Steamに「バックルームお片付けゲーム」が2作品同時に出現、しかも名前がまったく同じ。“整理整頓系”ゲームが流行りすぎて衝突か

Steamにて、まったく同じタイトルを掲げ、さらに舞台やジャンルまで共通する2本のゲームが登場する珍事が起きている。

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Steamにて、まったく同じタイトルを掲げ、さらに舞台やジャンルまで共通する2本のゲームが登場する珍事が起きている。それらの名は『Tidy Up The Backrooms』。いずれもインターネット発のホラー「バックルーム」を舞台に、散らかったものを整理整頓していくゲームだ。

Lowkey GameDev版

そのうちひとつは、デベロッパーのLowkey GameDevが手がける『Tidy Up The Backrooms』(以下、Lowkey GameDev版)だ。対応プラットフォームはPC(Steam)で、10月27日に配信予定。バックルームから回収された大量のビデオテープを仕分け、映像やラベル、異常現象などを分類してアーカイブを完成させていく整理整頓シミュレーションゲームとなっている。

Lowkey GameDev版では、棚いっぱいに並ぶVHSテープや、床を埋め尽くすほど積み上がったテープをひとつずつ整理していく。テープにはさまざまな記録が収められているようで、映像を確認しながら断片的な情報をつなぎ合わせていくことになるという。ただし、中には普通のビデオとは異なるものも存在。トレイラーでは、異形の存在の姿も確認できる。つまり本作は、大量の物を正しい場所に収めていく“お片付け”を軸としながら、バックルームをめぐる不穏な謎を追っていく作品となるわけだ。

DreadVault版

そしてもうひとつは、デベロッパーのDreadVaultが手がける『Tidy Up The Backrooms』(以下、DreadVault版)だ。パブリッシャーはMalum Games。こちらは10月1日に配信日が発表され、PC(Steam)向けに12月2日配信予定となっている。

こちらも一人称視点でバックルームへ足を踏み入れ、散らかったものを片付けるシミュレーションゲーム。ただし整理するのはVHSではなく、なぜかバックルームへ丸ごと消えてしまった“百貨店の商品”である。家具や照明、装飾品などを黄色い迷宮から探し出し、元の百貨店へ持ち帰って正しい売り場や棚、ディスプレイへ戻していく。

バックルーム内にはストーカーや怪物、罠なども存在する。肉眼では見えない罠を映すビデオカメラや、危険地帯を示すハザードテープなどを利用できるほか、壁に矢印や警告を書き残したり、懐中電灯や移動能力を強化したりしながら、より深い階層を探索していくことになる。一方で、ホラー要素そのものを無効化する「Calm Mode」も搭載。怪物などの脅威を取り除き、探索やパズル、商品整理だけを楽しむこともできるという。

Lowkey GameDev版

このように両作は、開発元が異なる完全な別作品。しかし「Tidy Up The Backrooms」というタイトルだけでなく、「バックルームへ入り、大量のものを整理する」というゲームプレイの根幹部分まで一致している。

なお、確認できる範囲では、Lowkey GameDev版については8月14日付の記録まで遡ることができる。8月20日の更新では『Let’s Tidy Up! Backrooms』という名称とともに、バックルームから回収されたビデオテープを整理する現在と同様のゲーム概要が確認可能。その後、9月23日にはタイトルが現在の『Tidy Up The Backrooms』へ変更されている(SteamDB)。

DreadVault版

一方、DreadVault版について確認できる記録は9月24日以降となっている(SteamDB)。少なくとも公開情報を遡れる範囲では、Lowkey GameDev版の情報が先に確認でき、同作が現在の『Tidy Up The Backrooms』へ改題されてからほどなくして、もう一方の同名作品についても情報が確認できるようになった格好だ。

もっとも、こうした記録の日付は、それぞれの作品が企画・開発され始めた時期を示すものではない。この時系列だけをもって、どちらかがもう一方を意識してタイトルや内容を寄せたとは判断できず、別々に進められていた作品が、結果として同じ題材とタイトルへ行き着いた可能性も考えられるだろう。

『司書のお仕事:魔導図書館を片付けろ!』

こうした珍しい衝突が起きた背景のひとつには、Steamでここ数か月、“大量アイテムお片付け系”ゲームが相次いで登場している状況がある。流行のきっかけとして挙げられることが多いのが、ArtRisingが4月30日に配信した『司書のお仕事:魔導図書館を片付けろ!』だ。

