Discordは6月30日、「Your Place to Talk」と題した投稿を公式ブログにて公開。これまで特にゲームコミュニティ向けとして知られてきた同社のコミュニケーションツール「Discord」について、今後はあらゆるコミュニティが集える場となるように取り組みを開始すると表明した。
「Discord」は、招待制のプライベートなサーバーを作成してメンバーと交流できるコミュニケーションツール。テキスト・ボイス・ビデオチャットが可能で、ゲーマーに広く利用されているほか、多くのゲームメーカーもファンとの交流を深めるために積極的に活用している。Discord社は、ビデオゲームは世界中のあらゆる環境の人をひとつにする力があり、またさまざまな感情で満たされた思い出を作ることができるとし、ツールとしてのDiscordが生まれた背景を語る。
一方で近年は、ゲームとは限定せず、友人や自らのコミュニティとただ集まって話ができる場所への需要が高まっており、Discordもそうした使い方がなされるようになってきたという。ただ、こうした需要の変化がありながらも、Discordのブランディングとしては追従できておらず、幅広いコミュニティを迎え入れることができていなかったとDiscord社は述べる。ユーザーからの要望としても、「Discordはゲーム専用」と誤解している人がいるため、あらゆるコミュニティがDiscordにて居場所を見つけられるようにしてほしいといったものがあったそうだ。また、Discordには多くの機能があり複雑な側面があるため、新規ユーザーが面食らってしまうこともあったとDiscord社は説明している。
そこでDiscord社は、新規ユーザーの体験を合理化し、Discordにより簡単に参加できるようにすると表明。新たなサーバーテンプレートを用意してサーバー作成をサポートするほか、音声・ビデオのキャパシティを2倍に増加。また数百項目に及ぶバグを修正しており、今後も信頼性とパフォーマンスを最優先に投資をおこなっていくとのこと。さらに、今回公式ウェブサイトも刷新。「学校のクラブでも、ゲーミンググループでも、世界規模のアート・コミュニティでも、一緒にのんびりするだけの身近な友達でも。毎日話して、もっと集まるお手伝いを、Discordがいたします」として、あらゆるコミュニティを受け入れる姿勢を明確にしている。
Discordは2015年のローンチ以来成長を続けており、現時点で月間1億人以上のアクティブユーザーを抱え、アクティブなサーバーは670万。毎日40億分のコミュニケーションが交わされているという。昨今は、新型コロナウイルスの影響による外出自粛を受けて、コミュニケーションツールへの需要が高まっており、Discordもそのひとつとして利用されているようだ。Discord社としても、ゲーム配信や画面共有の最大接続ユーザー数を引き上げるなどの対応をおこなっている。
ただ、先述したユーザーからの要望があり、またさらなる成長を見据える上においては、Discordが幅広いコミュニティに開かれたツールへと変化することは自然な流れだったと言えるかもしれない。Discord社は、こうした取り組みはまだ始まりに過ぎず、今後も改善させていく方針を示している。