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コテージ自由生活シム『フィンランド・コテージ・シミュレーター』開発者にインタビューしたら、「サウナと酒」の話ばかり出てくる。サウナで生音収録、ビールは現地価格、死ぬときは密造酒
やたらと生々しいフィンランドのコテージ暮らしを体験できる『フィンランド・コテージ・シミュレーター』の開発者にインタビューを実施した。

デベロッパーのRANELA GAMESは5月8日、コテージライフシミュレーションゲーム『フィンランド・コテージ・シミュレーター』の日本語対応アップデートを配信した。本作は、フィンランドの森における自由な生活を楽しめるシミュレーションゲームだ。サウナや釣り、飲酒に密造酒の醸造、モペット改造・ドライブなどアクティビティが満載で、コテージを拠点にソロでもマルチでも暮らせる。サウナ周りのディテールをはじめとして、アクティビティそれぞれがやけに詳細なところがユーザーに好評で、Steamレビューにて「非常に好評」ステータスを獲得している。
今回、本作の開発に携わるRANELA GAMESのメンバーたちが初来日するタイミングに合わせてインタビューの機会を得られた。開発チームの本作へのこだわりや、本場フィンランドのサウナのことなどを聞かせてもらったので本稿にて紹介したい。
――自己紹介をお願いします。
ユハ・パロオヤです。
パトリック・クロラです。
ヴェーティ・クルケラです。エグゼクティブディレクターを担当しています。

コテージシミュレーターのはじまりと進化
――みなさまはどのような経歴で、『フィンランド・コテージ・シミュレーター』を開発されているのでしょうか。
開発チーム:
みんなフィンランドのオウルから来ました。もともとは学生時代、ITプログラミングを学習して仕事にもしている仲間たちでした。最初は趣味として、半分遊び半分仕事のような感覚でゲーム作りをしていました。小さなプロジェクトをいくつかこなしていきましたが、そこまで真剣ではありませんでした。まずユハが本作のプロジェクトを開始して、ヴェーティが参加、そして少し後になってパトリックも加わり3人になりました。TikTokで少し宣伝をして反応を見たところ、人々が意外と興味を示してくれたので本業の傍らリリースに向けての開発を進めてきたといった経緯です。
――早期アクセス配信開始当初はあくまでコテージ暮らしが中心でしたが、アップデートを重ねてかなり大規模に拡張されている印象です。改めて現状の本作をどんなことができるゲームかご紹介いただけますでしょうか。
開発チーム:
はじめはフィンランドのコテージでおこなうような基本的な行動の実装から始めて、サウナ・水泳・釣り・飲酒・バーベキュー・ダーツ、それに「溺れる」要素などを追加していきました。なぜか徐々にストーリーを実装しようという話も出てきて、今すでに小さいパートはできあがっています。今後、ストーリーに関してのさまざまな計画がありますが実装までにはしばらく時間がかかりそうです。たとえば、隣人を始めとしてプレイヤーのコテージの近隣に住んでいるNPCが存在し、彼らにまつわる頼み事のクエストとストーリーなどを計画しているんです。

――もはやできないことを探す方が難しそうですが、ゲーム内に「できること」を追加する際には、どんな風に決めて実装しているのでしょうか?
