基本プレイ無料FPS『サドンアタック:ゼロポイント』試遊感想。あの頃のFPSは、こんなにも無骨で“ザラついて”いた

『サドンアタック:ゼロポイント』は、オンラインFPS『サドンアタック』のリマスター版だ。弊誌は早期アクセスに先駆けて、『SAZ』の試遊イベントに参加する機会に恵まれた。

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ネクソンは7月30日、FPS『サドンアタック:ゼロポイント(以下、SAZ)』の早期アクセスを開始予定だ。対応プラットフォームはPC(Steam)で、基本プレイ無料で配信される。

本作は、オンラインFPS『サドンアタック』のリマスター版だ。オリジナル版は2007年に日本でサービスを開始し、高い人気を博しながら長年にわたり運営された。今回、弊誌は早期アクセスに先駆けて、『SAZ』の試遊イベントに参加する機会に恵まれた。

まず筆者は、原作にあたる『サドンアタック』をほとんどプレイしていない。同時期にサービスされていた、別の基本プレイ無料FPSをいくつか遊んでいた程度である。それでも『SAZ』で最初の数発を撃った瞬間、20年近く前に遊んだFPSの記憶が一気に蘇ってきた。

使えるのはプライマリ、セカンダリ、近接武器、グレネード、そしてC4。特殊能力をもつヒーローも、壁越しに敵を発見できるような便利な装備もない。敵を見つけたら足を止め、銃を撃つ。足音を聞き、角を警戒し、倒されたらもう一度武器を握る。中心にあるのは、どこまでも純粋な銃撃戦だ。

ただし、そのゲームプレイを「昔ながら」「懐かしい」の一言だけで片づけるのは、少々もったいない。本作から感じられたのは、過去のゲームをそのまま復刻したような古さではなく、当時のFPSが備えていた無骨な手触りを、現代の技術で改めて組み直そうとする姿勢だった。

本稿では、便利な能力や派手な仕掛けに覆われていない、『SAZ』のむき出しで“ザラついた”銃撃戦についてお伝えする。

死んでは撃つ、その反復が楽しい

今回の試遊では、チームデスマッチと爆弾解除という2種類のモードをプレイできた。

最初に挑戦したチームデスマッチは、倒されても何度でも復活でき、先に合計80キルを達成したチームが勝利するシンプルなルールだ。今回体験したマップ「ウェアハウス」も、コンテナや木箱が並ぶ倉庫という、実に古典的なFPSらしい舞台である。

試合開始直後に痛感したのは、本作の銃がまるで素直に弾を飛ばしてくれないことだった。

筆者は近年、『オーバーウォッチ』シリーズをはじめ、移動しながらでも比較的狙った場所へ弾を飛ばしやすいFPSを遊ぶ機会が多かった。その感覚で銃を撃つと、照準は敵に合っているはずなのに、弾は周囲へ激しく散っていく。

走りながら適当に撃つのではなく、まずは足を止める。そのうえで銃ごとの反動を意識しながら、照準が跳ね上がらないように制御しなければならない。久しぶりにFPSから「ぬるいことやってんじゃねえよ」と怒られたような気分である。

当然、最初はまるで弾が当たらない。しかしストッピングを意識し、数発ずつ丁寧に撃つことで、徐々に敵を仕留められるようになっていく。自分の操作がそのまま結果へ結びつく感覚がわかりやすく、たった1キルでも嬉しい。さらに敵を立て続けに倒せば、「ダブルキル」「ファンタスティックキル」といった威勢のよいボイスと演出が試合を盛り上げる。

近年のFPSでは、情報量を整理するためか、キル時の演出を比較的控えめにしている作品も少なくない。その点、本作のマルチキル演出はかなり直接的だ。敵を倒した事実を大きな声で褒め、画面と音で気分を徹底的に高揚させてくる。見方によっては上品ではないのかもしれない。だが、にんにくが大量に入ったラーメンのように「結局これがうまいんだよな」と思わせる力がある。

そしてウェアハウスはマップ自体が狭く、復活地点から少し移動すればすぐに敵と遭遇する。体力も少なめで、撃ち合いは短時間で決着する。一度の命は驚くほど軽い。だからこそ、失敗を恐れずにさまざまな武器や立ち回りを試せる。正面から撃ち合って負けたら、次は別の通路を使う。アサルトライフルがうまく扱えなければ、サブマシンガンを試してみる。倒されても、数秒後には次の戦いが始まる。

