Steamから剣闘士シム『Domina』が強制撤去。蛮行続く開発者にValveがちゃんと制裁

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剣闘士養成シミュレーションゲーム『Domina』が9月2日、Steamでの配信を終了した。現在はストアページも削除されているが、配信終了直後には、ストアページに“パブリッシャーからのリクエスト”により販売終了したという、Steam側が掲載したメッセージが残されていた。

ただ実際には、本作のパブリッシャーDolphin Barn Incorporatedが自ら取り下げたのではなく、Steamを運営するValveが販売を打ち切ったようだ。実は本作をめぐっては、同スタジオの個人開発者Nicholas John Leonhard Gorissen氏の言動が、これまで幾度となく物議を醸してきた。


まずこれまでの経緯を振り返っておこう。事の発端となったのは、今年3月に投稿された『Domina』のパッチノートだ。そこには、本作のバグ修正やバランス調整などのアップデート項目が並ぶなか、突然「マスクを外せ(TAKE OFF THE FCKN MASKS)」と題した項目が出現。「何を恐れているんだ」「嘘に踊らされるな」「怯えて顔を隠す男など女性は好まない」といった言葉で、Gorissen氏の主張が展開された。

おそらく同氏は、コロナ禍においてマスク着用が奨励されている状況に批判的な意見をもっているのだろう。ただ、根拠の乏しい個人の主義主張をパッチノートに忍び込ませる手法は大きな批判を浴び、結果として『Domina』はレビュー爆撃を受け、多数の不評レビューが投じられることとなった(関連記事)。

この出来事以来Gorissen氏は、Steamの掲示板やSNSなどで、ユーザーと度々口論を繰り広げてきた。同氏は攻撃的・挑発的・差別的なコメントをすることが多く、ついには『Domina』のSteamコミュニティ(掲示板など)から一時的にBANされることに。投稿ルール・ガイドラインに違反する書き込みをおこなったことを理由に、Steamのサポートチームが処分を下したのだ。開発者が自身のSteamコミュニティに投稿できなくなるという異例の事態となり、こちらも話題となった。(関連記事)。


そうした批判や処分を受けても、Gorissen氏は懲りることはなかったようだ。同氏は現地時間8月31日、『Domina』に新たなパッチを配信。そのパッチノートには、本作の修正点なども挙げられているが、またも自身の主張を展開するコメントが掲載された。もはやリスト内に忍び込ませることすらせず、むしろ主義主張の方がメインの投稿となっている。投稿の内容については、支離滅裂な部分を多分に含みつつも、トランスジェンダーを揶揄する文面となっている。

まず投稿の題名にて「DOMINUS」と本作のタイトルが変更されたように提示されている。女性形の『Domina』から、『Dominus』へと男性名詞に変わったという意図だろう。さらにGorissen氏は、「ゲームにおいて性別を変更することはまったくもって普通のことであり、それによって誰かを混乱させることはない」「偏見をもつのはやめてほしい」などとコメント。また、『Domina』など存在せず、ずっと存在していたのは『Dominus』であるとし、「我々の代名詞を尊重してくれ」「騙されたと感じる権利などない」とも述べている。こうした一見意味不明な文章は、Gorissen氏なりにトランスジェンダーの人々の主張を“真似”てみたものと思われる。要するに、そうした人々に対する侮辱や挑発の意図だろう。

そのうえでGorissen氏は、“Keffals”という人物に言及した。おそらく、トランスジェンダーであることを公表しているYouTuberのKeffalsことClara Sorrenti氏のことを指しているのだろう。Gorissen氏はKeffals氏のことを女装家の男であると決めつけ、侮辱する言葉を並べている。

なおKeffals氏は、LGBTQ+に対するハラスメントなどの問題について、YouTubeやTwitchにて発信している人物。先月には、トランスフォビアグループによる虚偽の通報によって、いわゆるSwattingの被害に2度もあったとして注目された(Kotaku)。同氏に対する苛烈な嫌がらせは、海外コミュニティを中心に多くの人々から問題視されている最中でもある。

Image Credit: Nicholas John Leonhard Gorissen

今回のパッチノートには、「基本的な生物学について、子供たちに嘘を教えて傷つけるな」といったコメントもみられる。Gorissen氏が性の多様性について批判的な思想をもっていることは明らかで、今回のパッチノートでは『Domina』が『Dominus』へと“性転換”したように擬人化して、トランスジェンダーなどの人たちを揶揄したと受け取れる。

そしてこのパッチノートの投稿は、Valveの目にも止まることとなった。Steamのサポートチームは、Gorissen氏が特定の人物を侮辱する投稿をおこなったとし、本作のSteamコミュニティから同氏を永久BANしたと通告。さらに、同氏のスタジオとのビジネスも終了させるとした。

Valveは前回の処分時に、今後またルール・ガイドラインを無視するようなことがあれば、両社のビジネス関係に悪影響が及ぶと警告しており、そのとおり取引が中止された格好だ。その後『Domina』はSteamでの配信がストップし、ストアページも削除されることとなった。


『Domina』がSteamから取り下げられたあと、Gorissen氏はSNS上にてコメントを発表している。同氏は、プレイヤーのためにバグを修正するパッチを配信したとし、そのうえでValve側が本作をSteamから取り下げたことを認めた。その後は、トランスジェンダーなどの人たちを侮辱する言葉を交えながら、Valveおよび同社共同設立者のGabe Newell氏への攻撃の言葉が綴られている。そして、「神はすべての戦いに勝利する」「嘘つきが繁栄することはない」などと述べて投稿を締めた。

ちなみに、Gorissen氏がこの投稿をおこなった場はGabというSNSだ。Gorissen氏はこれまでにSteamだけでなく、『Domina』や個人のTwitterアカウントが凍結され、同氏が制作した楽曲を販売していたBandcampでもアカウントがBANされている。Gabは、言論の自由を保障する方針を示しているSNSで、Gorissen氏のように(過激な言動で)発信場所を失った人々が流入してきているとされる。同氏はゲーム制作が本職だとしており、今後はGabにて支援者と交流しながら、何らかのルートで作品を届けていくことになるのだろう。

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