開発チーム:
現状、作りたいものに関して意見の相違はないので、喧嘩や議論をすることがあまりありません。私たちは同じようなことを考えているようです。とはいえ、どのように実行に移すのかという点では具体的なことを考えるようにしています。私たちが目指しているのは「本物のコテージ生活」です。そして、私たちもそれに関する実体験を持っているわけです。基本的には、自分たちが経験したままに作るようにしているだけですね。また、それを楽しくて面白いものにしようという意識を持って作っています。
また、Discordサーバーにあるプレイヤーコミュニティからのフィードバックの中からも、追加してほしい機能やリクエストに耳を傾けて実装を検討していますね。いずれにせよ、多くの判断は「感覚」にしたがっています。サウナや薪割りといった基本的なコテージ生活の要素には、私たち自身の知識や経験が反映されているからです。ただし、ゲーム中にはフレンドを銃で撃つといったような現実離れした要素もあります(笑)ゲーム内で起こる過激でカオスな出来事については、私たちの実体験をそのまま再現したものではありません。ゲームとして面白くするために、現実とは少し違うものにしています。
――過去のSVTの報道によると、当時の時点で本作は想定の6倍となる3万本も売り上げていたそうですね。チームの生活や、開発環境にはどのような変化がありましたか。
開発チーム:
生活スタイル自体はほとんど変わっていません。これと言って特別なライフスタイルをとっているわけではなく今までどおりに暮らしていますが、ゲーム開発が趣味ではなく完全に仕事になりました。ゲームが成功を収めた結果、より多くの時間をゲーム開発に投じ、従業員を雇い、開発プロセスを改善することができました。日本に来られるようになったのもゲーム売上のおかげですね(笑)
私たちは全員でリモートワーク体制にてゲーム開発をしているため、各々で自分の環境を構築してきました。しかし、今は以前よりも環境構築のための予算が増えています。より良いツールを導入し、全体的に優れた機能や今後実装予定の新要素を開発できる環境が整いました。次のアップデートは、これまでの更新の中でももっとも細かいメカニクスを含むアップデートになると思います。
――当初はフィンランド語のレビューが圧倒的な多さでしたが、英語レビューも増えてきていますね。
開発チーム:
最初はやはりフィンランドで爆発的に広がりましたが、そこからゆっくりとヨーロッパ・ロシア、さらにアメリカにも広がり、世界中のあらゆる場所へじわじわ拡大していくのがわかりました。
――ゲーム内のサウナ利用周りの機能がかなり充実していると感じているのですが、どういった流れで現在のようなかたちへと進化していったのでしょうか。
開発チーム:
開発初期の頃は当然もっとずっとシンプルでした。サウナを使用するまでのプロセスそのものは基本的に同じですが、今は当初よりもずっと詳細で充実したものになっていると思います。
あとはサウンドのおかげで、かなり没入感が増していると思います。
サウンドに関しては、何度か修正を重ねた部分もあり特に去年の冬にたくさんのサウンドエフェクトを自分たちで収録して2~3か月後にそれを実装できました。まだ見直す必要があると思っていて、今後も引き続き対応していく予定です。何かが物足りないと感じたら、新しい音源を用意して適用するだけですが。
――もしかして、本当にサウナ内で録音をおこなっていたり……?
開発チーム:
そうです(笑)みんなでサウナに入って実際にサウナ内で鳴っている音を収録します。
細部へのこだわり
――凄いこだわりですね。『My Summer Car』 や『Finnish Army Simulator』 も含めて手順などがやたらと細かいリアルさもフィンランド系ゲームの特色かと思いますが、本作で「フィンランドのコテージ生活なら絶対に省けない」と考えてあえて細かく作りこんだ要素はありますか。
開発チーム:
フィンランドといえば、みなさんはまずラップランドやサウナを思い浮かべるかもしれません。本作ではサウナにおける「薪を割ってサウナに運んで火をつける」というような実際の体験にできるだけ近づけるようにしました。周りに人がいて、すごく汗をかく、温まったらプールや池に入ったりするというようなディテールがある。これらに対してプレイヤーがとても盛り上がってくれます。例外はあれども本作のサウナでの行動や細かい要素は、フィンランドのコテージ体験のもっとも象徴的な部分を取り上げています。
あと、友達とコテージに行ってサウナに入ったり、そこでビールをしこたま飲んだり、夜になるにつれて騒がしくなっていくというカオスな雰囲気は欠かせませんね。だからこそ本作にもマルチプレイヤーモードを用意しています。サウナはひとりで行くものではなくて、大抵友達と一緒に行くものです。現実でサウナに行くときはもう少し静かというか落ち着いた感じですが、それでも時折私たちが現実に経験するであろうことをゲームで体現していますね。

――過激でカオスな出来事についてはフィクションということでしたが、実際のフィンランドを反映している要素もありますか。
開発チーム:
カオスな雰囲気については先ほどお伝えしたとおりで、実際のコテージでの時間も、ときにはかなりカオスなものになることがあります。またビールに関してですが、フィンランドではそれこそゲームのように盗みたくなるほどに、酒類の税金が高いんです。もちろん現実では盗む人はほとんどいませんが、わざわざエストニアにビールを買いに行く人もいますね。