死んで、復活して、また撃つ。その高速な反復を続けるうちに、次第に勝敗や自分の成績すら意識の外へ消えていった。目の前に現れた敵を撃ち、倒されれば再び走り出す。ヒリつく命のやり取りを何度も繰り返し、軽いトランス状態に入るように試合へ没頭していた。

特殊なルールがあるわけでも、派手な能力を組み合わせるわけでもない。それでも、ただ撃ち合うだけで夢中になれる。銃撃戦は、それ自体がやはり面白いのだと思わされた。

きれいになったが、きれいすぎない

『SAZ』のグラフィックは、原作『サドンアタック』のマップ構造や雰囲気を残しながら、ライティングやテクスチャ、銃器のモデルなどを現代的に更新したものとなっている。

特に銃器の質感は美しく、手に持った際の存在感も十分だ。壁やコンテナといったオブジェクトにも細かな質感が加わっており、単に昔のゲームを高解像度化しただけの作品ではないことがわかる。

一方で、現代の最先端を走るフォトリアル作品と比べれば、マップ内のオブジェクトは少なく、構造も直線的で簡素だ。倉庫には大量の生活用品や小物が置かれているわけではない。あくまで、撃ち合うための空間として作られている。こうした飾り気がなく、生活感に乏しい雰囲気を、現代の基準では古いと感じる人もいるだろう。しかし筆者には、その簡素さも含めて、当時のFPSがもっていた感触の一部に思えた。

ゲームの世界に現実の街や施設をそのまま再現するのではなく、遮蔽物や通路、射線によって構成された「戦うための場所」を作る。そこには観光地のような華やかさはないが、どこから敵が現れるかわからない荒涼とした怖さがある。

そして、その空気を大きく支えているのが音響だ。

試合中には、雰囲気を盛り上げるためのBGMがほとんど流れない。聞こえてくるのは、足音や銃声、グレネードの爆発音、地面に落ちる薬莢の音である。音は周囲の環境に合わせて変化し、たとえばコンテナの中では、銃声や薬莢が落ちる音が狭い金属空間に反響する。細かな違いではあるが、実際にその場へ入り込んだような立体感が生まれていた。

足音が敵の位置を知る重要な手がかりになる本作では、音は単なる演出ではない。どこから敵が近づいているのか、近くで何人が撃ち合っているのかを判断するための情報そのものだ。生活感のない倉庫、無骨な銃器、そしてBGMに頼らない空間に響く足音と銃声。それらが混ざり合い、『SAZ』の戦場には、つるりと整えられた現代的な作品とは異なる“ザラつき”が生まれている。

グラフィックは確実に進化している。しかし、当時の荒涼とした感触まで削ぎ落としてはいない。「きれいになったが、きれいすぎない」というバランスが、本作ならではの懐かしさを支えている。

軽かった命が、爆弾解除では急に重くなる

チームデスマッチで何度も死と復活を繰り返したあとにプレイしたのが、マップ「第3補給倉庫」での爆弾解除である。

こちらでは攻撃側と防衛側に分かれ、攻撃側は指定された地点への爆弾設置を、防衛側はその阻止や、設置後の解除を目指す。チームデスマッチとは異なり、一度倒されるとそのラウンド中は復活できない。先ほどまで驚くほど軽かった命が、急に重くなる。

最初はマップの構造もわからないまま、とりあえず味方についていく。どこに敵がいるのかもわからず、角を曲がるたびに警戒する。正面からの撃ち合いでは、ストッピングや反動制御に慣れた相手になかなか勝てない。しかし、足音を抑えて敵の背後へ回ることができれば、あっけないほど簡単に複数人を倒せることもある。

本作には通常の走りのほか、移動速度と引き換えに足音を抑える歩き、姿勢を低くするしゃがみが用意されている。操作だけを見れば非常にシンプルだが、爆弾解除では、それぞれの行動に明確な意味が生まれる。素早く移動して設置地点へ向かうのか。足音を抑え、敵に気づかれないように裏へ回るのか。しゃがんで狙いを安定させ、敵が現れるのを待つのか。派手な特殊能力がなくても、移動速度と音、射線だけで十分に駆け引きが成立している。

