「バナナでOverwatch」「DDRコンでDark Souls 3」「ギターでCS:GO」 “変わり種”コントローラーで3Dゲームを遊び続ける男の挑戦

 

ビデオゲームを遊ぶために欠かせないコントローラーには、ゲームハードに付属するゲームパッド以外にもさまざまな種類のものが存在している。よりリアルにレースゲームやドライブゲームを楽しむための「ハンドルコントローラー」、フライトゲームを遊ぶための「フライトスティック」、『Guitar Hero』や『Rock Band』を遊ぶための「ギターコントローラー」。ほかにも数多くのコントローラーがあり、新たなゲームプレイ体験の実現を可能にしてきた。そういった周辺機器は特定のゲーム専用コントローラーとして使用するのが世間の認識であるが、世界にはその常識を覆す人々が存在している。

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その1人がTwitchやYouTubeを中心に活躍するゲーム実況配信者Rudeism氏だ。彼が彗星のごとくストリーミング界に現れたのは約1年前。車とサッカーを融合させたスポーツゲーム『Rocket League』をギターコントローラーでプレイするユーザーとして大きな注目を浴びた。ほかにも一人称視点パズルゲーム『Portal』や、操作にクセのある手術ゲーム『Surgeon Simulato』を、同じくギターコントローラーでクリア。さらには『Counter-Strike: Global Offensive』のオンライン対戦にもギターコントローラーで殴り込んでいる。使用したギターコントローラーはXbox 360版『Guitar Hero』に付属していたもので、USBケーブルでPCに接続しているとのこと。ギターのネックの部分にある四つのキーパッドを十字キーや3Dスティックに見立てて操作しているようだ。

これだけでは飽き足らなかったのか、Rudeism氏は次に『ダンスダンスレボリューション』の専用コントローラー(以下、DDRコン)を床に敷き、足踏み操作だけでMMORPG『World of Warcraft』をプレイ。これでDDRコンの操作に自信を深めたそうで、さらには3DアクションRPGとして屈指の難易度を誇る『Dark Souls III』に挑戦し始めた。流石にDDRコン1枚で操作するのは入力ボタンが足りないということで、横に2枚並べてプレイしているようだ。そして現在プレイしているのは『Overwatch』。Rudeism氏は同作をなんと果物の「バナナ」でプレイしているというのだから驚きだ。

 

ゲームパッドに負けない腕前

特筆すべきは、氏の腕前は“単に変わり種でコントローラーを遊んでいる”というレベルに留まらないことだ。2Dゲームに比べて3Dゲームは情報量が多く操作も複雑だ。そういった3Dの中でも特に難しいFPSやスポーツゲームを特殊なコントローラーでプレイし、オンラインで他人と渡り合うことができている。『Rocket League』では上級テクニックのひとつであるエアリアルを難なく決めているし、『Counter-Strike: Global Offensive』でも1分強もの間に8キルを記録する場面もある。DDRコンを利用してプレイしている『DARK SOULS 3』では、「覇王ウォルニール」を倒す快挙を達成している。バナナを利用した『Overwatch』ではキルストリークを披露することもあり、目を見張る活躍を見せている。

このようにRudeism氏は、変わり種コントローラーを使ったとしても、通常のゲームパッドに勝るとも劣らない熟達した腕前を持っている。特殊なコントローラーを用いてここまでのプレイをするには、ゲームのセンスだけでなく、地道な練習と情熱が不可欠だろう。Rudeism氏をかきたてるものは一体何なのか。どこからそこまでの情熱が何なのか。AUTOMATON編集部は、Rudeism氏本人に話をうかがった。