――ゲーム内なら気軽に盗めるんですけどね(笑)とはいえ本作では自由度が高い分、油断しているといろいろな死に方をしてしまいますが、皆さまが作中で一番「フィンランドらしい死に方」だと考えている例を教えていただけますでしょうか。
開発チーム:
フィンランドらしい死因となると……ムーンシャイン(密造酒)だと思います。最近ではほとんどいませんが、歴史を遡ればフィンランドではムーンシャインを作って、その質の悪さから有害物質への中毒を起こして死ぬという事例がありました。これはゲームの中でも起こりうることです。
――逆に、本作を“フィンランド生活の教材”として見た際に信じてはいけない部分を教えてください。
開発チーム:
少なくとも武器に関しての描写は信じてはいけませんね。フィンランドは銃規制が非常に厳しい国です。ですから、狩猟のライセンスと銃を持っている人はいるものの、通常それらは金庫や専用ケースなどに厳重に保管されています。
また、ゲームの中の人たちは現実のフィンランド人よりもビールを飲みすぎだと思いますよ(笑)フィンランド人はビールをはじめとしてアルコール類を楽しみますが、それほど多くはありません。酒豪もいればそうでない人もいますね。
――海外の人にも多く遊ばれていると思いますが、フィンランドのコテージを知らない人たちの遊び方にびっくりしたエピソードはありますか。
開発チーム:
フィンランドの文化をあまり知らないユーザーからすると、まずコテージに設置してあるコーヒーメーカーの使い方、コーヒーの挽き方がわからないということがありました。最初はどのユーザーもゲームの仕組みやコーヒーの淹れ方、温め方などに戸惑うかもしれませんが、最終的にはみんな慣れてコツを掴んでくれています。現時点ではゲーム開始時のチュートリアルにヒントを表示するシステムを用意しており、今後はコーヒーの淹れ方を含む、より多くの要素についてもヒントを追加していく予定です。ゲームの中でおこなうことが、結果的にフィンランドコテージでの生活様式をプレイヤーに教えてくれるような格好になっていますね。
日本とフィンランド
――本作では今年5月のアップデートで日本語に対応を果たしました。なぜこのタイミングで日本語ローカライズを実施されたのでしょうか。きっかけはありましたか。
開発チーム:
ゲームを作り始めたときからずっと日本語対応はしたいと考えていました。しかし、当初はコンテンツが十分でなくバグや問題もあったため、日本のゲーマーの基準からすると品質が不十分だと感じていました。日本は世界的に最大規模のゲーム市場がありますからね。今もアーリーアクセスではありますが、コンテンツもかなり追加され大きなバグにも対処し終えたので、安定性も上がり機能も豊富です。これならば日本語対応できると考えました。
――日本人ユーザーはどのくらい増えましたか。
開発チーム:
日本人ユーザーは当初に比べて何倍にも増えましたが、爆発的とまでは言えません。まだまだ伸びしろがあると感じています。ウィッシュリスト登録者数は非常に順調に増加していて、1万件に達しようというところです。この目標達成のためにも日本でマーケティングをしているところですね。

――今回日本には初めてお越しになったのでしょうか。開発チームの皆さまが日本に来て、誇張ではなかったのかとびっくりしたこと、あるいは誇張だったと確認できたことがあれば教えてください。
開発チーム:
これまで日本人に会う機会こそなかったものの、フィンランドでは日本人に関するいろいろな話を聞いてはいました。日本はとても綺麗だということを前に聞いたことがあって、来てみると誇張でなく本当に綺麗だとわかりました。おそらく日本に来る外国人はみんなが思っていることなのではないでしょうか。
逆にそれに日本人は“シャイ”だとよく言い聞いたこともありましたが、実際に来てみるとそんなことはなかったです。同じくシャイと言われがちなフィンランド人の基準ではありますが(笑)だってそうだと思います。数日前に、バーに行きそこの地元の人たちと出会って一緒にカラオケで唄ったり、日本とフィンランドの文化的な違いについて語り合ったりしました。そのあと朝の6時にラーメンを食べに行きました。そこでわかったことは、日本人とフィンランド人にはそこそこ似ているところがあるということです。日本人が特別に内気ということではなくて、共通点もたくさんあり、ただ言葉の壁があるだけだということがわかったんです。とても良い経験になりました。
ほかには、日本人はエンジニアリングや製品開発全般にこだわりがあるとよく聞きます。実際、日本製品の質は非常に高く、私自身もトヨタ車に乗っているのでその点を多少は知っています。街としてはたとえば地下鉄がそうであるように、何もかもがスムーズに動いていて機能的であると感じました。外国では電車が20分遅れてくるということはザラにありますので、日本が機能的であることは誇張ではないと感じます。
――ちなみに日本のサウナはもうお試しになりましたか。
開発チーム:
昨日もサウナに行こうとしたのですが、どこも全部満室でどうしても入れませんでした。帰国前に必ず行ってみたいと思っています。
――最近サウナは日本でも人気ですからね……!ところで、サウナの本家でもあるフィンランド人流の、おすすめのサウナの楽しみ方はありますか?
