境を整えることは、とても重要な一歩だと考えています。
特に、ゲームシステムの理解やプレイヤー同士のコミュニケーションが重要となる作品では、言語が大きな壁になることがあります。日本語表示を追加することで、日本のプレイヤーの皆さんにもより快適に本作を楽しんでいただけるようになると考えています。
また、これは日本のプレイヤーの皆さんとの関係をさらに深めていくための、より大きな取り組みの一部でもあります。日本の皆さんも『Darwin Project』コミュニティにとって大切な存在であることを、しっかりとお伝えしていきたいです。

――笑いながら友達と遊べるようなマルチプレイゲームの人気は近年高まっています。最近のトレンドと本作のポテンシャルについてはどう感じていらっしゃいますか?
Lamarche氏:
現在のマルチプレイヤーゲーム市場は、本作が最初にリリースされたころと比べても、はるかに競争が激しくなっています。そのため、成功を当然のものと考えているわけではありません。
しかしSteamのプレイヤーは、新しい体験や実験的なゲームに対して非常にオープンだと感じています。近年では、友達同士で自然に共有したくなるような印象的なソーシャル体験や、配信で見せたくなるような瞬間を生み出すゲームが成功している例も多く見られます。
『Darwin Project』にも、そうした予測不能さがあります。思いがけないプレイヤー同士のやり取りであったり、最後の1対1で生まれる緊張感のあるデュエルであったり、1試合ごとにまったく異なる物語が生まれる可能性があります。
私たちがまず大切にしているのは、プレイヤーが楽しく遊べて、誰かと共有したくなるような体験を届けることです。それが今のプレイヤーの皆さんにも響くのであれば、私たちにとってこれほど嬉しいことはありません。
日本の作品の“空気感”に影響を受けてきた

――もう一つの作品『SEASON: A letter to the future』もあらためて押し出すとのことですが、本作はどんな作品でしょうか?
Lamarche氏:
『SEASON: A letter to the future』は、永遠に変わろうとしている世界を自転車で旅するロードトリップゲームです。プレイヤーは村々を巡り、人々と出会い、音を録音し、写真を撮り、ひとつの時代が終わる前に、その記憶を記録していきます。
本作がプレイヤーに求めるのは、世界を救うことではありません。その世界を観察し、大切に味わい、そこにある物語を未来へ残すことです。記憶、変化、そして自分たちを取り巻く世界に目を向けることの大切さを描いた、静かで内省的な体験になっています。
―― 『Darwin Project』とはまったく違うゲームですが、『SEASON: A letter to the future』からはどことなく日本の作品のような雰囲気を感じています。実際、日本からの影響は受けていたのでしょうか。
Lamarche氏:
日本のクリエイターたちは、世界中のゲーム開発に非常に大きな影響を与えてきました。そして私たちも、もちろんその例外ではありません。
日本には、ゲーム、映画、アニメーション、そしてアーティストなど、世界に大きな影響を与えてきた作品やクリエイターが数多く存在しています。個人的には、丁寧なペース配分やビジュアルによる語りを通じて、静かな感情体験を生み出す作品にとても魅力を感じています。特定のひとつの作品から直接的に影響を受けたというよりも、日本の作品に見られる空気感の作り方、環境を通じたストーリーテリング、そして感情表現の繊細さに強く惹かれてきました。
そうした考え方は、自然と私たちの制作プロセスにも取り込まれていると思いますし、日本の細部まで丁寧に作り込むものづくりの伝統は、今も世界中のクリエイターたちにインスピレーションを与え続けていると思います。

