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セガとNVIDIAの長年にわたる関係とゲームテクノロジーの歩みをテーマとしたゲーマー向けイベントがGiGO秋葉原3号館で開催された。

NVIDIAは7月15日、セガとNVIDIAの長年にわたる関係とゲームテクノロジーの歩みをテーマとしたゲーマー向けイベントをGiGO秋葉原3号館で開催した。一般応募から約70人のゲーマーが詰めかけたイベントに弊誌も参加することができたので、その模様をお伝えしたい。NVIDIAとセガの関係者として、以下のゲストがイベントに登壇した。
ジェンスン・フアン氏(以下、フアン氏)は、彼のトレードマークである革ジャン姿で会場に現れた。ファンの歓声に応えつつ、入交昭一郎氏(以下、入交氏)や鈴木裕氏(以下、鈴木氏)を見つけると握手をして挨拶を交わしてしていく。親しげで穏やかな表情を浮かべたフアン氏は、彼が衝撃を受けたという『デイトナUSA』の思い出を語ってくれた。
フアン氏:
私は1994年に、日本に初めて来ました。鈴木裕さんと入交昭一郎に会うために来日したんです。1993年に設立されたNVIDIAは、ゲームのチップを作り始めたところでした。3Dグラフィックのゲームが必要だったんですが、その当時は3DのグラフィックでPC向けにゲームを作っている人は誰もいませんでした。1994年当時に3Dのグラフィックでゲームを表現していたのは、アーケードゲームだけでした。当時作られていた唯一の3Dゲームは、鈴木さんたちのAM2研が作ったものです。『デイトナUSA』、『バーチャレーシング』、『バーチャファイター』といった名作たちですね。
北米で『デイトナUSA』がプレイできるようになったのは、1994年のことでした。NVIDIAの業務としてチップを開発しなければならないのですが、私たちは毎日ゲームセンターに入り浸りで『デイトナUSA』をプレイしていました(笑)『デイトナUSA』のような美しい3Dグラフィックでアーケード筐体の素晴らしいサウンドには、プレイしていて信じられないような気持ちにさせられたものです。
『デイトナUSA』があまりにも完璧だったので、本当に3Dなのだろうかと疑問を抱いたほどでした。しかし、『デイトナUSA』は本当に3Dのゲームで、テクスチャマッピングも完璧でした。それはゲームの歴史のなかではじめてのことでしたでしょうし、しかも60fpsという滑らかなフレームレートで動作するんです。『デイトナUSA』に感銘を受けて、私たちはセガと一緒に仕事をしたいと思うようになりました。

セガと一緒に働きたいというフアン氏の願いが叶うかたちで、NVIDIAはセガサターンの次世代機として計画されていたドリームキャストのGPU開発を進めることになった。順風満帆に見えるNVIDIAだが、このときは会社が窮地に追い込まれることになってしまったそうだ。そうしたNVIDIAのピンチに、当時のセガを率いていた入交氏がどのように対応したかのエピソードも語られた。フアン氏は、以下のように当時のことを振り返る。
フアン氏:
当時入交さんが、ドリームキャスト開発にNVIDIAを引き入れてくれたことはとても幸運なことだと思っています。新しい家庭用ゲーム機であるドリームキャストの完成を目指してセガとNVIDIAは一緒に働いていましたが、プロジェクト開始から9か月後に当時のNVIDIAの開発していた技術ではうまくいかないことに気がつきました。
私たちはフォワード・テクスチャマッピングやカーブドサーフェスなどを開発しましたが、それはドリームキャストではうまく機能しません。むしろ、ドリームキャストに最適な技術はインバース・テクスチャマッピングとポリゴンだったんです。NVIDIAは、間違ったアプローチを選んでしまいました。私は正直な気持ちで、「NVIDIAの現在手掛けている技術はドリームキャストでは機能しません」と入交さんに説明しました。
NVIDIAはプロジェクトを完了させることができなかったのですが、会社のためにはお金が必要でした。私は入交さんに出資をお願いして、セガは寛大な心でそれを受け入れてくれたんです。そのときのセガからNVIDIAへの出資がなければ、NVIDIAは現在存在していなかったでしょう。NVIDIAは技術的な判断を誤りましたが、入交さんは正しい人材がいることを見抜いてくれたんだと思います。


