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Steamにおける“売れるジャンル”、ずっとサンドボックスが強い説。「10万本分」のデータから見る、Steamでの売れ筋分析
「We Love It」にて8月20日、「The Steam Revenue Report(Steamの収益レポート)」が公開された。ジャンルにより収益に差がある様子がうかがえる。

Totally Human Mediaが運営するSteam向けディスカバリーサイト「We Love It」にて8月20日、「The Steam Revenue Report(Steamの収益レポート)」が公開された。Steam上のデータを収集し、対象のゲーム約10万件を多角的に分析したものとなっている。ジャンルによって好調・不調が分かれており、特にサンドボックスについては継続してヒットする作品が登場しているようだ。
Totally Human Mediaは2024年に設立されたアメリカ・マサチューセッツ州を拠点とするスタートアップ企業だ。エンタメ作品のディスカバリーサービスを提供している。CEOを務めるのはSteamの新アイデアを実装する「Steamラボ」にも関わっていたIchiro Lambe氏だ。
レポートを見る前に注意してほしいのが、本レポートの収益の数値は推計であるという点だ。レビュー数から収益を大まかに推定するために用いられる「Boxleiter法」を用いた計算であり、実際の値を取り扱っているわけではないことに留意されたい。Boxleiter法については収益をレビュー数×係数×販売価格で算出するシンプルな数式であり、本レポートでは係数を保守的(20倍)、標準(35倍)、楽観的(50倍)の数値で算出した結果が提示されている。なお本稿では基本的に標準(35倍)の結果を参照して言及する。
なお価格が存在せず、収益計算ができないため、無料ゲーム、販売中止で価格を参照できないゲームが除外。さらにレビュー数が計算に必要なため、レビューが0件のゲームも分析から除外されている。そのほかの条件としては、DLCなどは含めず、Steamでの分類が「ゲーム」となっているものを対象にしており、年齢制限のついたアダルトゲームについても除外されている。そして価格の変更は考慮せず、分析時点のものを参照しているとのことだ。
レポート内では、約10万本のゲームを取り扱い、その総推計収益は1298億ドル(約21兆円)だという。さまざまな分析がされているが、なかでも興味深い、ジャンルと収益の関係を分析した結果を見ていこう。ジャンルの区別については、その作品のストアページで人気の上位6タグに含まれた場合に対象のジャンルに集計されている。すなわちローグライクを採用したFPSなどは「ローグライク」と「FPS」2つの集計に入っていることもある。


「GENRE ECONOMICS」の項目では、全期間のゲームについて主要30ジャンルごとの推定収益の中央値、上位10%の値、そして10万ドル(約1600万円)を売り上げたタイトルの割合を指すヒットレートが紹介されている。最も目を引くのはサンドボックスだ。中央値、上位10%ともに高い推定収益であり、ヒットレートについても群を抜いた27.4%となっている。「Steamで特に安定してヒットするジャンル」だといえるだろう。
続いて中央値が高く収益を獲得している作品が多いと見られるジャンルはビジュアルノベル、シミュレーション、RPG、ホラー、ポイント&クリックと続く。対して上位10%でみるとFPSがサンドボックス並に高いことを確認できる。次点でアクションRPG、RPG、レースと続く。上位層であるヒット作が高い収益を上げるジャンルは、中央値とは少し顔ぶれがことなるようだ。
対照的に下位に位置するのはプラットフォーマー系のジャンルだ。『ソニック』シリーズや『Celeste』などの人気作も存在するジャンルだが、本レポートでは全体として収益が低めのジャンルと分析されている。

次に年ごとの売れ筋傾向の分析を見ていくと、「WHEN EACH GENRE PEAKED」では各ジャンルの好調度合いがうかがえる。ヒートマップの数値はジャンルごとの推定収益の中央値を全作品の収益の中央値で割った値となっている。値が1倍を上回り、白に近づくほどその年の市場全体より好調、値が1倍を下回り赤に近づくほど不調と読み取れる。全体を通してみると特に2020年以降で中央値の5倍以上の収益を記録した「5x and up」が見られなくなっている。一方で紫色や赤色、つまり中央値以下の収益となったジャンルの数も増加傾向にあることがわかる。「Crowding vs. payoff」の項を確認しても縦軸(全体に対する各ジャンルの収益中央値)のばらつきが狭まっている様子がうかがえ、徐々にジャンル間の相対的な収益差は縮まっていると読み取れる。
このグラフでも注目すべきはサンドボックスだ。継続して好調な売れ行きを誇るジャンルだが、2010年代は突出していたようで、2017年については15倍ほど中央値が市場より高い。またVRについても注目したい。データが確認できる2016年当初は、市場の中央値を下回っていたものが2020年以降1倍以上の数字へと展開し、好調模様となっているのだ。また、ローグライクについては収益として好調だったのは2017年前後であり、近年は当時ほど全体から見て突出して収益をあげるジャンルではないようだ。
そのほかのジャンルについても見ていくと、ホラー、ビジュアルノベル、RPGなどはわずかながら市場よりも高い収益を獲得していると読み取れる。全期間を見るとFPSもヒット作が高い収益を得ているジャンルだったが、2020年代前半は収益的には「冬の時代」であったことがうかがえる。そして全期間で見ると低めの収益であったプラットフォーマー系については、特に2020年以降市場よりもかなり不調なジャンルであるといえるだろう。
本レポートの分析から、サンドボックスのように長期にわたり高い収益性を示すジャンルもあれば、VRのように近年になって存在感を高めたジャンルもあることがうかがえる。また、ホラーやビジュアルノベルなどの安定感のあるジャンルが存在する一方、かつて好調だったローグライクなどのジャンルが市場平均へ近づいたり、プラットフォーマー系のように苦戦が深まったりするケースも確認できる。
改めて、本レポートの収益値はあくまでも推計であることには注意したい。加えて、各ジャンルはそれぞれリリース本数が異なるため、ジャンルの中には「数多くリリースされるがゆえ、各タイトルの収益が分散する」という可能性もありえる。とはいえ、ジャンルごとの“売れ筋傾向”が推し量れる今回の分析結果は興味深い。Steam市場の規模の変化とともに、ジャンルごとの「稼ぎやすさ」もまた移り変わっているようだ。
なお本レポートには、ゲームの価格帯による収益など、ほかにもさまざまな分析が存在している。「売れ線」のゲームを手がけたい人にとっては、Steam市場の傾向を知るうえで、興味深い資料だといえるだろう。
参考文献:”The Steam Revenue Report,” WeLoveIt.io, August 20, 2026. https://weloveit.io/developers/steam-revenue-report/
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