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NTE: Neverness to Everness』(以下、NTE)のVer.1.3では、新エリア「星暮保護区」が実装された。

巨大な湖を抱える山間部に、長く伸びる舗装路。さらに南へ進めば、広大な砂浜や港湾地区まで広がっている。ヘテロシティの市街地とは景色が一変し、単純な面積だけでいえば、これまでの全マップとほぼ同じサイズがまるごと追加されたという、とにかく広い新エリアだ。

しかし実際に走り回ってみると、「広い」という言葉だけではうまく説明できない。なんというか、ゲーム側のテンションが妙に高いのである。

各地の観光地をパッチワークしたような、季節感すら無視した風景。その土地を気持ちよく走るための道路があり、道を外れて遊ぶ仕掛けがあり、湖や海まで作ったと思えば、水上バイクまで追加された。

新しい土地を作ったのだから、余すところなく遊ばせたい。そんな勢いを感じる。結果として星暮保護区では、「目的地へ速く向かう」だけだったはずの移動がやたらと楽しい。今回はファストトラベルをなるべく使わず、そんな妙にテンションの高い新エリアを車や水上バイクで走り回ってみた。なお本稿には一部先行体験コンテンツが含まれるため留意してほしい。


秩父でも軽井沢でも熱海でもある。景色がはしゃいでる

星暮保護区に入ってまず面白かったのは、山や湖のスケール以上に、その景色が妙に現代的であることだった。

山肌を縫う道路はしっかり舗装され、斜面には土砂崩れ防止らしきコンクリート壁。巨大な鉄塔が立ち、道路沿いには民家やガソリンスタンドがぽつぽつと点在している。いわゆるファンタジー作品に登場する「手つかずの大自然」とは違う。人の暮らしが山の中まで入り込み、休日になれば都市部から車で遊びに来られそうな、やけに生活感のある郊外なのだ。

しかし、その景色に統一感があるかといえば、そうでもない。紅葉した木々の隣に突然桜並木が伸び、そこを抜ければ今度はひまわり畑が広がる。

筆者が思い出したのは、秩父や軽井沢、熱海などを訪れたときの景色だった。どこかで見たことがある。しかし、どこなのかと聞かれると困る。国内の観光地を巡った記憶だけを抜き出し、一か所へぎゅっと詰め込んだような感覚がある。

その感覚を妙に象徴しているのが、星暮保護区にあるコンビニだ。店舗自体はヘテロシティにあるものと大きく変わらないが、駐車場がやたらと広い。ゲームとして考えれば、別にここまで広くする必要はない。それでも山道を走ったあと、広い駐車場へ車を停めて店で軽食を買っていると、それだけで「遠出してきた」という気分になる。

こういう、なくても困らない部分の解像度が妙に高いのは『NTE』らしい。これまで『NTE』は、繁華街や住宅地、路地裏といった都市の生活感を細かく描き込んできた。星暮保護区では、その作り込みが街の外側にも適用されている。

グラフィックの最適化が進められていることも、ドライブの楽しさを後押しする。都市部では雨に濡れた路面やショーウィンドウの鏡面反射が印象的だったが、星暮保護区では木々の隙間から差し込む柔らかな光や霧の表現が目を引く。PC版ではパストレーシングを有効にして主観視点で走っていると、一瞬実写と見紛うような景色に出会うこともある。

ちなみに、Ver.1.3では乗車中や水泳中の撮影にも対応した。山道で愛車を撮ったり、コンビニの駐車場に車を並べてツーリング風の記念写真を残したりするのもいい。星暮保護区はまず、「走る理由を探さなくても走りたくなる場所」となっている。


景色のいい山道で、車を吹っ飛ばす

そんな景色のいい道路を作った『NTE』だが、普通に走って終わりではない。星暮保護区の各地には、ジャンプ台が設置されている。大抵は坂道の先など、速度をつけたまま突っ込みやすい位置にある。当然、見つければ飛びたくなる。

勢いよく進入すると車体が宙を舞い、画面はスローモーションへ。カメラも車体を下からあおる派手なアングルへ切り替わり、着地後には遊園地の絶叫マシンよろしくジャンプ中の記念写真まで残してくれる。

ちなみにジャンプ台は「スタンプ」の一種でもあり、利用すれば足跡ポイントも獲得できる。探索上の実利まで用意されているのだが、そんなことを知らなくても、目の前にあればとりあえず飛んでしまう魅力を備えている。

さらに新異象「小鹿の奮闘記」では、山道に出現した幻想的な鹿の群れを車で追いかけることになる。派手な攻撃が飛んでくるわけではない。ただ追うだけだ。

しかし鹿たちは舗装路などお構いなしに、山や草原を駆け抜けていく。当然こちらもその後を追い、車ごと道なき道へ突っ込む。少し前まで気持ちよく舗装路を流していたはずが、いつの間にかオフロードレースとなる。

ジャンプ台も「小鹿の奮闘記」も、共通しているのは、星暮保護区という土地そのものを乗り物で遊ばせようとしていることだ。

これまで車は、広い街を快適に移動するため、あるいはレースに勝つための重要な手段だった。星暮保護区では、その役割がさらに広がっている。

オラクルストーンも車に乗った状態で取得できるため、探索でも乗り降りを繰り返す必要はあまりない。景色を眺めながらアクセルを踏んでいるだけで探索が進み、その途中でジャンプ台を見つければ寄り道し、鹿がいれば山へ突っ込む。

