リマスター版『メタルサーガ 鋼の季節』試遊レポート。熱狂的ファンが“権利元に直談判”して20年越しに叶えた夢は、「忠実」かつ「快適」

『メタルサーガ 鋼の季節』リマスターでは、オリジナル版の操作感などは改善されつつも、ゲームプレイそのものの面白さは損なわれず、ファンの期待を裏切らない出来になっている。

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ChinaJoy 2026の開催前、出展タイトルリストを眺めていた筆者は、思わず目を疑うような懐かしい名前に遭遇した。——『メタルサーガ 鋼の季節』である。ベテランゲーマーの読者ならご存じの通り、本作は本来ニンテンドーDS向けに発売されたタイトルであり、すでに20年近く前の作品だ。「なぜ2026年のChinaJoyに?」と一瞬タイムスリップでもしたかのような錯覚を覚えつつ、好奇心に突き動かされるまま、開幕初日のChinaJoy Expressブースへと向かった。

現地を訪れると、そこには驚きの事実が待っていた。『メタルサーガ 鋼の季節』が現世代プラットフォーム向けにまさかのリマスターを果たそうとしていたのだ。しかも、開発を手がけるのは中国のゲーム会社であるJoystick(巧思)。同社の代表を務める人物が『メタルマックス』シリーズの熱狂的なファンであり、権利元であるサクセスに直接直談判してライセンスを取得、今回のリマスターを実現させたのだという。会場では、現在開発中とされるデモ版をプレイすることができた。

タッチペン限定の“不満点”を解消。現世代機向けの操作体系へ進化

今回出展されたデモ版は比較的初期段階のビルドと見受けられたが、構成はストーリーパートと戦闘パートの2つに分かれており、それぞれの基本要素を体験できるようになっていた。

そもそもニンテンドーDSで発売された原作は、何を血迷ったのか「全編タッチパネル専用」という尖りすぎた仕様を採用していた。十字キーや他のボタンが一切機能しない操作体系は当時大きな議論を呼んだポイントであり、多くのシリーズファンがその操作性に耐えかねて途中で投げ出す原因ともなっていた。

対して今回のリマスター版は、PCおよびコンソール向けにリリースが予定されている。操作体系は当然ながらコントローラーおよびキーボード操作へと最適化された。原作からの変更点として、最も直感的かつ最大の改善点と言えるだろう。

グラフィックは基本的に原作のドット絵スタイルを踏襲している。ストーリーパートは斜め45度を見下ろすクォータービュー、戦闘画面はシリーズお馴染みの2Dターン制バトルで、敵味方が左右に陣形を組んで対峙するスタイルだ。

ビジュアル面の変化としては、UIがHD化されたほか、画面がワイドスクリーン対応となったことで描画範囲がわずかに広がっている。一方で、フィールド上のオブジェクトやキャラクターの立ち絵にはあえて粗いドット感が残されていた。ブースのスタッフによると、これは「原作の雰囲気を極力損なわないため」のこだわりだという。なお、立ち絵に関しては今後の開発過程でさらに最適化を重ね、よりクッキリとした表現にブラッシュアップしていく計画もあるそうだ。

さらに本作には画面フィルター機能も搭載されており、携帯ゲーム機特有のピクセル感やCRTモニターの表示を再現したノスタルジックな映像でプレイを楽しむこともできる。

一周目は原作を忠実に再現。二周目から広がる“ファン歓喜”の最適化

肝心のゲーム内容に関して言えば、今回試遊できた範囲を見る限り極めて原作に忠実で、DS版からほぼ変更が加えられていない印象を受けた。

スタッフの解説によれば、開発チーム内部でもゲームデザイン上の改善案は幾つか浮上したものの、「原作のバランスの上に成り立つ数値設計や進行テンポを壊したくない」という想いから、一周目のプレイは原則として原作のゲームプレイを忠実に踏襲する方針を採ったという。全編タッチパネルというハードルを取り払った状態で、まずは作品が本来持っていた魅力を純粋に味わってほしいという狙いがあるようだ。

一方で、シリーズ他作品に近い快適な操作感や各種利便性の改善要素については、二周目以降のやり込み要素として組み込む計画が進んでいるとのこと。開発を主導しているのが重度の古参ファンだからこそ、こうした新要素もファンの期待を裏切らないものとなりそうだ。

もっとも客観的な視点を交えるなら、20年前のレトロRPGである以上、現代ゲームの基準から見ると不親切に感じる設計も少なくない。例えば「次にどこへ向かうべきか」というナビゲーションが乏しく、基本的にはNPCとの会話からヒントを自力で読み解く必要がある。少し離れた場所へ移動したあとに情報を忘れてしまえば、再び同じNPCのもとへ戻らなければならない。また、特定の場所で特定のNPCやオブジェクトとインタラクトしなければフラグが立たないイベントも存在する。こうしたクラシックな導線設計は現代のRPGでは絶滅危惧種と言っていい。しかし裏を返せば、この時代の古き良きRPGの手触りを愛するゲーマーであれば、「これだよ、この味だ!」と歓喜すること間違いなしだ。

また、NDS版原作にはプレイ体験を著しく損なう既知のバグが多数存在していた点も見逃せない。今回のリマスターにあたってはこれらの致命的なバグにも修正の手が入れられるため、プレイヤーはよりストレスなくゲームを完走できるようになる。当時バグの存在によって全要素の回収を諦めざるを得なかったプレイヤーにとっても、過去の未練を果たす絶好の機会となるはずだ。

「最強攻略」の作成者がパブリッシャーに。愛が手繰り寄せた奇跡の補完計画

総評として、本作がメインターゲットとしているのはやはり『メタルサーガ』および『メタルマックス』シリーズのファン、あるいはレトロRPGを愛するコアゲーマーだろう。当時のNDS版は様々な事情から未プレイのまま終わってしまった人や、序盤で挫折してしまった人も多いはずだ。そうした人々にとって、今回のリマスター版は間違いなく過去の貸しを返せる絶好のチャンスとなる。

試遊を終えた筆者は、ブースにて「愛と情熱で夢を叶えた」開発責任者である汪斉斉(Wang Qiqi)氏とお会いすることができた。実は彼のもう一つの顔は、かつて中国のインターネット上で『メタルサーガ 鋼の季節』の「最も詳しい攻略」を作成した伝説的ファン、“Joystick”その人であった。パブリッシャーの会社名が彼のハンドルネームと同じであることに気づき、筆者の中で全ての点と点が線でつながった瞬間だった。

その後、Joystick氏に今回のコラボに至った経緯やリマスター版の細かい仕様について話を伺うことができた。インタビューの詳細については追って公開予定の別記事を参照されたい。

リマスター版『メタルサーガ 鋼の季節』の発売時期は現時点で未定。対応プラットフォームはPC(Steam)/PS5/Nintendo Switchを予定している。

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Nep333
Nep333

AUTOMATON中国語版編集長。

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