『007 First Light』は変装や潜入経路に『ヒットマン』のDNAたっぷり、しかし「007」らしさで別モノに昇華。攻略ルートいろいろ遊んでみた試遊プレイ感想

『007 First Light』は『Hitman』シリーズに裏打ちされた質の高いステルスアクションと、映画でお馴染みの派手なアクションが盛り込まれた贅沢な作品だ。

英国の伝説的なスパイであるジェームズ・ボンドを主人公とする映画「007」シリーズは、60周年を迎えた。6代目ボンドのダニエル・クレイグ氏が2021年に主演した『ノー・タイム・トゥ・ダイ』で映画は一旦区切りがついたが、世界的なIPである「007」シリーズの次の展開が待ち望まれている。映画の空白を埋めるのは、IO Interactiveの手掛ける新作ゲームの『007 First Light』だ。『Hitman』シリーズでステルスアクションの名手として知られているIO Interactiveの手掛ける本作は、26歳という若きジェームズ・ボンドの活躍を描く。

『007 First Light』は『Hitman』シリーズに裏打ちされた質の高いステルスアクションと、映画でお馴染みのアクションやド派手なカーチェイスも盛り込まれた贅沢な作品だ。そんな本作がメディア向けに実施されたイベント「Bilibili First Look Games – April 2026」に出展され、弊誌は試遊する機会に恵まれた。本稿では、約2時間30分の試遊を通じて得た本作のプレイフィールをお伝えしたい。なお、今回の試遊でプレイしたビルドは開発中のものであり、製品版とは異なる可能性がある。

26歳の若きジェームズ・ボンドを描くストーリー

試遊はいくつかのシーンをプレイすることができたが、最初にプレイしたアイスランドのステージだけでも「007」をゲームでプレイしているという充足感があった。まだ「007」の称号をもっていないからだろうか。本作のボンドは映画のように「ボンド、ジェームズ・ボンド」と高らかに名乗るのではなく、端的に「ボンド」と自己紹介している。そうした若きボンドも権威におもねることはないのは同じ。ときには上司の命令を無視してでも自分の信じるもののために戦う。

26歳のボンドは映画の落ち着いた彼の姿よりかなり若く、正義への情熱がより直接的にあらわれている印象を与える。ナンバーもちの冷静沈着な“007”として活躍を繰り広げてきた彼を知っていると、本作のボンドはもっと人間臭く感じられるのだ。そこが新鮮であり、ジェームズ・ボンドが伝説のエージェントと称賛されるまでの成長が描かれていくストーリーになっている様子である。いまから展開が気になって仕方がないがここでアイスランド編は終了し、早くも次のシーンへ移行。

次にプレイしたマルタのステージでは、エージェント候補生による訓練として実践的なバトルやトラップの仕掛け方を学ぶ。チュートリアルを兼ねたステージだが、エージェント候補生たちが互いに競い合う様子はおもしろく、熱中してプレイしているうちに操作に慣れ親しむことができるようになった。

ステルスアクションの名手として知られるIO Interactiveの手掛けるタイトルともなれば、その出来栄えについて邪推するのは、野暮というものだろう。ボンドはガジェットを駆使することで、敵地の設備をハックすることができる。極力敵に見つからないように進んでいくが、電子機器をハックして相手の注意をそらすことで有利に潜入を進めていける。タイミングを上手く見極めることができれば、相手の防衛設備を起動して敵を排除することが可能だ。もちろん銃や拳を使って相手を一掃することも可能。どのように戦うかはプレイヤーに委ねられており、自分なりのジェームズ・ボンドの戦闘スタイルを追及することができるだろう。

個人的には、トラップを仕掛けることで戦闘を優位に進めるスタイルが気に入った。近接戦闘では攻撃と回避のタイミングをそれぞれ意識する必要があるし、スマートに敵を排除していく方が私のジェームズ・ボンド像に近いからだ。私が訓練マップでもっとも興味を惹かれたのは、相手を感電させて戦闘不能に追い込むことだった。電源ケーブルに接続不良を起こせば、近づいてきた敵を感電させることができる。相手を感電させると、骨の形が見えてまるで骸骨になってしまったかのようで、見た目もコミカルで楽しい。

アクション映画をゲームでプレイしているかのような高揚感

ガジェットを駆使し敵地の設備をハックすると聞くと難しく感じるかもしれないが、実はそんなに難しくない。DualSenseでプレイしている場合はL1を押すとハックできる機器が瞬時にわかるし、ハックにかかるコストがどのくらいかもわかる。ただし連続してハックすることはできないため、使いどころを見極めることが重要となってくるだろう。

