PvPvPvE傭兵vsエイリアンFPS『Level Zero: Extraction』不評集まるなか突然正式リリース。しかし課題は棚上げのまま
パブリッシャーのtinyBuildは1月30日、 PC(Steam)向けに『Level Zero: Extraction』を正式にリリースし、大型アップデートであるバージョン1.0を実装した。一時期は約2600人もの同時接続プレイヤー数を記録し話題を集めた本作(SteamDB)だが、正式リリースにあたってのユーザーの反応は冷ややかなものとなっているようだ。
『Level Zero: Extraction』は非対称対戦型の脱出系サバイバルホラーFPSだ。舞台となるのは、危険なエイリアンがはびこる研究施設や宇宙ステーションなどだ。施設内に残された研究データや物資を巡って、傭兵たちが戦いを繰り広げている。プレイヤーは傭兵となってアイテムを収集し無事に帰還するか、あるいはエイリアンとなって傭兵を全滅させることを目指す。
本作にてプレイヤーは、傭兵側とエイリアン側に分かれて対戦をおこなう。傭兵は最大3人で1チームを構成。AI操作の敵やほかのプレイヤー操るエイリアンなどと戦い、施設内に存在する戦利品を集めて脱出ポイントを目指す。また傭兵側は複数チームが同時に参加するが、ほかのチームは味方というわけではなく、傭兵同士で戦いになることもある。本作はPvPvPvEと標榜されており、複数のチームが入り乱れる複雑な戦況が展開される。
早期アクセスの盛況と、当時から指摘されていた問題点
プレイテストでの盛況もありつつ(関連記事)、昨年の8月から約半年間ほどの早期アクセスを経ての正式リリースを迎えた本作。早期アクセス開始からの1か月間ではピーク時約2600人の同時接続プレイヤー数を記録した。Steamユーザーレビューは1773件中61%が好評とする「賛否両論」ステータスとなっていたものの、PvPvPvEを掲げる珍しいゲームプレイは一定の評価を獲得。粗削りながら意欲的である点が評価され大きな盛り上がりを見せていた。
対して正式リリースを迎えた1月30日の最大同時接続プレイヤー数は67人(SteamDB)、Steamユーザーレビューは直近30日で39件中28%が好評とする「やや不評」となっており、プレイヤーベースとユーザー評価の双方で苦戦している様子もうかがえる。一時期は脱出型FPSジャンル期待の新作として活発なプレイヤーベースをもっていた本作に、一体何があったのだろうか。
本作が抱えていた大きな問題点として、傭兵とエイリアンのバランス調整が難航していた点が挙げられる。特に経験者と初心者の差を埋めることが難しい点は早期アクセスの段階から指摘されており、傭兵初心者はエイリアンにわけもわからぬまま狩られ、逆に初心者エイリアンは対処法を熟慮した傭兵になすすべなく撃退される、といったゲームの構造上の問題が指摘されていた。
また、バージョンによってはエイリアン側が影の中から軽微な攻撃を嫌がらせのように繰り返すことが最適解となってしまったり、逆に傭兵がすべてを無視してゴールへ駆け込むプレイに対してエイリアンができることがほぼない状況になったりと、バランス面の問題はさらに浮き彫りに。ゲームの根幹のアイデアは面白いものの、バランス調整の迷走がそれを邪魔しているといった意見がユーザー間では次第に強くなっていった。
“エイリアンなしモード”を入れて正式リリース
そうした中でも、アップデートのたびにステータスの調整や新要素の追加が講じられており、なんとかバランスを保とうとする開発側の苦心も垣間見えた。ところが正式リリースに際してのアップデートにおいては、エイリアンのバランス調整がほとんど含まれていない。その代わりに大々的に発表されているのは、エイリアンが出現せず傭兵同士で脱出型FPSをおこなうモードの追加だ。報酬のティアが通常モードよりも低いモードではあるものの、PvPvPvEという本作のテーマをバランスの調整とともに放棄したようにも見えることからか、RedditやSteamなどの本作コミュニティでは落胆の声も集まっている。突然の正式リリースであり、今後のアップデート方針についても特に伝えられていないことも、コミュニティの懸念に拍車をかけているようだ。
ちなみにプレイヤーコミュニティから寄せられていた意見の中でも、特にエイリアンのバランス調整に関しては強すぎるという意見と弱すぎるという意見の両方が見られることがよくあった。先述のとおり本作では傭兵側とエイリアン側のプレイヤースキルに応じてエイリアンの存在感が大きく変わるバランスとなっていた。PvPvPvEかつ非対称PvPという入り組んだゲームシステムのなかで、あらゆるプレイヤースキルを想定してバランスをとる難しさも、本作のバランス調整が難航してしまった理由としてあるかもしれない。
そしてエイリアンについては、先月新たに「変異アップグレード」システムが実装されたばかり。戦闘中に変異ポイントを獲得し、自身を強化していく仕組みだ。同システムのブラッシュアップも表明されていただけに、正式リリース時にほとんどエイリアンの調整がおこなわれなかった点などには、批判も寄せられている状況だろう。今後もサポートがおこなわれるかどうか、そしてユーザーの信頼を取り戻せるかどうかは注目される。
『Level Zero: Extraction』はPC(Steam)向けに配信中。現在セールを開催中で、35%オフの1495円(税込)で購入可能だ。