Activision Blizzardが従業員レイオフを敢行。新型コロナウイルスの影響によりeスポーツ部門の方針を転換

 

Activision Blizzardは3月16日、組織再編にともない従業員をレイオフすることを発表した。公式からの発表によると、対象となるのはeスポーツ事業を担当しているスポーツ・エンターテイメント部門の約50名。同部門のプレジデントTony Petitti氏によれば、新型コロナウイルスの影響によりグループが方針を変更したためとのこと。

海外メディアSports Business Journalの取材を受けたPetitti氏は、今回のレイオフによって具体的にどの役職が影響を受けるかは明らかにしなかった。ただし「オーバーウォッチ リーグ(OWL)」や「Call of Duty League (CDL)」などを管轄する部門については、将来的にライブイベントに依存しないかたちでの事業形態を計画しているという。Activision Blizzardは2020年を通じて大部分の従業員を維持してきたものの、ここにきて変化を起こさざるを得ない状況にあるとのこと。今回、解雇を受ける従業員に対しては退職手当と、最短90日・最長120日間の健康保険が支給される。またBattle.netにおける200ドル分のギフトカードも贈られる。
 

 
Petitti氏によれば、今回の方針変更によって必ずしもActivision Blizzardがライブイベントから完全に撤退するわけではなく、将来的には可能なタイミングで元通りにすることも視野に入れているという。ただしOWLやCDLは新型コロナウイルスの影響でオンライン化が進んでおり、今後の開催スケジュールも対面でない方式が大半を占める可能性はありそうだ。今回の再編・レイオフについてPetitti氏は、コスト削減およびリソースの再配分のためだと説明。昨年を通じ、リーグイベントがオンラインを中心に再構築が可能であると認識し、その実行のために必要性が生じたとのこと。リーグの再構築についてはPetitti氏が着手する昨年の8月以前から議論が続いていたが、決定には慎重を要したためこのタイミングでの発表になったという。

Petitti氏はCDL・OWLの双方について明るい見通しを示している。特にCDLは主要業績評価指標で昨シーズンからある程度の成長を遂げており、エンゲージメントや視聴率をより高めるべく投資したい考えを述べている。アメリカのeスポーツ団体100 ThievesがCDLの今季オフシーズンに参入することや、同じくアメリカのプロゲーミングチームOpTic GamingがシカゴCDLでリブランディングを進めていること、OWLがアジア拠点のチームとともに「東」のリーグを創設していることなどをポジティブな動きとして列挙。Activision Blizzard、各チームとも業界の成長を見込んでいると説明した。
 

「オーバーウォッチ リーグ」

 
なお、海外メディアBloombergが仕入れた独自ソースの情報によると、レイオフの影響はeスポーツ部門以外にもおよぶという。Bloombergの記者Jason Schreier氏は、レイオフ対象の例として、『Candy Crush』を手がける King.comの従業員を挙げており、Activision Blizzard広報もそれを認めているとのこと。解雇を受けるのは全従業員の2%未満であり、190名弱が相当すると、Schreier氏は述べている。

Activision Blizzardは2019年、開発リソース増加にともなうコスト削減のため、非開発・管理部門のスタッフを中心に800人規模のレイオフを実施すると発表。しかし2020年10月には、今後の生産需要を見据えるとして新たに2000人のスタッフを雇用すると明かしていた(関連記事)。今回のレイオフは前回のスケールと比較すれば小規模ではあるものの、CDL・OWL双方に大きな影響をもたらしそうだ。