Ubisoft役員がインサイダー取引の疑い。『Watch Dogs』延期発表前の株式売却が対象、関係者は強く否定

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海外メディアKotakuの調べにより、フランス金融市場庁(以下、AMF)がUbisoftの役員5名をインサイダー取引違反の疑いで告発していることがわかった。告発された5名の中にはUbisoft MontrealのCEO Yannis Mallet氏も含まれている。なお企業としてのUbisoft自体は告発対象となっていない。

Ubisoft は2013年の10月15日に『Watch Dogs』および『The Crew』のリリース日を2014年に延期する旨を発表した。そして告発された5名は延期の事実を知りながら2013年10月15日以前にUbisoftの株式を売却した疑いがあるとされている。なお当時、両タイトルの延期発表により、Ubisoftの株価が26パーセントダウンしたことがNewYork Timesにて報じられた。Ubisoft本社の所在地はフランスのパリとなっており、フランスのインサイダー取引法に触れる可能性がある。

Yannis Mallet氏はLa Presse.CAとのインタビューに応じており、「『Watch Dogs』および『The Crew』の延期を事前に知っていたという事実はございません」と述べている。Mallet氏によると延期を判断する権限はUbisoftのCEO Yves Guillemot氏だけが有しており、事前に知り得ることはないとのこと。「AMFはゲーム開発について十分な知識を持ち合わせていない」ことが今回の疑惑につながったと主張している。AMFの対応については「我々の主張、証言、メールはすべて事務的な流れで無視されてきた」という点を強調している。

またMallet氏はKotakuに寄せたコメントでも疑いを強く否定しており、Yves Guillemot氏も告発された5名への信頼とサポートを表明しているとのこと。AMFとの手続きは本稿執筆時点でも続いており、制裁が決まったわけではない。11月18日にパリで開かれるAMFの審問では告発された役員が出席する予定となっている。また告発された5名のうちカナダ在住の役員はケベック州の高等裁判所に手続きの無効性を訴えている。

Ubisoftは本件以外にも、Vivendiによる敵対的買収の可能性や、先日海外で発売された『Watch Dogs 2』のマルチプレイヤー機能のトラブルなど問題を抱えており(参考記事: Polygon)、2016年は試練の多い年になったといえる。なおVivendiの一件については、2016年6月にVivendiによる株式保有率が20%を超え、また今年9月にはVivendiが所有する議決権は27.5%に及ぶとのプレスリリースを出している。こうしたVivendiの動きに対し、9月に開催された株主総会ではUbisoftが3.2%相当の自社株式を買い戻しており、両社の拮抗した攻防戦は続いている。今回の一件はUbisoftとVivendiの問題に直接影響はないが、仮にUbisoftが株主・投資家からの評価を落とす結果となればUbisoftにとって不利な展開へと傾く可能性はあるだろう。

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