目的地へ向かうために車へ乗っていたはずなのに、いつの間にか移動そのものが遊びになっている。


湖まで作ったので、当然水上バイクも追加する

そして星暮保護区は、陸地を遊び場にしただけでは飽き足らず、水面にまで手を伸ばしている。

ブラインドボックス「閃光サーフ」で入手できる水上バイク「Tide」は、海や湖の近くならその場で呼び出せる。ハンドリングには少し癖があるものの、慣れれば水面を滑るように走れて気持ちがいい。

個人的に大きいと感じたのは、単純に水上を速く移動できるようになったことではない。水辺そのものに対する感覚が変わったことだ。以前なら車ごと水へ落ちれば、基本的には失敗だった。強制的に車から降ろされ、泳いで陸地へ戻る。水面は綺麗な風景ではあっても、移動という観点ではひとつの壁だった。

しかし今なら、その場で水上バイクを呼び出せばいい。落とし穴のようだった水辺が、そのまま次の移動ルートになる。この開放感はかなり心地いい。南側の「星沈湾」まで進めば、巨大な砂浜に灯台、ビーチバレー、水上バイクのカスタムショップなどが現れ、山間部とは一気に雰囲気が変わる。ヘテロシティに隣接する海が都市のウォーターフロント、Ver.1.1で追加されたヒナタ島が南国リゾートだとすれば、星沈湾は湘南や江の島のような「海そのものが目的になる観光地」といった印象だ。

さらに水上バイクには、キャラクターを同乗させることもできる。巨大な湖をふたりでのんびり進めば、スワンボート……とまではいかないにせよ、かなりデートらしい雰囲気になる。もちろん、沿岸の奇妙な難破船や、湖の中央にある鏡が割れたような異象といった『NTE』らしい地点へアクセスするための助けにもなる。単なる移動手段ではなく、「水辺で何をするか」という選択肢そのものを増やしているわけだ。


遊びの懐も広すぎる

ここまで広い箱庭を与えられると、真面目に探索しているだけでは少々もったいなくなってくる。

筆者が妙に気になったのが、湖に停められている操縦可能な船だった。これは現状唯一操縦できる船で、湖にある異象へ向かうためにも利用できる。しかし通常、この船を湖の外へ出すことはできない。湖から伸びる川自体は海へ繋がっているものの、水深が浅く、途中で止まってしまうからだ。

ならば、本当に海へは出せないのか。試しに車で船へぶつかってみると、少し動いた。しかも途中で消える様子もない。

なら、押し続ければいい。馬力のあるスポーツカーや車体の大きな車を使い、何度も位置を調整しながら船を押す。ときにはボンネットの上へ無理やり載せながら、川の上を運び続けた。かなり苦労したものの、最終的には湖から数キロ離れているであろう海まで船を運ぶことに成功。そのまま漕ぎ出すことができた。

もちろん、これが公式の意図した動作なのかはわからない。しかも実用性だけでいえば、水上バイクの方が圧倒的に高い。それでも一度海へ出してしまえば、NPCの船と並走したり、ヒナタ島方面へ向かったりできる。これまでゲーム中に存在しながらも運転できなかったもどかしさのせいか、水上バイクとはまた違った楽しさがある。

ほかにも星暮保護区には、山奥の洋館や苔むした廃ビル、登れる鉄塔など、気になる場所がいくらでも存在する。広い場所を与えられると、「行く意味のない場所」へ行ってみたくなる。そして「やる意味のないこと」まで試したくなる。

星暮保護区には、そうした無茶な寄り道を受け止められるだけの余白がある。ゲーム側が妙なテンションで巨大な遊び場を作った結果、遊んでいるこちらまで「これもできるんじゃないか?」と妙なテンションになってくるのだ。


景色も遊びも広がる、かなり自由な新エリア

振り返ってみれば、今回やっていたことの多くは、本来ならただの「移動」でしかなかったはずだ。車で山道を走る。湖へ向かう。水面を渡る。しかしその途中でジャンプ台から飛び、鹿を追って山へ突っ込み、気がつけば船へ車をぶつけて何キロも先の海まで運んでいる。

『NTE』のVer.1.3は、目的地となる空間を増やしただけではない。目的地と目的地のあいだにある場所まで、どうにか遊びにしてしまおうとしている。今回広がったのは、単なるマップの面積だけではない。「ここまでがアクティビティで、ここから先は移動区間」という境界そのものが、さらに曖昧になった。

街暮らしを丸ごとゲームにしようとしていた『NTE』が、今度は郊外へのドライブも、水上も、その途中にある寄り道も遊びの中へ取り込み始めている。新しい土地を作ったなら、ただ道路を走るだけではもったいない。車を飛ばし、山へ突っ込ませ、湖まで作ったなら水面も走らせたい。そんな妙に高いテンションが、このエリアにはずっと流れている。

そういう意味で、星暮保護区はかなり『NTE』らしい新エリアだった。陸地も水辺も、ここまで遊び場になった。あとはもう、足りないのは空飛ぶ乗り物くらいである。

NTE: Neverness to Everness』は、PC(公式サイト/Steam/Epic Gamesストア/Google Play Games)/Mac/PS5/iOS/Android向けに基本プレイ無料で配信中だ。

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