――繊細な表現が特徴の『SEASON: A letter to the future』も丁寧に作りこまれた作品かと思いますが、本作をより楽しむコツを教えていただけますか?
Lamarche氏:
ぜひ、ゆっくりと時間をかけて遊んでいただきたいです。『SEASON: A letter to the Future』は、目標に向かって急いで進むことを求めるゲームではありません。むしろ、好奇心を持って世界を観察することに応えてくれる作品です。
会話に耳を傾け、自然の音を録音し、足を止めて風景を眺め、旅の中で出会う人々と時間を過ごしてみてください。そうした小さな瞬間こそが、このゲームの本質だと思っています。プレイを終えたあとも、心の中に残り続けるような記憶を持ち帰っていただけたら嬉しいです。
――『SEASON: A letter to the future』は日本のユーザーからもかなり高評価を得ていた印象です。開発元としては本作の評価をどのように受け止めていますか。
Lamarche氏:
『SEASON: A letter to the future』が世界中で受け入れられたことに、私たちはとても感謝しています。日本のプレイヤーの皆さんからも、本作のテーマや雰囲気に深く共感してくださった、非常に丁寧な反応をいただいています。
私たちにとって特に印象的だったのは、いただいたフィードバックの質です。本作をとても個人的な体験として受け止めてくださったプレイヤーの声も届いています。この作品は、単にアクションを楽しむだけでなく、プレイヤー自身に考え、振り返ってもらうことを大切にして作られた作品です。だからこそ、そのような感想をいただけることは、私たちにとって非常に大きな意味があります。
今後アジア地域での取り組みをさらに広げていく中で、より多くのプレイヤーに本作を見つけていただけることを願っています。

日本とのつながりを深めたい
――今回、そんな両作を手がけてきたScavengers Studioがアジアに本格参入するとのこと。なぜこのタイミングでアジアへ本腰を入れることになったのでしょうか?
Lamarche氏:
アジアはゲーム業界にとって非常に重要な地域であり続けてきました。そのうえで、私たちは今こそ積極的に活動していくべきタイミングだと感じています。
近年、アジア各地のプレイヤーの皆さんから私たちの作品に対する関心が高まっていることを実感しています。特に日本ではその傾向を感じており、単にゲームをリリースして、自然に見つけてもらうのを待つのではなく、コミュニティとより直接的につながっていきたいと考えるようになりました。
そのためには、ローカライズへの投資、地域パートナーとの関係構築、現地イベントへの参加、そしてプレイヤーからのフィードバックに丁寧に耳を傾けることが重要です。私たちはこれを短期的なマーケティング施策ではなく、長期的な関係づくりの始まりだと考えています。
――日本を含め、アジアのゲーム市場にはどのような印象を抱いていらっしゃいますか?
Lamarche氏:
アジアは非常に多様な地域ですので一概に語ることは難しいですが、アジア全体で見ると、インディーゲームへの関心が高まっていると感じています。大型タイトルだけでなく、ユニークなアイデアや個性的なアート表現を持つ作品を積極的に見つけようとするプレイヤーが増えていることは、私たちのようなインディースタジオにとって非常に励みになります。
特に日本については、ものづくりへのこだわりや、強いアート性、そして記憶に残る体験を提供するゲームを大切にする長い伝統があると感じています。日本のプレイヤーの皆さんは、作り手の意図が丁寧に込められていて、感情に深く響く作品を高く評価してくださることが多いと思います。これは、私たちが目指しているゲーム体験とも非常に相性が良いと感じています。
――日本のユーザーにメッセージをお願いします。
Lamarche氏:
日本の皆さん、私たちのゲームに関心を持っていただき、本当にありがとうございます。
『Darwin Project』と『SEASON: A letter to the Future』というまったく異なる2つの体験を、日本のより多くのプレイヤーの皆さんにお届けできることをとても嬉しく思っています。白熱したマルチプレイヤーの競技体験を求めている方にも、静かに自分自身と向き合うような旅を求めている方にも、私たちの作品のどこかが心に響くものであれば幸いです。
私たちは今後、日本のコミュニティとのつながりをさらに深めていきたいと考えています。そして、皆さんの感想をお聞きできることを楽しみにしています。私たちを温かく迎えてくださり、ありがとうございます。ぜひ、この旅に一緒に参加していただけたら嬉しいです。
――ありがとうございました。
『Darwin Project』はPC(Steam)/XBOX One/XBOX Series X|S向けに基本プレイ無料で配信中。
『SEASON: A letter to the Future』はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/PS4向けに配信中だ。
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