ゲームパブリッシャーYsbryd Gamesは1月31日、『YIIK: ポストモダンRPG』のNintendo Switch版、およびPlayStation4版の国内DL販売を開始した。価格は1,980円(税込)。これに伴い、既に発売済みであるSteam版において日本語対応も行われた。制作はAckk Studios、日本語翻訳は架け橋ゲームスが担当している。
『YIIK: ポストモダンRPG』は、その表題が示すとおり、ポストモダンを作品のテーマとして掲げるロールプレイングゲームだ。ちなみにYIIKとはY2Kを指し、西暦2000年を意味している。
舞台は世紀末の1999年。主人公「アレックス」は、とある理由から街の廃墟を探索中、謎の女性「サミー」と出会う。”廃墟の外に出たことがない“と話す彼女に世界を見せるべく、建物の外へと連れ出そうとするアレックスだったが、突如エレベーター中で正体不明の存在に襲われてしまう。
ドアの向こうに広がる異世界と、苦しみ助けを求めるサミー。残されたのは何もできなかった自分ただ一人。サミーを救うため、途中で出会ったパンダの力を借りながらアレックスはアングラ電子掲示板から仲間を集め立ち上がる。世界の真実を知るための冒険が始まったのだ。
本作の特徴はなんと言っても今日のゲームにおけるスタンダート=モダンな部分からあえてズラした姿を取るゲームデザインである。サイケデリックを意識した色使いとローポリゴンなCGによって作られた独特な世界は単にプレイヤーの目を引くだけでなく、ありふれているようでどこか違うという奇妙な違和感を視覚的にも感覚的にも自然とプレイヤーの心に抱かせる。
最大8人パーティで挑むターン制バトルは、画面に挿入される青いウインドウとキャラクターごとのパラメータ、そしてコマンドによって構成されるJRPGの王道を征くものだ。しかし彼らが戦いに用いるのは剣と魔法ではなく、はたまた途中で仲間の精霊を呼ぶこともない。なんとレコードや一眼レフといった実生活で使用する道具が主兵装だ。戦闘はターン毎に始まるキャラごとのミニゲームをクリアすることで進行していく。そして戦いが終われば一般的なRPGのように経験値やアイテムを入手して終了だ。
物語はボーイミーツガール一直線と言えばそうだが、しゃべるパンダとそれに違和感を抱かない世界や、独り心の中でしゃべることの多い内省的な主人公をはじめとして一癖も二癖もある個性的な内容となっている。そんな本作を彩るBGMを手がけるのは『Undertale』で知られるTobyFox氏をはじめとして、『聖剣伝説』シリーズの菊田裕樹氏、『VA-11 Hall-A』のGaroad氏など豪華作曲陣。日常と超常が混ざり合う世界を音楽という方向から表現する。
一風変わった作品に触れたいゲーマーはぜひ本作を手にとってみてはいかがだろうか。