Rudeism氏の本名はDylan Beck。ニュージーランド在住のごく普通のゲーマーだと話してくれた。ストリーミングを専業としているわけではなく、モバイルゲーム会社に務めるいち会社員のようだ。変わったゲームプレイを始めたきっかけは『Rocket League』だったという。通常のコントローラーで配信して遊んでいた際に、旧友に「ギターコントローラーでやってみろよ」と言われ試しに遊んでみたところ、Rudeism氏自身も楽しめたことに加え、redditをはじめとしてインターネットコミュニティで大きく注目されたのが嬉しく、変わったコントローラーでゲームを遊ぶことにのめり込んでいったと語る。

氏が最も思い出に残っていると語るタイトルは、DDRコンを利用した『World of Warcraft』。約1か月、毎晩のようにプレイし続け、とても多くのユーザーと出会えたこと、またゲームとは楽しいものであると心から感じられたことから、かけがえのない体験になったのだという。
平日は1日3時間から4時間、週末は6時間以上プレイし、「troll monk」をレベル40まで育てあげたとのこと。
もっとも困難なチャレンジはDDRコンで遊んだ『DARK SOULS 3』で、挑戦を始めてからまだすべてをクリアするまでには至っていないようだ。

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ちなみに『Overwatch』をバナナで遊ぼうと思ったきっかけは、Rudeism氏が愛用するキャラクター「ウィンストン」がピーナッツバターを好んでおり、自身もピーナッツバターでゲームをプレイしたいと願ったからだと語る。どんなものでも上に乗せるとタッチパッドになるというキット「Makey Makey」を使ったが、通電しない特性からピーナッツバターをコントローラーにする計画には失敗した。しかし、代わりにバナナを利用したところ、これがうまく機能する。こうしてバナナ・コントローラーが誕生したという流れだ。左側のバナナで移動をおこない、右側のバナナでアクションをおこなうのは、パッドと似た仕組みだ。練習などもせず、いきなりオンラインに挑戦したが、すぐに操作にに馴染んだとのこと。

 

ゲームを全力で楽しむ姿勢

話をうかがっていて印象的だったのは、Rudeism氏は「fun(楽しさ)」という言葉を頻繁に使っていたことだ。配信中でも氏はとにかく笑顔絶やさずゲームをプレイしている。Twitchなどで対戦ゲームをストリーミングしているユーザーはイライラしたり、不平を言ったりしながらプレイすることも少なくない。しかし、Rudeism氏は勝とうと負けようと、いつもとにかく楽しそうな姿で遊んでおり、見ているユーザーも笑顔になってしまうほどだ。配信のコメント欄も煽りや罵り合いが少なく和気藹々として、いたって平和なコミュニティが築かれている。

Rudeism氏が人気配信者となりつつあるのは、ただ変わり種コントローラーで遊んでいるというだけでなく、熟達した腕前があり、かつ楽しくゲームをプレイしているからであろう。特殊なゲームプレイ環境の設置や片付けにはかなり手間がかかるが、全く気にならないと話す。社会人でありながら準備に時間をかけ日々精力的に配信をおこなうエネルギッシュな部分も氏の魅力かもしれない。

Image Credit: mmocentral
Image Credit: mmocentral

まだまだ紹介しきれていないが、ほかにもハンドルコントローラーで『ミラーズエッジ』を遊んだり、音声認識だけで『The Elder Scrolls V: Skyrim』をプレイしたり、フライトコントローラーで『Overwatch』の「D.Va」を操縦したりするなど、正気とは思えないゲームプレイを数々投稿している。YouTubeはこちらから、Twitchはこちらから動画が視聴できる。YouTubeとTwitchでは一部異なる動画をアップしているので、気になった方はどちらもチェックしてみてほしい。最近ではほぼ毎日バナナ『Overwatch』を配信しているとのことだ。

最後にRudeism氏は「これからも愛するゲームのクレイジーな遊び方を探求していくぜ!」とコメントをしてくれた。「面白そう」から始まった特殊コントローラーゲームプレイは「楽しい」へと変化し、多くの人々を魅了し続けている。一体この先どんな記録を作ってくれるのだろうか。ゲームへ類稀なる情熱と愛情を持つRudeism氏の挑戦は、まだまだ続きそうだ。