印象的だったのは、味方ひとりだけが残り、1対4の状況へ追い込まれたラウンドだ。

攻撃側だった味方はB地点に爆弾を設置した。しかし敵チームは全員がA地点へ向かってしまったらしく、爆弾が逆側にあると気づいた頃には手遅れ。そのまま時間切れとなり、爆弾が爆発してこちらの勝利となった。派手な撃ち合いで敵を全滅させたわけではない。ただ相手の読みとは違う地点へ爆弾を置いたことで勝利したのである。

銃をうまく撃つことだけが勝利につながるわけではない。どちらの地点を攻めるのか。いつ姿を見せるのか。敵がどこにいると考えるのか。シンプルなルールだからこそ、ひとつひとつの判断が試合結果へ直結する。

また試遊開始直後、参加者のボイスチャットから聞こえてきたのは、悲鳴やその場のリアクションばかりだった。しかし何度かラウンドを重ねると、自然と「2階から行きます」「Bサイドの爆弾見てます」といった具体的な報告が飛び交うようになった。

チームデスマッチでは一度の命が軽いからこそ、死と復活の反復に夢中になれた。一方、爆弾解除では一度の命が重くなることで、足音ひとつ、判断ひとつに緊張が宿る。勝とうとして試行錯誤するうちに、必要な連携が自然に生まれていく。

同じ銃撃戦のシステムを使いながら、正反対の快感が生まれている。この振れ幅も、『SAZ』のシンプルな仕組みがもつ強さだろう。

懐かしい銃器と、現代的なカスタマイズ

本作に登場する武器にも、往年のオンラインFPSらしさが詰まっている。

ロードアウト選択画面には「FAMAS」「P90」「SVD」など、かつてFPSを通じて名前を覚えた銃器が並ぶ。近年では、ライセンスなどの事情から架空名の銃器を採用するゲームも多い。それだけに、見慣れた実名の銃器を再び手に取れること自体に、独特の高揚感があった。

武器にはカスタマイズ要素も用意され、マズルやサイト、ストックなどのパーツを変更可能だ。性能に影響するパーツだけでなく、外見を変えるスキンの存在も確認できた。なお今回の試遊では、すべての武器レベルとパーツが解放された特別な環境が用意されていた。正式サービスでは武器を使い込んでレベルを上げることでパーツを解放していくほか、ショップ機能や、ユーザー間でパーツを取引するブラックマーケットも実装予定だという。

銃撃戦の根幹は昔ながらに見えても、その周囲には継続的に遊ぶための現代的な仕組みが加えられている。『SAZ』は20年前のFPSをそのまま再現しようとしているわけではない。あの頃の銃撃戦を中心に据えつつ、現在のオンラインゲームとして遊び続けられる形へ作り直そうとしていると感じた。

蘇らせるのは、古いゲームではなく“あの熱量”

リアル寄りの競技FPSという分野には、すでに長く遊ばれている強力な作品がいくつも存在する。その中で『SAZ』が長期的にどのような独自性を打ち出していくのかは、今回の短い試遊だけではまだ見えない部分もある。原作を知らないプレイヤーにとっては、本作のシンプルなマップや無骨なシステムが、単に古いものとして映る可能性もあるだろう。

それでも、実際に銃を撃った際の手触りには確かな魅力があった。足を止めて狙い、激しい反動を抑えながら敵を撃つ。敵を倒せば大げさなボイスに褒められ、倒されればすぐに次の戦いへ向かう。爆弾解除では足音を抑え、味方と声を掛け合いながら、たった一度の命を慎重に使う。

便利な能力も、複雑な目的も必要ない。銃撃戦そのものが面白ければ、それだけで何度も試合を繰り返せる。

『SAZ』が蘇らせようとしているのは、古いゲームそのものではないのかもしれない。何度倒されてもすぐに次の試合を始め、銃撃戦だけで何時間でも遊べた、あの頃のFPSの熱量だ。その熱が現代のプレイヤーへどこまで伝播していくのか。早期アクセスの開始を期待して待ちたい。

『サドンアタック:ゼロポイント』はPC(Steam)向けに、7月30日に基本プレイ無料で早期アクセス配信予定だ。

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Yusuke Sonta
Yusuke Sonta

『Fallout 3』で海外ゲームに出会いました。自由度高めで世界観にどっぷり浸れるゲームを探して日々ウェイストランドをさまよっています。

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