マイクロソフトの「Xbox Series X」と「Xbox Series S」が、日本を含め11月10に発売することがついに決まった。海外では、まず9月8日にXbox Series Sの初披露および発売日・価格の発表がおこなわれ、翌9日になってXbox Series Xの発売日と価格も発表。そして本日10日に、国内展開も発表された。
次世代Xboxのローンチに向けて、同社にとって非常に重要な日を迎えたわけだが、実はもともとは来週に発表する予定だったという。Xbox事業責任者のPhil Spencer氏が明かしている。
今回の発表を受けてPhil Spencer氏は、（Xbox Series Xの）価格や発売日、予約開始日の発表を待ち続けているファンがいることは承知していたとし、コミュニティのサポートに感謝の言葉を述べている。そして、“台本のない発表”をやってのけたチームを誇りに思うとした上で、「本当は来週に予定していたのだが、まあ仕方ない」と、予定外の発表であったことを明らかにした。
まだ発表の準備が整っていなかったにも関わらず予定を早めざるを得なかった理由は、直前に発生したリークだろう。9月8日に、Xbox Series Sの本体デザインを確認できる公式の素材とみられる画像がインターネット上に投稿され、価格や発売日までも明らかになってしまったのだ。Xbox Series Sは、噂レベルでは認知されていたものの、正式には存在が伏せられていた下位モデル。このリーク情報は、瞬く間に世界中を駆け巡っていった。
そのリークから数時間後、Xbox公式Twitterアカウントは「Awkward Look Monkey Puppet」と呼ばれるミーム画像を投稿。人々がXbox Series Sについて語っている様子を見て見ぬふりしていることを、あえて表に出した格好である。ここからマイクロソフトの対応は早かった。1時間後にXboxカラーである緑色のハートと、鍵を解錠した絵文字を投稿し、その直後にXbox Series Sを正式発表。そしてXbox Series Sの詳細と、Xbox Series Xの発売日と価格の発表を立て続けにおこなうこととなった。
リークによって重要な情報の多くが暴かれてしまったため、急遽正式発表をおこなった形。こうした噂を無視して翌週に大々的に正式発表しても、ファンをしらけさせるだけだったかもしれないことを考えると、やむを得なかったのだろう。その上で、同社の一連の対応については巧みだったとする意見もある。
複数の企業にてクリエイティブ・ストラテジストを務めるJack Appleby氏は、先述のミーム画像の投稿が万単位のリツイートといいねを得ていたことに注目。マイクロソフトが状況を理解していることを笑える画像にてあえて示し注目を集めた上で、すぐさま正式発表した。また、この時点ではXbox Series Sの本体デザインと価格だけを明かしていたが、詳細はすぐに伝えると予告し、そのとおりに実行。詳しい情報を知りたがるファンを上手くコントロールすることに成功したと評している。
とはいえ、これはマイクロソフト本社が位置するシアトルでは夜間に起きた出来事。同社のスタッフにとっては、突然のドタバタ劇だったであろうことは想像に難くない。Xboxの顔として知られるMajor NelsonことLarry Hryb氏は、チームは素晴らしい仕事をこなしてくれたとし、「今日はコーヒーが2倍必要になるかもね」と、Appleby氏に返信している。Phil Spencer氏が述べた台本なしの発表というのも、大げさではなかったのかもしれない。
Xbox Series X|Sについては、かなり早い時期からリークを基にした噂情報が駆け巡っていた。たとえば、Anaconda（Xbox Series X）やLockhart（Xbox Series S）というコードネームもそのひとつ。マイクロソフトのマーケティング担当ゼネラルマネジャーのAaron Greenberg氏は、Lockhartの由来はテキサス州ロックハートであると明かしている。この街は“大きなハートを持った小さな街”として知られているそうで、次世代のゲーミング体験をXbox史上最小の筐体に収めたXbox Series Sに相応しいということのようだ。こうした裏話を明かせるのは、もう隠すものはないということの証だろうか。
Xbox Series XとXbox Series Sは、共に11月10日に国内発売予定。価格はXbox Series Xが4万9980円、Xbox Series Sが3万2980円で、9月25日から予約受付を開始する（関連記事）。