同作では、魔導図書館に散乱した3072冊もの本を、それぞれ正しい本棚へ戻していく。最大同時接続プレイヤー数は本稿執筆時点で約2万9500人を記録(SteamDB)し、Steamユーザーレビューは2万6379件中94%が好評とする「非常に好評」ステータスを獲得するなど、大きな注目を集めた作品だ。

また、『司書のお仕事:魔導図書館を片付けろ!』の配信から約3週間後となる5月18日には、ValveもSteamの公式ストアタグとして「整理整頓」を新設した。同社は新たなタグについて、適用できるゲームがSteam上に十分存在し、既存タグの組み合わせでは表現しにくい作品同士のつながりを作れる場合に追加すると説明。「整理整頓」については、片付けや散らかったものの整理、荷ほどきなどを通じて、仮想空間内へアイテムを慎重に配置するゲームと定義している。

『Supermarket Chaos』

その後Steamでは、6月に4668点の商品をスーパーの棚へ戻す『Supermarket Chaos』、7月に宇宙船内で本を整理する『Tidy Up: Spaceship』が配信開始。8月には『Cleaning Up The Puzzle Gallery』をはじめ、『Cellar Keeper』『Sort Them Ducks』『Tidy Up Together』などが立て続けに登場した。大量のアイテムを分類し、それぞれ所定の場所へ戻していく作品が、短期間に相次いで配信された格好だ。

SteamDB:Steam Organizing Game Releases by Year

また、「整理整頓」タグが付けられた2026年配信作品は、本稿執筆時点で158本。2025年の22本、2024年の10本を大きく上回っている(SteamDB)。同タグは5月に新設されたものであり、過去作品にも後から付与できるため、単純な年次比較はできない。それでも、現時点でタグ付き作品が2026年に大きく集中していることはうかがえる。

なお9月には、こうした“大量アイテムお片付け系”作品が相次いで登場する状況がSNS上で話題となった(関連記事)。一部ユーザー間では、整理を意味する「sort」と、低品質なコンテンツなどを揶揄する際にも使われる「slop」を組み合わせた「sortslop(ソートスロップ)」という呼称もみられる。もっとも「slop」は否定的なニュアンスを含むため、過去に「friendslop(フレンドスロップ)」がトレンドとなった際には、使用を止めるように呼びかける業界人もあらわれていた(関連記事)。とはいえ、共通の呼び名として便宜上用いられており、必ずしも個々の作品の品質を示して呼称されているわけではない点には留意したい。

こうした作品が増えるなか、整理整頓ゲーム同士で題材やタイトルが重なるケースは他にもみられる。9月25日には『Museologist: Tidy Up the Museum!』、翌26日には『DinoBones: Tidy Up the Museum』がSteamで配信された。いずれもタイトルに「Tidy Up the Museum」を掲げ、博物館を片付けていく作品である。Steam上で2作品が並んで表示された様子はRedditでも話題となり、投稿には約2900件の賛成票が集まった。投稿者は「整理ゲームが手に負えなくなってきた」とコメントしており、作品数が増えるなかで、題材やタイトルまで重なるケースがすでに現れていたわけだ。

DreadVault版

今回の『Tidy Up The Backrooms』では、タイトルが一字一句同じうえ、舞台もバックルームで、“大量のものを片付ける”というゲームのメイン要素まで共通する。一方で、前述したように、Lowkey GameDev版はVHSテープの分類とアーカイブ作業、DreadVault版は百貨店の商品回収と探索が中心で、実際のゲームデザインにははっきりとした違いも存在する。また、「Tidy Up」というフレーズは整理整頓ゲームのある種の代名詞となっている状況もあり、バックルームという人気の題材と組み合わせた作品が登場するのは時間の問題だったかもしれない。Steamで『Tidy Up The Backrooms』を探す際には、ストアページまでよく確認した方がよいだろう。

Lowkey GameDev版『Tidy Up The Backrooms』はPC(Steam)向けに10月27日配信予定。DreadVault版『Tidy Up The Backrooms』はPC(Steam)向けに12月2日配信予定だ。

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Junya Shimizu
Junya Shimizu

ローグライクが大好きです。映画や海外ドラマも好きなので、常に時間に追われています。

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