『Starfield』Xbox Series X|S版はなぜ上限30fpsなのか、専門家たちが理由を推測。ヒントは「サンドイッチ」にありか

 

Bethesda Softworksは6月12日に番組「Starfield Direct」を放送し、新作RPG『Starfield』の詳細情報を公開した。その後、開発元Bethesda Game StudiosのゲームディレクターTodd Howard氏が、本作の「Xbox Series X|S版は30fpsで動作する」と明らかにした。これがゲーマーの間で議論を呼ぶこととなり、ゲーム開発者などがその背景について考察している。

『Starfield』は、『The Elder Scrolls』シリーズや『Fallout』シリーズで知られるBethesda Game Studiosが、25年ぶりに手がける完全新作RPG。人類が太陽系外に進出している2330年の世界を舞台に、プレイヤーは希少なアーティファクトを求める宇宙探検家集団コンステレーションの一員として、広大な宇宙の星々を冒険する。

Todd Howard氏は海外メディアIGNの取材に対し、本作はXbox Series Xでは4K、Xbox Series Sでは1440Pの解像度で描画され、フレームレートについてはいずれも30fpsに固定されると説明。実際には、場面によっては60fpsが出るようなパフォーマンスを実現しているという。ただ、本作のような細かいディテールをもつ巨大なオープンワールド作品ではどのようなことも起こり得るため、ある程度の余裕を残しながら一貫性を確保するために、30fpsに固定する判断をしたとのこと。なお、PC版のフレームレートについては言及されていないが、こちらはユーザーのPC環境次第ということだろう。

このXbox Series X|S版は30fpsに固定されるという情報に対しては、海外ゲーマーの間では不満の声も少なくない。コンソールゲームにおいては、オープンワールド作品では30fpsで動作することが長らく一般的であったが、現行世代においては60fpsで動作するものも珍しくなくなってきている。作品によっては、フレームレートは落ちるが画質を優先させるか、画質を犠牲にしてパフォーマンスを優先するかを切り替え可能であったりもする。『Starfield』においても、少なくともそうしたかたちで、より滑らかな60fpsでプレイできると期待していたゲーマーが多かったのかもしれない。


不満を述べる意見のなかには、本作が未完成あるいは最適化不足のまま発売される証左ではないかと疑う声もある。そうした意見の背景には、同じBethesda SoftworksのオープンワールドFPS『Redfall』において、60fpsでプレイできるパフォーマンスモードの実装が、発売までに間に合わなかった事実があるかもしれない。

ただ、SIE Santa Monica Studioのシニア・スタッフエンバイロメントアーティストDannie Carlone氏は、『Starfield』のXbox Series X|S版が30fpsに固定されるのは最適化不足などではなく、“選択”であるとコメント。本作のような規模の作品を60fpsで動作させるとなると、ビジュアルの忠実度を大きく損なう可能性があるという。同氏は、解像度を落としたり可変にしたりすれば60fpsを実現できたかもしれないが、Bethesdaとしては高いレベルのビジュアルとシームレスなゲーム体験を求めて、30fpsに固定する選択をおこなったのだろうと述べた。

また、ゲームの技術解析で知られるテック系メディアDigital Foundryも、上の映像にて本件について見解を述べている。同メディアは、『Starfield』をオープン“ユニバース”作品であるとしてその壮大さに触れ、やはり選択に迫られた結果だろうとした。また、本作では登場オブジェクトについて内部的に非常に多くの要素を管理しているはずだとし、一例として“サンドイッチ”の存在を挙げた。

先日放送された番組「Starfield Direct」のなかでは、開発者のひとりが自らのプレイスタイルを紹介。敵の宇宙船を襲撃してサンドイッチを盗んでは、自分の宇宙船の貨物庫に保管しているとして、テーブルの上に多数のサンドイッチが積み上げられていく様子が映し出されていた。

Digital Foundryは、番組ではジョークとして紹介されたのだろうが、本作ではあらゆるオブジェクトの位置情報が追跡・記録されていることを示す重要なシーンであるとコメント。本作には100以上の星系に1000以上の惑星が存在するとされ、あらゆるオブジェクトを管理するのは大きなタスクだとした。また惑星には数々の巨大な街が存在し、そこで暮らす膨大な人数のNPCのAIの扱いについても、パフォーマンスに影響を及ぼし得る要素であると指摘。特にGPUではなくCPUがボトルネックになる可能性があるとし、あえて30fpsに固定したのだろうとコメントした。


『Starfield』の壮大なスケールを前にすると、Xbox Series X|S版が30fpsに固定されるということは、Dannie Carlone氏やDigital Foundryにとっては納得のいく判断であった様子。Digital Foundryは、本作のような規模の大作においては、今後ふたたび30fpsがスタンダードになる可能性すらあると述べている。もっとも、そうした判断がプレイヤーに受け入れられるかどうかが何より重要となるはずで、まずは本作のリリースが待たれるところである。

『Starfield』は、PC(Steam/Microsoft Store)/Xbox Series X|S向けに9月6日発売予定だ。