『Apex Legends』スタッフ、「コミュニティとの付き合い方指南」をTwitterにて語る。現場とユーザーに板挟みされる悲哀と自虐

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Apex Legends』スタッフが、コミュニティとの付き合い方について明かしているようだ。Respawn EntertainmentのRyan K. Rigney氏は、コミュニティ&コミュニケーションディレクターを務める人物。その名のとおり、コミュニティのユーザーの声を受け止め、開発チームの情報を発信する役割を担っている。あるときは近日リリース予定のアップデートの修正内容について伝えたり、あるときは不具合についての詳細情報を公開したりと、開発チームとユーザーをつなぐ窓口のようなポジションの人物である。 

そんなRigney氏は10月13日、Twitterにて長文のスレッドを投稿している。その内容はというと、「問題が起きているときにユーザーとどのように話すべきか」という指南。具体的には、製品がうまく働かないときや、失敗をしたときの対応について語られている。Rigney氏によれば、そのような状況の場合にユーザーが望むことは次の二つに限られるという。「問題を修正するために何がおこなわれているのかを知ること」、そして「可能な限り早く問題を修正すること」である。 
 

 
とはいえ、常にユーザーが望む情報を提供できるとは限らない。もしチームにとって、解決に時間が必要なほど難しい問題が起きていた場合、修正までの時間を明確に伝えられないこともある。そうした場合、しばらくの間は「ごまかし続けるほかない」という。当然プレイヤーやメディアなど、多くの人から批判を受けることとなる。苦しいことではあるが、慣れるよりほかないとRigney氏は語る。 

こうした状況のことを、Rigney氏は「The Hurt Box(痛みの箱)」と名づけている。The Hurt Boxに陥った場合、問題を解決するための計画について正直で説得力のある説明を顧客に伝えられない限り、インターネット上の生活は苦痛に満ちたものとなる。そして説明をした場合でも、その解決策を実行できるようになるまではつらい時間が待っている。 
 

 
ところで、ユーザーに対して十分に情報を開示できないケースにおいては、さまざまな理由がある。法的な理由や契約上の都合、規制上のルールなどから、ユーザーに話すことができないこともあるだろう。あるいは、問題に対する解決策について単純に、共有できるほど明確な時期の見通しがたっていないこともありうる。Rigney氏は自身のキャリアで、The Hurt Box状態に6か月も囚われたことがあるそうだ。こうした際に唯一役に立つことは、事態について正直であることと、失敗について自分で責任を引き受けること。そして、修正が計画通りに進むのを祈ることだという。 

それでもしばしば、修正の計画はうまくいかないことがある。The Hurt Boxに囚われている場合、ユーザーは原因を理解できず、「お金があるのに無能」「問題を気にしていないのか」といった批判が集中することもしばしばだ。こうした状況に対しRigney氏は、ただ正直であれと語る。そして、リーダー陣が問題を優先事項とするように静かに働きかけること。チームのそばに寄り添うこと。それだけが、状況を脱する唯一の手段であるという。 
 

 
ところで、こうした発言できないような状況にあるとき、ユーザーは繰り返し「我々が求めているのはコミュニケーションだけだ」と主張する。しかしRigney氏にいわせてみれば、これは「罠」であるという。もしコミュニケーションとして、解決に時間がかかるかもしれない問題の修正を繰り返し約束したとしても、ユーザーはさらに憤慨するものだとRigney氏は語っている。そうした場合は、「Twitterでコミュニケーションディレクターのごまかし戦略のスレッドを投稿したうえで、愛するユーザーたちがどれほど価値があるかを伝えるのをおすすめします」として、自身の戦略語りを自虐混じりに締めくくっている。 

Rigney氏といえば先日、サーバートラブルをめぐる問題でにわかに注目を浴びた人物だ。今月上旬、Facebookがサーバーダウンに陥った際、「大企業がサーバートラブルに見舞われる」事態を皮肉った発言を投稿。ユーザーから、『Apex Legends』もまたサーバー問題に悩まされていることを突っ込まれる事態となった(関連記事)。このときRigney氏は、自身の発言が「自虐ネタ」だったことをのちに種明かししている。Rigney氏がにわかに自身の戦略について語りだした背景には、こうしたユーザーとのコミュニケーションのすれ違いを通じて思うところがあったためかもしれない。 
 

 
Rigney氏のツイートにはさまざまな反応が寄せられている。あるユーザーは、開発者とユーザーのコミュニケーションについて中心となるハブがないことが問題だとしている。現状のように開発者のTwitterやRedditでのレス、Podcastでの露出などに分散せず、Trelloのトラッカーや特定のTwitterアカウントに集約してはどうかと示唆した。これに対してRigney氏は、修正に関する事項はパッチノートに集約されており、それ以外の重要事項はRespawn Entertainmentの公式アカウントに集約されていると説明した。とはいえ、修正中の問題についての情報は、現状でさまざまなアカウントなどに散らばってしまっていることを認めた。ただしTrelloについては、たとえ情報を集約しても注目する人がほとんどいないと捉えているようだ(『Apex Legends』の不具合状況については、Trelloのトラッカーにて一応共有されている)。 

このほかスレッドには、サーバーの改善予定やワットソンの強化予定などざっくばらんにRigney氏を問いただす声が集まっており、そのたびにRigney氏は「認識しています」「取り組んでいます」と返している。スレッドにて語られた戦略がまさに実践されているといった様相だ。このほか、Rigney氏はRedditでもユーザーとのコミュニケーションに精を出しているようだ。ある批判を受けたときには、とある「コピペテンプレ」で応答。2019年にRespawn Entertainment開発スタッフが暴言を書き込み、その反応としてユーザーから返された書き込みをパロディで返すことで、周囲の笑いを誘った。 
 

 
大規模なライブサービスで開発チームとユーザーをつなぐ役割ということで、Rigney氏の負担は非常に大きなものだろう。ときにブラックジョークや自虐ネタを交えつつ、円滑なコミュニケーションの維持に目指す同氏の苦労がしのばれる一幕となった。 

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