ブラジルに拠点を置くインディースタジオLudic Studiosは9月10日、『AKANE』をSteamにて発売した。価格は410円で、9月18日までは25パーセントオフの307円で購入可能。本作は以前弊誌でも紹介した、日本の文化から影響を受けて制作されたという、見下ろし型視点のサイバーパンク・サムライアクションゲームだ。
本作の主人公は、銀髪の女の子Akane。彼女は幼い頃、野良犬同然の姿で、サムライ道を教えるIshikawaという男が営む道場の門を叩く。Katsuroという名の男への復讐を果たすべく、戦う術を教わるためだ。Ishikawaは日本刀と銃の扱い、そして門外不出の奥義を伝授し、彼女を育て上げる。それから数年の時が流れた2121年、一人前になったAkaneはメガ東京にいた。復讐の時がついにやってきたのだ。Akaneは、この場所から生きて帰れるとは思っていない。目の敵にするあの男と手下のヤクザの“クソ野郎ども”を、全員あの世へと道連れにして死ぬ覚悟でいる。
猥雑で退廃的な雰囲気が漂う未来都市メガ東京には、さまざまな店が建ち並び、あやしい日本語のネオン看板が夜の街に煌々と輝く。その建物とフェンスに囲まれた四角形のエリアが戦いの舞台だ。ゲームを開始すると、武器を持ったヤクザが店の中から次々に現れ、Akaneに襲いかかる。本作は、1ヒット1キルのアリーナバトルゲームとなっており、特定の敵を除き一撃で倒すことができ、逆に自分も一撃で死んでしまう緊張感のなか戦う。湧き出る敵を100体倒すごとにボスKatsuroが現れ、彼に打ち勝つと、さらに強さを増したKatsuroを目指して戦いを続けるというのが本作の流れだ。
Akaneは日本刀と銃を武器にしており、いずれもスタミナ制である。日本刀を振るごとにスタミナゲージが減り、ゼロになると息が切れ、ゲージが自動回復するまで一定時間攻撃できない。一方の銃も、残弾が尽きると1発ずつ自動補充されるのを待つ必要がある。日本刀のスタミナゲージは比較的速く回復するが、銃は遅め。ただし、日本刀で敵を倒すごとに銃弾の回復が大きく進む仕組みである。大量の敵が絶え間無く現れるため、日本刀をメインにしつつ、銃と交互に使い分けるゲームプレイとなるだろう。なお、日本刀は移動しながら振れるが、銃は立ち止まってエイムして撃つことになる。操作は、現時点ではマウス&キーボードのみの対応だが、今後配信するパッチにてゲームパッドにも対応するとのこと。
画面下にはアドレナリンゲージがあり、敵を倒すごとに溜まっていく。ゲージは3段階まで溜まり、1段階溜まると奥義Dragon Slashを繰り出せる。これは、任意の方向へ目にも留まらぬ速さで一定距離ダッシュし、その間にいる敵を一掃する技だ。そして、3段階すべてのゲージを消費する大技Dragon Slayerでは、画面内の敵すべてを葬り去ることができる。アドレナリンゲージは、時間経過とともにどんどん減少していくため、ゲージを溜めるためには間を空けずに敵を倒し続ける必要がある。一定時間内に次の敵を倒すとカウントされるコンボでは、より多く溜まる仕組みだ。敵に倒されるリスクは高まるが、窮地から一発逆転できる奥義によるリターンは大きい。
ザコ敵の多くが日本刀を持って襲ってくるなか、銃を武器にする敵Shooterもいる。ステージ内にはいくつか遮蔽物はあるもののほぼオープンな環境で、Shooterの狙いも確かなため、一撃死の本作では大きな脅威となる。Akaneは日本刀を構えることでガードが可能で、銃弾をも弾き返すことができる。ただし、連続して受け止められるのは2発まで(日本刀での攻撃も同様)。ガード中も移動可能なので、なるべく早く接近して始末したい敵である。敵にはほかに、ボスと同じく数発攻撃しないと死なない大柄な敵Tankや、Akaneと同じようにガードやダッシュ攻撃を駆使するChargerなどがいる。
Akaneは、初期装備として基本的な日本刀やリボルバー、ブーツなどを装備しており、ゲーム中に指定の条件を満たすことで新たな装備をアンロックできる。たとえば最初のボスを倒すと、リーチはやや短いが攻撃ボタンをホールドして離すと回転斬りを繰り出せる日本刀Rebiを入手できる。また、日本刀で空振りすることなく30人を倒すと、敵を倒した際に銃弾ゲージをより多く回復できるCyber Globeを、1ゲーム中に50人の敵を銃で倒すと、連射速度は遅いが高ダメージを与えられるShotgunを獲得できる。
日本刀は計3種類、銃は6種類あり、そのほかにもダッシュ性能に関するブーツや、ダッシュ時のエフェクトとして表示される軌跡の色を変更するタバコなど複数の項目のアイテムがある。これらをアンロックし、プレイスタイルに合わせてAkaneの装備を自分好みにカスタマイズしていくのだ
本作の開発元Ludic Studiosは、3人のスタッフからなる少人数チームである。『AKANE』の開発にあたっては、黒澤明監督の映画「七人の侍」や「用心棒」から影響を受けたそうで、Akaneが初期装備している日本刀の名もKurosawaだ。また、「AKIRA」や「NARUTO –ナルト–」「るろうに剣心」「サムライチャンプルー」といった日本のアニメ作品や、「キル・ビル」「サムライジャック」「スター・ウォーズ クローン大戦」などのアメリカの作品からの影響もあり、さらに日本のヤクザの文化や刺青などについても勉強したそうだ。
本作は、大量に湧き出るヤクザをなぎ倒し、ボスと戦うことを繰り返すシンプルなゲームで、舞台となるステージも現時点では1つだけと価格なりのボリュームではあるが、前述のアイテムのアンロック条件は容易に達成できるものばかりではなく、リプレイ性を高めることに繋がっている。また、一撃死という緊張感もあり難易度が高めではあるが、敵を切り捨てた際のゴア表現など爽快感のある作品である。開発元いわくGoogle翻訳によって生み出されたという日本語看板の数々が醸し出す、メガ東京のなんともいえない雰囲気も、一回りして本作の大きな魅力だと言えるのではないだろうか。本作は日本語には対応していないが、チュートリアルとして“Ishikawa道場での修行”が用意されているので、興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。