開発チーム:
フィンランド人流というか私個人の楽しみ方ですが、サウナの焼け岩に水を掛ける際、水の代わりにビールを掛けるのをおすすめしたいです。これをすると、焼き立てのパンのような香りが立ってすごく香ばしいんです。水に少量ビールを混ぜて掛けるのでもいいですね。フィンランドでもプライベートサウナでしかできないですし、日本でも再現は難しいかもしれませんが……(笑)
ちなみにフィンランドの場合は、個室サウナはほとんどありません。サウナと言ったらほとんどの場合は公衆サウナです。
今後について
――先ほど次のアップデートではこれまで以上にメカニクスが進化すると話されていましたが、どのようなものが実装されるのでしょうか。
開発チーム:
次回アップデートでは道具「チェーンソー」を追加します。これによって、木を伐採して丸太を切り出し、そこから木の板をクラフトしたりできます。板を作ればそれを用いてサウナベンチなどを作ることもできます。チェーンソーと伐採のプロセスそのものが細部まで作り込まれたメカニクスになる予定で、個人的にはプレイヤーにどのように反応してもらえるかをとても楽しみにしています。

――最後に日本の読者に向けて本作のおすすめの遊び方や、魅力を伝授してください!
開発チーム:
個人的には、マルチプレイのカオスさが一番楽しいと思います。本当にいろいろな、想像もつかないようなことが可能なんですよ。個人的にはそこが一番気に入っています。まさに私たちの好きな要素はそこに詰まっています。
でも、これは人によるとも思っていて、シングルとマルチではゲーム体験の性質が大きく変わるんです。シングルプレイなら、じっくりとエリアを探索したり、クエストをこなしたり、密造酒を作ってお金を稼いだりすることもマイペースに楽しめます。強いて言えば、シングルプレイヤーの方がリアルなフィンランド環境をシミュレートする楽しみに没頭しやすいかもしれません。
あと近い将来、新しいサウンドシステムを取り込む予定なんです。周囲の森の音を再現する仕組みです。まさに本物の森にいるかのような没入感を目指していて、シングルプレイの楽しみも増えると思います。素晴らしいサウンドシステムです。マルチプレイヤーの場合は、自分の周囲にいる他の誰かが走り回ったり、あなたを追跡するような場合にこのサウンドシステムをより味わえるかもしれません。
カオスな体験を求めているなら友達とマルチプレイをしたら良いし、一人で落ち着いた穏やかな時間を過ごしたいならソロプレイで入ればいい。プレイヤーが何を求めているかによって遊び方は無限大にあるんです。ちなみにゲームを進めるとチートコマンドも使ってさらにはちゃめちゃな遊び方もできますよ(笑)
――ありがとうございました。
『フィンランド・コテージ・シミュレーター』はPC(Steam)にて早期アクセス配信中だ。
[執筆・編集:Kei Aiuchi]
[撮影・聞き手・編集:Hideaki Fujiwara]
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