株式会社ガイナックス破産へ。スタジオカラーの助けもむなしく、「手の施しようのない状況の債務超過」のため

株式会社ガイナックスは6月7日、東京地方裁判所に会社破産の申立をおこない、受理されたことを発表した。

株式会社ガイナックスは6月7日、東京地方裁判所に会社破産の申立をおこない、受理されたことを発表した。

ガイナックスは1984年に設立され、アニメ制作会社として活動していた企業だ。「ふしぎの海のナディア」や「新世紀エヴァンゲリオン」といったテレビアニメを手がけたことで知られるほか、娘育成ゲーム『プリンセスメーカー』シリーズの制作にも携わっていた。一方で1992年には樋口真嗣氏ら中核スタッフが退職。その後「新世紀エヴァンゲリオン」がヒットをあげたものの、紆余曲折を経たのち同作の監督を務めた庵野秀明氏も2007年に映像制作スタジオとして株式会社カラーを設立して独立している。昨今では経営難に伴い、カラーに版権が移管された同作をはじめ、多くの作品の版権が他社に移っていた。

今回ガイナックスは、5月29日に東京地方裁判所に会社破産の申立をおこなっていたことを明かし、申立が受理されたことを発表した。破産の理由として、2012年ごろから見通しの甘い飲食店経営、無計画なCG会社の設立、運営幹部個人への高額の無担保貸付、投資作品の失注等、経営陣・運営幹部の会社を私物化したかのような運営がおこなわれていたことが説明。経済状態が悪化していったという。

そうしたなかで地方に当該幹部やその関係者を代表としたガイナックスの社名を冠した関連会社が多数設立され、大量の退職者を出しスタジオとしてのアニメーション制作機能も失っていたとのこと。さらには2018年には当時の経営陣の承認のもと映像制作に知見のない人物への株式譲渡がおこなわれ、2019年、その人物が代表取締役に就任直後に未成年者への性加害で逮捕(Business Insider Japan)。多額の負債を抱える中、完全に運営能力を喪失するに至ったとされている。

それでも先述の株式会社カラーの善意による支援がおこなわれ、経営陣の刷新など立て直しが図られていたという。しかし多くの旧経営陣が株主として残る状況に加え、前体制時に積みあがっていた高額負債解消には至らなかったという。そして今年5月に債権回収会社から債権請求訴訟の提訴を受けるに至り、業務の継続は困難との判断から、このたびの破産の申し立てが行われたとのこと。

なおガイナックスの破産の発表に際してカラーも声明を公開。ガイナックスの内情を把握した段階ですでに手の施しようのない状況の債務超過を抱えている状態にあったそうだ。「40年弱の歴史を持つアニメーションスタジオがこのような最後を迎えてしまい、残念でなりません」と綴られている。

Hideaki Fujiwara
Hideaki Fujiwara

なんでも遊ぶ雑食ゲーマー。『Titanfall 2』が好きだったこともあり、『Apex Legends』はリリース当初から遊び続けています。

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