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Nordcurrentは2月10日、2DアクションRPG『オーシャンズハート』のNintendo Switch版を発売した。すでに2021年1月21日にPC(Steam/GOG.com)版が発売されており、高い評価を受けている本作。『ゼルダの伝説』シリーズに強い影響を受けて制作されたことが明かされており、見下ろし型2Dアクションとして『ゼルダ』シリーズへの強いリスペクトを感じられる作品だ。

制作者のMax Mraz氏自身が『ゼルダ』シリーズの大ファンであることを公言している本作は、まずメインビジュアルからゼルダリスペクトを隠さない。“金髪の主人公が崖っぷちにたたずみ、崖下には広大な世界が広がっている”という、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』を意識したと見られる構図である。ゲーム本編でもギミックやアイテムなどさまざまな部分から『ゼルダ』らしさを感じられ、「きっとSFCやGB時代の『ゼルダの伝説』みたいなゲームなんだろうな」という第一印象を最後まで裏切らない。高品質な2DゼルダライクRPGを遊びたいならば、本作はぜひおすすめしたい。安心安定のクオリティでゼルダライクを楽しむことができるのが、『オーシャンズハート』というタイトルなのである。

本作のメインビジュアル


可愛らしいピクセルアートで描かれる物語

まずは本作のシナリオについて紹介しよう。四方を海に囲まれた孤島、ライムストーン島。島に住む主人公の女性ティリアは、父と姉とともに酒場を営んで暮らしていた。ある日、島にやってきた海賊がティリアの親友であるヘイゼルを誘拐。自警団にも所属しているティリアの父が海賊の後を追うものの、2人の行方はわからないまま半年が経過してしまう。しびれを切らしたティリアは、2人を探す旅に出ることを決意。島を出たティリアはヘイゼルと父を探す道中、海賊の蛮行の理由や世界の謎について知ることとなる。

シナリオのボリュームとして、本作のメインクエストクリアにかかる時間はおおよそ10時間程度だった。マップの隅々まで見て回ったり、豊富なサイドクエストをこなしたりといった寄り道要素も含めれば15時間ほどとなるだろう。“マップの隅々まで見て回る”という要素については、本作ではかなり重視されているように感じられた。フィールドを歩き回り、目的地とは違った方向ではあれど「この先になにかありそうだな」と感じた場所に足を運ぶと、何かしらのイベントが用意されていることが多かったのだ。日本語ローカライズについても、ユーモアまで丁寧に翻訳されており違和感なくシナリオを読み進めることができる。日本語テキストもドット風フォントで表示され、“ピクセルアートで描かれる世界”への没入感を損なわないような配慮が感じられた。


ピクセルアートで描かれる世界をじっくりと探索してほしい、という制作者の思いが端々に見られる本作では、好奇心のままに世界を歩いているだけで探究心が満たされていく。本作のスクリーンショットを見て心に刺さるものを感じたなら、探索しているだけでこのゲームを楽しむことができるだろう。

高品質なゼルダライクアクション

本作はゼルダライクな見下ろし型の2Dアクションだ。主人公のティリアはさまざまな武器を駆使して戦うことができる。序盤のうちは剣と爆弾しか扱えないティリアだが、物語が進むごとに弓矢やモーニングスター、古代魔法など、多種多様な戦術が扱えるようになるのだ。武器は世界各地で素材を集めることで強化することもできるため、序盤の武器でも愛着を持って使い続けることもできる。


これらの装備は敵と戦うときだけでなく、フィールドやダンジョンに存在するギミックを作動させるためにも使用する。ギミックの謎解きはそれほど難しくなく、それでいて易しすぎることもなく、カジュアルに遊ぶにはちょうどいい塩梅に感じられた。解法としては弓矢でスイッチを射たり爆弾を投げたりなど、本家『ゼルダの伝説』のセオリーが通用するものも多かった。ゼルダライクな謎解きを楽しみたいならば、本作はぴったりのギミックを提供してくれるだろう。


本作の移動は非常に軽快だ。ティリアはローリングで敵の攻撃を回避することができるのだが、回避距離長めかつスピーディーな挙動から、筆者は移動の際もローリングを愛用した。本作にはスタミナの概念はないためローリングは繰り出し放題で、マップ上での移動はサクサクとストレスなく駆け抜けることができるのだ。ただ、ローリングは決定と同じボタンに割り当てられており、筆者が遊んでいる最中はNPCに話しかけようとしてうっかり海へと転がり落ちる……といった事故がよく発生した。別々のボタンを割り当てることもできないため、NPCに話しかける際はちょっとした注意が必要だ。

ファストトラベルについては、フィールド上から指定地点へと移動することはできないものの、街にいるNPCに話しかけることで街同士を行き来することが可能だ。プレイ中、筆者は移動に関してストレスを感じることなく、気ままな探索を楽しむことができた。


ギミックの謎解き同様に、本作のバトルも易しめに作られている。メニュー画面を開けばゲーム中の時間は止まり、回復アイテムがある限り耐久戦に持ち込めるからだ。また、敵に倒されてしまっても同じマップ(もしくはダンジョンのチェックポイント)にリスポーンすることができるため、リトライもしやすい作りになっている。また、歯ごたえのあるバトルを楽しみたい方向けに、登場する敵が永続強化される要素も用意されている。アクション初心者から熟練プレイヤーまで、幅広く楽しむことができる作品と言えるだろう。


おわりに

以上、2月10日にNintendo Switch版が発売した2DアクションRPG『オーシャンズハート』を紹介した。開発者のMax Mraz氏は『Bloodborne』の2D再現ゲームを制作した実績もあり(関連記事)、レトロなピクセルアートへの愛に満ち溢れた人物だ。同氏は『ゼルダ』シリーズを愛していることも公言しており、筆者が『オーシャンズハート』をプレイしている最中も『ゼルダ』愛を感じるパートが随所に見受けられた。スクリーンショットを見てピクセルアートに惹かれた方や、2Dの『ゼルダ』シリーズを愛する方にはぜひお手に取っていただきたいタイトルである。『オーシャンズハート』はPC(Steam)/Nintendo Switch向けに発売中だ。

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