『風ノ旅ビト』や『Sky 星を紡ぐ子どもたち』のthatgamecompany、パブリッシャー部門を設立。余ったお金で開発支援、“AA級ゲーム”のパブリッシングにも挑戦へ

『風ノ旅ビト』や『Sky 星を紡ぐ子どもたち』などを手掛けたことで知られるthatgamecompanyがパブリッシャー部門を設立したことを明らかにした。

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風ノ旅ビト』や『Sky 星を紡ぐ子どもたち』などを手掛けたことで知られるthatgamecompanyがパブリッシャー部門を設立したことを明らかにした。GamesIndustry.bizが報じている。

thatgamecompanyは2006年にアメリカで設立されたデベロッパーだ。2006年にデビュー作となる『flOw』、2009年には『Flower』を発表し、いずれも芸術性の高いゲームデザインが評価された。2013年には『風ノ旅ビト』をリリース、複数のアワードで「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど、高い評価を獲得した。同作のリリース後、thatgamecompanyは財政難により、一時的にスタジオを閉鎖する事態にも陥ってたが、2019年にはスタジオの最新作である『Sky 星を紡ぐ子どもたち』をリリース。累計3億ダウンロードを突破するなど、世界的な人気を獲得している。

『Flower』

今回、そんなthatgamecompanyが新たにパブリッシング部門となる「thatgamepublisher」を立ち上げたことが明らかとなった。同社の共同設立者であるJenova Chen氏は、その背景について、『Sky 星を紡ぐ子どもたち』の大きな成功によって、他社への投資に充てられるほどの資金的な余裕が生まれたためだと説明している。

なお、インディースタジオが新たにパブリッシング部門を設立する動きはthatgamecompanyだけに限らない。たとえば、『Among Us』を手掛けるInnerslothや、『Phasmophobia』の開発元であるKinetic Gamesも、近年パブリッシング部門を立ち上げ、インディーゲームの配信を支援している。また、国内では『Palworld / パルワールド』の開発元であるポケットペアがパブリッシング部門のPocketpair Publishingを立ち上げ、『Windrose / ウィンドローズ』の日本向展開などを担当してる。

Chen氏は、こうしたインディースタジオによるパブリッシング業務への進出について、“自然な選択肢”だと説明している。インディーゲームは通常限られた予算とスタッフでゲームを制作するが、ゲームが非常に成功すると突然資金が溢れ出すことがある。そうした余剰資金を有効に活用するにあたっては、理解があって、かつ馴染みのあるものに投資したいはずだと語り、それが多くのインディー企業がパブリッシング事業へ進出する理由だと考えているという。

『風ノ旅ビト』

また、近年におけるゲーム業界の構造変化も、インディー企業がパブリッシング事業へ進出する背景の一つだという。Chen氏によれば、『風ノ旅ビト』がリリースされた当時は、PlayStationをはじめとするプラットフォーマーがゲームの流通に大きな影響力を持っていたそうだ。しかし、現在ではプレイヤー自身がゲームの普及に大きな役割を果たしているという。特に成功したインディーゲームでは数百万人規模のプレイヤーを抱える可能性もあり、そうしたプレイヤーこそがゲームを広めるうえで最も大きな力を持つとChen氏は説明している。

たとえば、フレンドシップをテーマとするゲームを手がけるスタジオには、同じような作品を求めるファンが集まっている可能性が高いといえる。Chen氏は、こうしたコミュニティを抱えるスタジオは、メディアやプラットフォーマー以上に影響力を持ち得るとし、それが近年デベロッパーがパブリッシング事業へ進出するケースが増えている理由だと説明している。なお、thatgamecompanyは今後、「感情に訴えかける野心的なゲーム(emotionally ambitious games)」をテーマに投資を進めていく方針だという。

一方、こうしたインディーパブリッシャーでは100万ドル以下の小規模な投資が一般的であるのに対し、thatgamepublisherではAA級の大規模なプロジェクトにも積極的に投資する予定だという。同社のパブリッシング部門のリーダーであるSJ Xue氏は、同社のパブリッシングでは、透明性があり開発者に優しいパートナーシップを構築することを重視していると説明している。

『Sky 星を紡ぐ子どもたち』より「Dear Van Gogh 親愛なるファン・ゴッホへ 」

また、thatgamepublisherは資金提供にとどまらず、マーケティングや長期的なIP開発など、それぞれのプロジェクトに応じた支援も提供するという。資金調達を主な役割とするインディーパブリッシャーも多いなか、こうした幅広い支援を一括して提供する「フルサービス型」のパブリッシングを目指す点は、珍しいといえる。これについてXue氏は、感情に訴えかけるような意欲的なプロジェクトでは、クリエイティブ開発、制作、ポジショニング、マーケティング、コミュニティ、プラットフォーム戦略が密接に関連していると語る。これらの全てに関わることで、ゲームの核となるビジョンをプレイヤーに届けることができるのだとしている。

約20年にわたってインディーゲームを手がけてきたthatgamecompanyが、今後どのような作品を世に送り出していくのか注目されるところだ。なかでも、単なる資金提供にとどまらず、マーケティングやIP開発まで含めたフルサービス型のパブリッシングを目指す点は、他のインディーパブリッシャーとは異なる特徴といえる。一時スタジオの閉鎖を経験するなど、さまざまな苦難を乗り越えてきた同社だからこそ実現できる、開発者に寄り添ったきめ細かな支援にも期待したい。

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Kousetsu Taguchi
Kousetsu Taguchi

レトロゲームショップに入ると真っ先にセガサターンのコーナーを確認するタイプです。

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