『ディビジョン2』公式ストアでのPC版予約数は前作の6倍。同作が発売される第4四半期には記録的な数字を期待

 

UbisoftのCEO Yves Guillemot氏は、2018-2019会計年度第3四半期決算の投資家向け収支報告(カンファレンスコール)にて、PC版『ディビジョン2』のUbisoft公式ストアでの予約数が前作『ディビジョン』の6倍に及んでいると報告した(公式サイト)。主に予約購入者を対象としたプライベートベータテストには、同社タイトルとしてトップクラスの数のプレイヤーが参加したとのこと。あえてPC版に限定した言及となっているのは、同社が今年1月にSteamでの販売をキャンセルし、Ubisoft公式ストアとEpic Gamesストアのみでの販売に切り替えると発表したことを意識したものだろう。

「前作の6倍」という数字は、Ubisoft公式ストアでの予約数であり、Epic Gamesストアでの予約数には触れられていない。ただ、SteamからEpic Gamesストアに移行することで、自社公式ストアでの販売数が増え、そこに収益率の高いEpic Gamesストアでのセールスが加わることで、ビジネスとしてプラスに働いているという。販売プラットフォームを切り替えることで収益率を高めると同時に、手数料を取られる心配のない自社ストアの露出を増やすことに成功したのだ。なおSteamのロイヤリティが原則30%であるのに対し、Epic Gamesストアは18%。単純に販売元/開発元の取り分が多い。自社ストアでの販売をメインとしつつ、収益率の高いEpic Gamesストアで販売するという戦略は今のところ吉と出ているようだ。

『ディビジョン2』の売上本数の着地予想は公表されていないが、長期的な売上は『ディビジョン』を超えるだろうとGuillemot氏は予測している。Ubisoftは今後の複数の自社タイトルについても、Epic Gamesストアと提携する予定であると発表しており、このままPC版『ディビジョン2』の売れ行きが順調に伸びていけば、SteamではなくEpic Gamesストアで販売するというパターンは定着していくのではないだろうか。

『ディビジョン2』は3月15日発売予定。対応プラットフォームはPC(Ubisoft Store/Epic Gamesストア)およびPlayStation 4/Xbox Oneとなっている。3月1日から3月4日にかけては全プレイヤーを対象としたオープンベータテストの実施が予定されているほか、PC版に関しては先日、予約特典として『ウォッチドッグス2』『ゴーストリコン ワイルドランズ』『ファークライ プライマル』の中から1作品を無料で入手できることがアナウンスされている(関連記事)。

堅実な成果をおさめたという『アサシン クリード オデッセイ』

なおUbisoft全体としても第3四半期の収益は予想値を超えており、『アサシン クリード オデッセイ』の堅実なセールス、プレイヤーエンゲージメントおよびデジタルセールス率の増加が要因としてあげられている。販売地域別で見ると、欧州国以外の収益比率が増加傾向にある(第3四半期のNet bookingは前年同期比で6%増、Q1-Q3の前年同期比は4%増)。プラットフォーム別の比率で見ると、第3四半期は前年同期比でPlayStation 4が13%減、Xbox Oneが7%減。かわりにPCが9%増、Nintendo Switchが5%増、モバイルが5%増となっている。

第3四半期はAAA級タイトル同士の競争が激しいシーズンであったが、高品質のゲーム/サービスの提供、販売プラットフォームおよび販売国の拡大によるプレイヤー人口の増加、デジタルセールス比率増=収益率向上により、Ubisoftは堅実な成果を出すことに成功。『ディビジョン2』『ファークライ ニュードーン』がリリースされる第4四半期には、記録的な数字を出せると見込んでいるという(プレスリリースPDFリンク)。きたる2019-2020会計年度(2019年4月~2020年3月)にかけては、AAA級タイトルを3~4作品リリースする予定だという。