Global Sites
「クラファンで1000万円集めた」サンドボックスMMO、リリースからわずか3か月でサービスも販売も終了。“疑惑”もつきまとった、野心的すぎるゲーム
DreamWorld Realitiesは6月29日、『DreamWorld: Sandbox MMO』を販売終了すると発表した。

デベロッパーのDreamWorld Realitiesは6月29日、『DreamWorld: Sandbox MMO』(以下、DreamWorld)を販売終了すると発表した。同作は発表から約5年を経て、今年3月11日にSteamでの早期アクセス開始を迎えたされたばかりであった。海外メディアPC Gamerが報じている。
『DreamWorld』は「すべての夢を、一つの世界に(Every Dream, One World)」のキャッチコピーを掲げたサンドボックスMMOだ。本作は全プレイヤーが共通のサーバーでプレイすることが特徴。数々のバイオームから成る1つのオープンワールドで、他のプレイヤーとともに資源を集めて拠点を作ったり、強力なワールドボスを討伐したりと自由に生活していく。本作では、たった一つの小さなエリアに数千万個のパーツを配置できるといい、8年前のPCでも60fps以上の高いフレームレートで動作するなど、『Minecraft』や『Enshrouded』といった人気サンドボックスゲームよりも技術的に優れていることが強調されていた。

本作は2021年2月に発表され、野心的なサンドボックスゲームとして注目を集めた。同年3月にKickstarterで実施されたクラウドファンディングでは、開始から9時間で目標額の1万ドル(160万円・以下現在のレート)を達成し、最終的に663人の支援者からおよそ6万5000ドル(現在のレートで約1000万円)の資金を獲得した。さらに、本プロジェクトはY Combinatorによるスタートアップ支援を受けて開発が進められることになった。同社はAirbnbやDropboxといった名だたるサービスを輩出した世界を代表するシードアクセラレーターだ。
そうして各所から期待を寄せられた本作だが、当時よりさまざまな懸念が浮上していた。なかでも、ゲーム開発経験もあるYouTuberのCallum Upton氏は、Kickstarterに掲載された本作のトレイラーを独自に検証。映像に登場するモデルの多くはUnreal Engineのアセットパック由来のものであり、その90%は直近数か月の間に無料配布されていたものであったことを報告していた。
またPC Gamerが指摘するところによれば、DreamWorld Realitiesの創業者であるGarrison Bellack氏とZachary Kaplan氏には経歴上、商業ゲームの開発経験がなかった模様。数千人が同時アクセス可能な無限のオープンワールドを構築するという野心的なアイデアを実現できるかどうか、一部では開発体制を不安視する声も上がっていた。

本作はその後支援者向けのアルファ版を提供しながら開発が続けられ、itch.ioおよび公式サイトでの早期アクセスや、Steamでのプレイテストなどを実施。また、2024年には、入力したテキストから建築用のゲーム内アイテムを生成する「DreamForge」というAI機能が発表され、Steam版の主要機能として紹介。そして発表から約5年後となる2026年3月にSteamで早期アクセス配信が開始された。
ところがDreamWorld Realitiesは6月29日、本作の早期アクセス配信を終了し販売終了することを突如発表した。同社によれば、本作はホスト型のオンラインサービスに依存しているため、このサービスの停止に伴い、オンライン機能やサーバー依存の機能が利用不可となるとのこと。販売終了に至った理由については説明されていないものの、Steamでの同時接続プレイヤー数は、最大でも配信開始直後の56人。ここ数か月では一桁で推移していた。収益化が困難であったという側面もあるのかもしれない。

なお、これまでのSteamユーザーレビューでは55件中69%が好評とする「賛否両論」ステータスとなっている。豊富なパーツから直観的に建築が可能な自由度の高い建築システムに加え、他のプレイヤーと一つのワールドで建築し合えるという体験で定評を得ているものの、Steam版の主要機能とされていたAI機能が動作しないなど不具合は多く、粗削りな部分が目立っている。
近年では、クラウドファンディングで大きな資金を獲得したのちに、開発が頓挫するケースが多々見られる。たとえばMMORPG『Ashes of Creation』の開発元Intrepid Studiosでは、早期アクセス配信が開始された直後に大規模なレイオフが発生。創業者が取締役会メンバーなどを相手取った訴訟を起こした一方で、その創設者が会社の資金を私的に使い込んでいたとする告発がおこなわれる泥沼展開となっていた(関連記事1、関連記事2)。
Kickstarterではプロジェクトが成功した場合、クリエイターには約束した取り組みを完了、リワードを送付する責務が生じるとされている。一方でMMORPGのようにライブサービスが必要となる作品において、リリース後に即販売やサービスが終了され、形式的に“リリースされただけ”となる状況が発生しているのは問題視されるところだろう。支援者の当初の期待とは乖離した末路を辿るケースもあり、クラウドファンディングを通したゲーム開発自体への信頼性を損なう事例といえそうだ。

ちなみに創業者のKaplan氏は17年前の14歳のころから本作の設計や開発をおこなってきたといい、同氏にとってまさに夢のような作品であったこともうかがえる。本作を取り巻いていたさまざまな疑念の真偽は定かではないものの、野心的すぎたとも言える構想が真に実現されることなく終わりを迎えたことにはやりきれなさも残る。
この記事にはアフィリエイトリンクが含まれる場合があります。
