学生がUnreal Engine 4で『魔界村』描く レトロゲームを蘇らせる”現代化”の困難さ

海外の学生チームが、Epic GamesのゲームエンジンUnreal Engine 4で、カプコンの『魔界村』を描いた。タイトルは同作の海外向けタイトル名と同じく、「Ghosts'N Goblins」だ。Unreal Engineの公式フォーラムにて紹介されている。

「レトロゲームを現代に蘇らせる」は、いまアマチュアのゲーム開発者を中心に流行しているコンセプトの1つだ。KickstarterSteam Greenlightでは、古典名作の魂を継承したと謳うプロジェクトであふれかえっている。ビデオゲームが誕生してから30年以上が経過しており、家庭用ゲームハードの世代交代とともに技術も進歩してきた。黎明期のゲームに熱中した子供たちがいまや1人の開発者となり、かつての名作が現代の技術で蘇ったらと夢想しているのだ。

ゲームタイトルだけでなく、ファンメイドの映像やアート作品でもこの傾向は見られる。海外の学生チームが、Epic GamesのゲームエンジンUnreal Engine 4で、カプコンの『魔界村』を描いた。タイトルは同作の海外向けタイトル名と同じく、「Ghosts'N Goblins」だ。Unreal Engineの公式フォーラムにて紹介されている。

 

 


美しき魔界村

 

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「Ghosts'N Goblins」は、8名の学生チームによって7週間で製作された作品だ。Unreal Engine 4を用いて、クラシックゲームを次世代のクオリティで再創造することがコンセプトとなっている。アセットをどの程度利用したかについては記されておらず、アニメーションやカメラワークはところどころぎこちない。だが、月明かりに照らされたグラフィックは美しく、アーサーやゾンビの3Dモデルも見事である。数人の学生が2か月弱で製作したという点を考慮すれば、すばらしい出来栄えだ。

一方で、多くの視聴者は「これのどこが『魔界村』なんだ」と言わずにいられないだろう。原作の『魔界村』のように四方八方から敵が襲ってくるわけでもなく、むしろ雰囲気は『Chivalry: Medieval Warfare』や『War of the Roses』といった中世ヨーロッパを舞台とするアクションゲームに近い。立派なヒゲをたくわえた騎士が、ランス片手に死者と戦う。たしかに『魔界村』ではあるが、一目でそうだとわかる方は少ないだろう。

現代化において、プレイヤーや視聴者に訴えかける"見た目"は重要であり、「これは昔のあのゲームを元にした作品です」と説得するための入り口になる。先日には海外のファンが、『BioShock』を生みだしたIrrational Gamesの名作『System Shock 2』の"現代化"に挑戦した。重大なネタバレをふくむ名シーンを、CryEngine 3でリメイクしたという。最新のゲームエンジンで再現した名シーンは派手で美しい。とはいえ、プレイした者からすると、グラフィックの質感から表現方法まで、どうもしっくりこないのだ。思い入れのある名作であればあるほど、そのときのビジュアルが脳内にこびりついてしまっている。KickstarterやSteam Greenlightに登場している古典崇拝ゲームが、どれも当時のグラフィックで描かれているのも、それが理由の1つだろう。

 


ここ数年沈黙する『魔界村』シリーズ

 

『魔界村』は1985年にアーケード版が登場し、1986年にファミコン版がリリースされた。その後『レッドアリーマー 魔界村外伝』などの派生作品が誕生し、シリーズも『極魔界村』が2006年に発売されたのだが、それ以降目立った動きはない。生みの親であるカプコンがいま手がけるなら、『バイオニックコマンドー』や、コナミの『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』シリーズのように、3Dゲームへ姿を変えるのだろうか。ちなみに、過去にはファンメイドの『魔界村』3D化プロジェクトも存在していた。

Shuji Ishimoto
Shuji Ishimoto

初代PlayStationやドリームキャスト時代の野心的な作品、2000年代後半の国内フリーゲーム文化に精神を支配されている巨漢ゲーマー。最近はインディーゲームのカタログを眺めたり遊んだりしながら1人ニヤニヤ。ホラージャンルやグロテスクかつ奇妙な表現の作品も好きだが、ノミの心臓なので現実世界の心霊現象には弱い。とにかく心がトキメイたものを追っていくスタイル。

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