今回の試遊ではボンドを襲撃してきたスナイパーと対峙するシーンがあったが、狙撃してくるスナイパーの注意をガジェットでそらしながら、敵の居場所に迫っていくときは緊迫感に満ちていた。遮蔽物で身体を守りながら、エアコンの室外機や街灯などをハックしてスナイパーの注意をそらす。ハックした機器に銃撃を集中させることで、ボンドはスナイパーに接近していくという形だ。そこには駆け引きの妙のようなものがあり、凄腕エージェントとしてスマートに戦っていく資質を問われているかのようだった。

しかしスナイパーは高所からボンドを狙撃しており、普通ではたどり着けないような場所にいる。筆者操るボンドがスナイパーに接近するためにとった方法は、工事用の大型クレーンをスナイパーのいる高所へぶつけるという大胆なものだった。クレーンの操作もプレイヤーに委ねられており、まるで長い手足を振るかのようにクレーンをスナイパーのいる場所に叩きつけることができる。ぶつけたクレーンを足場にスナイパーのもとへ駆け込むボンドの姿は圧巻というほかない。アクション映画を自分でプレイしているかのような高揚感に包まれた。

常人では思いつかないような発想の連続で敵を追い詰めていくボンドだが、ゲームシステムとしては次の目標が明示されるためわかりやすい。ミニマップなどは存在しないものの、ボンドが行くべき場所については細かく教えてくれる。具体的には目標は緑の光で示されており、そこに至るまでのルートをプレイヤーが考えていくといった形だ。目標地点はシーンによって指定されるため、ストーリーの展開に応じて無理なく追いかけていくことができる。

幾通りもの突破方法で高まるスパイ活動の臨場感

試遊の最後に任務に向かったのは、ケンジントンと呼ばれる場所だ。華やかなイベントが開催されているものの、ジェームズ・ボンドはここでは招かれざる客である。ボンドはさまざまな方法で会場への侵入を試みるが、その正解がひとつではないというところが驚きだ。大勢の来客で賑わっているフロアを観察し、彼らの会話や電話しているところを盗み聞きすることで、突破口を見出すことができる。たとえば、警備員たちが詰めているところを突破して上の階に行く方法は、私が気づいただけで4通りもあった。雑誌社のPR担当を利用する方法や、遅刻している警備員に付け込むといった大きな分岐があり、さらに最終的に侵入を果たすまでの方法は数多くの道に枝分かれしているのだ。

まず私は、上の階に行く手段をもっているであろう人物として、雑誌社のPR担当に目をつけた。雑誌社のPR担当に話しかけると、プレイヤーの選択によってボンドがプレス関係者かカメラマンになりすますことができる。プレス関係者を名乗る場合はプレスパスとカメラをどこかから入手してこなければならないようだ。しかしそんなものは用意していなかった。

これはダメかと思ったが、メディアの受付を担当している女性を体調不良にさせることでパスを入手できた。無関係の人を体調不良にするのは罪悪感もあったが、彼女はボンドの正体を訝しんでいたため、仕方がない。またカメラは警備員が見守っている貴重品エリアのところに置いてあるものを拝借することに。貴重品エリアには2人の警備員がいたが、ガジェットで2人を撹乱することで首尾よくカメラを手にできた。これでプレスパスとカメラを入手し、プレス関係者の身分を偽装して堂々と上の階へ進むことができた。

潜入にはプレイヤーの高度な推理が要求されることはないものの、誰かになり代わって潜入するなら、その人物の名前を記憶しておく程度のことは求められる。たとえば、雑誌社のPR担当が待っている人物の名前を記憶しておけば、ボンドがその待ち人であると信じ込ませるのに役立つ。また別のシーンではプレスパスを受け取ろうとしたときも名前を尋ねられることがあった。偽装する人物の名前を覚えていないと、まずい事態に直結するおそれもあるだろう。そうしたことを含めて、潜入する一連の流れは映画さながらの緊張感があった。

このままプレイを続けてもいいのだが、カメラマンを名乗った場合どうなるか気になったため、少し前からやり直してみることに。カメラマンを装った場合は、雑誌社のPR担当にカメラを取ってくるように促された。別室でカメラを物色する流れ自体は同じで、今回は離席するカメラマンのカメラをこっそり拝借。カメラさえ持っていれば、雑誌社のPR担当に付き添う形で上の階へ行くことができた。プレスパスを取ってくる必要がないので潜入自体はスムーズだったが、PR担当に付き添われているため大胆な行動をとりづらい欠点もあると感じた。いずれにせよ身分を偽装している後ろめたさから警備員たちの視線が気になるが、それを突破して先へ進むことができたときは不思議な達成感に満たされる。自分ではない誰かになって、敵地へ潜入していくことはスパイものの醍醐味だ。

