対人FPSが長くヒットするかは「リリース3日目時点の」配信/動画投稿者の数で予測できるとの調査報告。しかし単に“たくさん見られればいい”わけでもない

Gamesightによれば、PvP FPSゲームの長期的な成功予測には、配信者や動画投稿者によるコンテンツの再生時間ではなく、むしろ“人数”の方が有効な指標になり得るという。

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ゲーム業界向けの広告・市場分析を専門とするGamesightは7月のブログ記事にて、PvP FPSゲームの長期的な成功予測には、配信者や動画投稿者(クリエイター)の“人数”の方が視聴時間よりも有効な指標になり得るとする調査結果を報告した。この調査で同社は、『Counter-Strike 2』や『VALORANT』など25本のPvP FPSゲームについて、リリース後のYouTubeやTwitch上でのクリエイター数の推移を独自に追跡。結果として、リリースから3日時点のクリエイター数から、約7割の精度でその後の長期的な人気の傾向を分類できたとしている。

Gamesightはアメリカに本社を置く、ゲーム業界向けのマーケティング分析を専門とする企業だ。設立は2015年。主にTwitchやYouTubeなどにおける広告効果の分析を手がけており、配信者やソーシャルメディア上での広告施策についてさまざまなサービスを提供している。同社はTwitchを始めとする動画・配信プラットフォームにおいて大量のデータを保持しているとされ、今回の調査もGamesightが独自に収集・分析したデータをもとに公表されたものだ。

長時間見られても流行るかどうかは別の問題

調査では、『Counter-Strike 2』、『VALORANT』、『Call of Duty: Warzone』、『Overwatch 2』、『Concord』、『Highguard』など25本のPvP FPSを対象として、発売から180日目のクリエイターの数でそれぞれのタイトルを3つに分類。一つ目は「持続的に関心のあったタイトル(Sustained Interest)」で、これは発売から180日経ってもアクティブなクリエイター数が上位半数に入るタイトルを指し、長期に渡ってクリエイターからの関心を維持したタイトル群だ。二つ目は「ある程度安定したタイトル(Stable Base)」。これは180日後のクリエイター数が中程度維持されたグループで、発売後に視聴者数の減少が見られたものの、多くはシリーズものや続編を含むタイトル群を指している。そして三つ目の「維持率の低いタイトル(Low Retention)」には、発売から1年以内にサービス終了が決定したタイトルが含まれた。

リリース日からのクリエイター数の推移
(縦軸がTwitchでの一日あたりのクリエイター数。横軸が日数となっている)

結果として、発売から3日目でのアクティブなクリエイター数が、そのゲームがどのグループに属し得るかを72%の確率で予測し得ると報告されている。この確率は28日目には84%まで上昇し、その後横ばいになったという。一方で、どれくらいの時間そのコンテンツを見ていたか、というユーザーの視聴時間については、3日目時点の予想確率は52%にとどまったそうだ。このことから報告では発売初期の視聴時間について、広告や少数の大物配信者などの影響から水増しされ、一見盛り上がっているように見えるものの、実際のところ関心が継続するかは不透明なのではないかと考察されている。

その上でPvP FPSゲームにとっては、発売から約一カ月間が長期的な存続にとって最も重要な期間だと指摘。特に発売3日目から28日目にかけて、継続的な販促活動やイベント施策、配信者やコミュニティへの投資などの対応が功を奏するのではないかと分析している。

対人ゲームは一度流行ると息が長い

また今回の報告ではPvP FPSというジャンルが、ほかのシューター系ジャンルと比べて、配信者や動画投稿者といったクリエイターの関心をより長く引き付けているとするデータも公開された。もちろん、全てのPvP FPSがクリエイターを維持し続けている訳ではないとしつつも、平均として、活動的なクリエイター数が発売初週の半分に落ち込むまでの期間においては差が見られたという。

TwitchとYouTubeにおける180日間のPvP FPSとほかのシューターゲームとの比較
(上部の縦軸が週ごとのクリエイター数を表し、下部の縦軸はそれぞれのプラットフォームにおける視聴時間・視聴回数を示す。横軸は発売からの経過週)

上のグラフでは、19本(n=19)のPvP FPSと、同じ本数のシューター系ゲームを比較しており、PvP FPSの方が、クリエイター数や、視聴時間・回数をより堅調に維持している傾向が見て取れる。また、それら縦軸の値が半減する期間について、クリエイター数が約3倍から3.5倍、視聴時間・回数については、約2倍の差が生まれていると指摘している。

なお、これらの傾向はYouTubeとTwitchでやや異なる傾向がみられたそうだ。YouTubeでは、最初の2週間ほどは両ゲーム群の視聴回数に変化が見られなかったものの、Twitchでは、最初の1週間で乖離が見えはじめ、特にPvE FPSについて、クリエイターの減少スピードがやや大きいものとなっている。

報告では、これらの理由として、PvPゲーム独特のコンテンツの持続性が挙げられていた。PvEゲームにおいては、ゲームの攻略やビルドに関する需要は一過性のものになりやすいのに対し、PvPゲームでは、競技性や毎回の対戦相手によるランダム性にくわえ、パッチやアップデートによる新情報への需要が定期的に発生することを指摘。このほかeスポーツ的なイベントや、バトルパスといったゲーム内施策などの存在も挙げられた。こうした話題性や、長期にわたって展開されるシリーズでは、IP知名度の強みを生かした展開によって、PvPゲームは継続的な関心を喚起しやすいと説明している。

同報告ではこれらの傾向から、PvP FPSゲームにおいて、どういった配信・動画コンテンツが瞬間的な注目(バズり)や、継続的な視聴に繋がるのかという提案も行っている。いくつかの手法や、コンテンツの分類が紹介されているが、その中でも最も信頼性が高く、バズりやすいとされたものは「ガイドとメタ」と呼ばれるものだ。これは主にキャラクターや武器、ビルドの解説や、ティアランクの紹介などを行うコンテンツだ。ランキングやビルド解説などはパッチやシーズンごとに需要が発生し、拡散力にも優れていると説明されている。

とはいえ、これらの調査結果や提案は、あくまでも一企業が分析した結果である点は留意されたい。今回のブログ記事においても、これらの報告をそのままなぞれば成果を予測できる、といったものではないことが明言されている。単一の調査報告のみで判断すべきものではなく、あくまでも参考程度にして欲しいということなのだろう。

ちなみに、同報告書の執筆者であるMarlie Tandoc氏は神経科学の博士号を所持しており、記事末尾にコラムとして、「なぜPvPゲームがこれほど魅力的に映るのか」について、いくつかの研究を引用しつつ考察している。同氏によると対戦相手を倒した時、それが人間である場合、NPC相手よりも脳の報酬系が強く活性化したのだという。また興味深いことにこの傾向は動画や配信の視聴者側にもみられ、他人のプレイを見ることで代理的な勝利を味わっているのではとコメントしている。

動画や配信の存在がゲームのマーケティングと切っても切れない関係にある昨今、発売から数日の配信者や動画投稿者の数が、PvP FPSゲームのその後の推移を予測し得るというのはどこか納得感もある報告だ。もちろん話題になったから、取り上げた人が多いからという要素だけが長続きする要因ではないが、現在では一定の話題性を得なければ耳目を集めるのが難しいというのも事実だろう。動画共有サイトを始めとしたソーシャルメディアとゲームの関係については、今後も注目していきたいところだ。

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Kei Kano
Kei Kano

キャラクリが出来て没入感のあるゲームが好きです。ゆっくり歩いて世界観を味わったり、自分なりに脳内設定を組み上げたりして遊んでます。

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