セガに救われたNVIDIAは、世界で第1位の時価総額を誇る企業として目覚ましい成長を遂げた。ゲームの3Dグラフィックを美しく滑らかに動かすためにGPUの開発を続けたNVIDIAは、2025年秋に史上初めて5兆ドルを突破した企業となった。近年急速に成長する生成AI分野の技術でも、NVIDIAは際立った存在感を示している(関連記事)。
イベントでは、2026年秋に発売予定の「NVIDIA RTX Spark」を搭載したノートPCで『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』のデモがお披露目された。高性能を謳う「NVIDIA RTX Spark」を搭載したノートPCにて(記事リンク)、2027年に発売を予定している最新作『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』の3Dグラフィックは非常に滑らかに動作していた。


フアン氏も「NVIDIA RTX Spark」搭載PCでの『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』のプレイは初めて見たそうで、「とても美しい」と感嘆している様子であった。フアン氏は、「NVIDIA RTX Spark」を搭載したPCについて、「パーソナルコンピューターからパーソナルAIになる画期的な変化」と優れた性能であることを語った。
『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』のデモ披露後は、一般来場者向けにプレゼントが当たる抽選会が実施。NVIDIAのGPUとして現行最高峰の「GeForce RTX 5090 FE」や「NVIDIA RTX Spark」がプレゼントの対象となっており、見事当選したファンは興奮を隠せない様子だった。NVIDIAの歴代製品を持参したコアなファンも存在し、フアン氏はそうしたグッズへのサインに応じていた。時価総額で世界一の企業のトップであるフアン氏が、日本のゲームセンターで気さくにファン対応をしているところを見るのは新鮮であった。これも、NVIDIAとセガの縁があってこその光景かもしれない。
イベントでは、以下のようにフアン氏からのセガや日本へのメッセージが述べられた。最後にはフアン氏から鈴木氏へのリスペクトを込めた感謝の言葉が伝えられている。
フアン氏:
私が今回日本にやって来たのは、日本政府とNVIDIAが極めて大きなパートナーシップを発表するからです。“日本におけるAIの始まりの時代”ともいえる重要な転換点となるでしょう。NVIDIAはAIやロボット工学の分野で、日本を代表する企業ともパートナーシップを発表する予定です。
セガをはじめ、入交さんや鈴木さんたちが示してくれた友情や支援がなければ今日のNVIDIAはなかったでしょう。NVIDIAを信じてくれたことは私にとって非常に大きな意味を持っています。セガと日本は私の心のなかに一生残り続けます。どちらも私にとって大切な場所です。みなさん、本当にありがとうございます。
鈴木さんがいなければ、いま存在するゲームはまったく違ったものになっていたでしょう。『バーチャファイター』といった3Dのゲームを作ってくれた鈴木さんの偉大な仕事に感謝します。本当にありがとうございました!


イベントを振り返ると、とても居心地のいい空間だったことが思い出される。それはNVIDIAとセガが来場者をもてなしてくれていることはもちろんだが、集まったファンに情熱を感じたからだ。なかには大阪から秋葉原までドリームキャストをもってきたファンもいたし、10年以上前のNVIDIA製品をもってきたファンもいた。NVIDIAとセガが紡いできた歴史の思い出に浸った一方で、「NVIDIA RTX Spark」による『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』のデモ披露により、これからのゲームにも思いを馳せるイベントとなっていた。
「NVIDIA RTX Spark」搭載のノートPCは2026年秋に発売予定。『VIRTUA FIGHTER CROSSROADS』は2027年発売予定となっている。
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