ほかにもイベント会場のセキュリティ関係者になりすまして、潜入するルートも存在した。こちらは遅刻している警備員のリストを調べ上げることで、本来は足止めされる場所を通り抜けることができるようになる。警備員のリストがカフェのタブレットに保管されていることやタブレットのパスワードがカフェの引き出しに入っていることなど、細かな情報を積み上げて目標に向かっていくところに潜入のリアリティを感じた。

潜入する方法がバリエーションに富んでいることは、プレイヤーの知的好奇心を大いに刺激する。別人になりすましたり、ロックのかかっているタブレットを盗み見たりする機会は日常生活においてはまず存在しないが、本作のプレイヤーはあのジェームズ・ボンド。非日常の潜入活動をしている感覚に浸ることができる。そしてひとつの方法で先へ進むことができたとしても、別の方法による突破方法を確認したくなる。試遊でもっとも強引な潜入方法としては、クロークルームの仕切りを飛び越えて人目を忍んで上の階へ進むというものがあった。初見ではなかなか気づけない突破方法だが、繰り返しプレイすることで私は思いつくことができた。そうして自分が思いついたルートで実際にクリアできたときの喜びはひとしおだ。そしてこうした作りには『Hitman』シリーズのDNAが受け継がれていることがうかがえる。

ゲームプレイの華としてメリハリをつける戦闘とカーチェイス

潜入しているときに敵に見つかってしまうと尋問されるが、すぐさま発覚というわけではなく、ここでも複数の対処方法が用意されているところが「007」らしい。ブラフで相手を言いくるめることもできれば、降伏するふりをしてからテイクダウンを狙うようなこともできる。とはいえ本作は『Hitman』シリーズと同じようにステルスアクションのテイストが強いため、できる限り敵に見つからない方がいい。敵を倒すにしても背後から忍び寄ってテイクダウンを決めたり、ガジェットを利用して相手を戦闘不能にするのが常道といえるだろう。特定の場所に敵をおびき寄せてから、閉じ込めるといったことも可能だ。

それでも完全に敵に見つかってしまった場合は戦うしかない。敵との戦闘ではパンチやキックといった近接攻撃と銃による遠距離攻撃を組み合わせていく。相手の近接攻撃には予兆があるため、ダッキングやスウェーで回避することが可能だ。置いてあるものを敵に投げつけたり、室内にあるものを落下させたりして相手にダメージを与えることができるのも大きな特徴。銃で直接的に相手を撃たなくても、マップに置いてある可燃性のボンベを撃つことで大爆発を起こすことも可能だ。

肉弾戦を行いながらも、周囲の環境を活かして戦っていくところに、若きボンドの頭脳の冴えを見た。射撃時には制限時間がありながらも、銃を構えて集中するモードに入ることで時の流れが遅くなる能力を発動できるようになる。この能力を活かすことでヘッドショットを狙いやすくなり、戦闘にメリハリがもたらされている。ときには“殺しのライセンス”をフル活用するのもよいだろう。『Hitman』風の潜入・ステルスをベースとしつつも、「007」の映画的な華やかさが盛り込まれることで、IO Interactiveの進化を感じる作風になっていた。

銃撃戦のほかには、カーチェイスも「007」の華となる部分だ。時間の都合上で私はプレイすることができなかったが、試遊にはトラックでカーチェイスを繰り広げるシーンが含まれていたらしい。映画ではアストンマーチンを駆る優雅なカーチェイスで知られているが、無骨なトラックで追跡車両をなぎ倒していくボンドになりきるのもおもしろそうだ。当該シーンを映像で確認したところ、トラックを運転しているときに流れる楽曲が「007」シリーズを象徴するあの「ジェームズ・ボンドのテーマ」だったことにも興味を惹きつけられた。

007」の醍醐味が凝縮

映画を原作としたゲームは数多く存在しながらも、『007 First Light』には潜入、戦闘、カーチェイスといった「007」の醍醐味が凝縮されていると感じた。『Hitman』の開発元による「007」のゲームというと意外な組み合わせに思えたが、プレイを通してその親和性を実感できた。ある種のお約束をファン向けに満たしてくれながらも、完全新規のストーリーは誰でも楽しめるようになっている。26歳という若さのジェームズ・ボンドは可能性に満ちており、これから伝説のエージェントになっていく存在だ。試遊でプレイした部分だけでもボンドはその才能の片鱗を見せており、本作のストーリーを通じてどのように成長を遂げていくのかが楽しみでならない。

007 First Light』は、PC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに2026年5月27日発売予定。Nintendo Switch 2版は2026年夏後半に発売予定となっている。

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Ryuichi Kataoka
Ryuichi Kataoka

「ドラゴンクエストIII」でゲームに魅了されました。それ以来ずっとRPGを好んでいますが、おもしろそうなタイトルはジャンルを問わずにプレイします。

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