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あるSteamゲームで「海賊版ユーザーへの嫌がらせモード」が“思わぬ宣伝効果”を発揮し開発者が喜ぶ。目には目を
ゲーム開発者のHeyNau氏は6月20日、『Burgie's Cozy Kitchen』が中国で人気を呼んでいることをRedditにて紹介した。

ゲーム開発者のHeyNau氏は6月20日、自身が手がけたハンバーガ店経営放置ゲーム『Burgie’s Cozy Kitchen』が中国で人気を呼んでいることを海外掲示板Redditにて紹介した。同作のゲーム内には、いわゆる海賊版への対策としてある特殊な演出が仕掛けられているという。
『Burgie’s Cozy Kitchen』はハンバーガショップ経営ゲームだ。店に訪れる客の注文を受けて、プレイヤーはキッチンで具材をそれぞれ調理。注文通りのハンバーガーを作って提供する。本作は放置ゲームとしての特徴もあり、ゲーム画面を小さなウィンドウとしてデスクトップの隅に配置し、ほかの作業をしながら注文が入るのを待つことが可能。そのほか、YouTubeやTwitchなどのチャットと連携することで、視聴者とゲーム内で会話をしたり、料理を提供したりすることもできる。

本作はPC(Steam)向けに2025年2月に早期アクセスで配信開始され、ユーザーレビューでは約400件中96%の好評率で「非常に好評」ステータスを獲得してる。2026年6月26日に正式リリースを迎える見込みだ。
本作を開発したHeyNau氏はRedditのゲーム開発者向けコミュニティ「r/gamedev」にて、『Burgie’s Cozy Kitchen』に導入している海賊版対策とその影響について語った。海賊行為を阻止するのは容易ではなく大手スタジオも苦戦する中で、同氏は海賊版対策に工夫やユーモアを交え、ゲームの一部にしてしまおうという試みをおこなったそうだ。
HeyNau氏によれば、本作には海賊行為の兆候を検出するトリガーが10個ほど用意されているという。そしてそれらが複数同時に作動し、海賊版がプレイされている確率が高いと判断されると、ゲーム開始から約1時間が経過したタイミングから、客が海賊の格好でやってくるようになるそうだ。海賊客たちは支払い時にコインを1枚しかくれず、「Pirates don’t leave tips(海賊はチップを残さない)」や「The pirate code does not allow us to pay(海賊の掟では支払いは許されない)」といったレビューを残していくとのこと。貰えるコインが極端に少なくなることで、進行が困難な状態に陥るようだ。“代金を払ってくれないユーザー”に頭を悩ますという、皮肉の効いた演出といえる。


そのほかにも、アコーディオンで演奏されたバージョンのメインテーマが流れるようになったりと、海賊にちなんだジョーク演出が発生するという。先述したように放置も可能な本作ながら、この状態では音量を下げることはできても音楽をミュートすることはできなくなるとのこと。
ところで、そんな本作の売上が今月から大きく上昇しているそうだ。HeyNau氏によれば、リリースからの約1年間は爆発的なヒットとは言えなかったものの、安定した収入源になっており、インディー開発者としては理想的な状況だったという。それから1年後、ゲームの認知度を再び高めるための取り組みとして、デモ版をリリースすることにしたそうだ。発売から1年が経過するゲームでは意味を成すのかどうかわからなかったが、本作のような短くカジュアル寄りなジャンルでは、デモ版が成長の最大の鍵になったとの言及を目にしていたため試してみたとのこと。
すると、デモ版公開から数日後に中国からのダウンロード数が急激に増加。ついには売上の99%を占めるまでになったという。HeyNau氏が調査をするうちに、中国版Tiktokとしても知られるDouyinのストリーマーが投稿したデモ版の動画をきっかけに拡散し、バイラル化したことがわかったそうだ。それと同時に、本作の海賊版のダウンロード方法に関する動画も同様に増え、モバイル向けに勝手に移植した海賊版まで作られたと報告している。

ただ、拡散された動画のコメント欄を見ると、ゲーム内で食事の料金を払わない海賊が出てくることをどうすれば防げるかといった疑問を多くのユーザーが寄せていたそうだ。そうした状況に対して低評価を寄せるSteamユーザーも現れたようで、それぞれ海賊版で本作をプレイして先述した対策に引っかかったものの、“皮肉”を理解できなかったわけだろう。そこでHeyNau氏はSteamに寄せられた低評価レビューに対して返信し、海賊客の真相について説明。このことは中国のSNSで広まり、誰かが海賊版について言及するたびに、ほかのユーザーがこの話を説明して回るといった状況になっているそうだ。そうした流行の影響もあってか、爆発的なヒットの後も、売上は連日記録更新を続けているとのこと。
海賊版ユーザーに向けて実装した嫌がらせ機能が話題を博し、正規版の宣伝にも役立ったという点で興味深い出来事と言えそうだ。HeyNau氏は海賊版ユーザー向けのシステムの構築を楽しんでいるといい、このままだと海賊版ユーザー専用のゲームモードを作ってしまうかもしれないと話している。

ゲーム内に嫌がらせを実装して海賊版に“対抗”しようとする作品は過去にも登場しており、たとえば西部開拓シミュレーション『Depraved』では、海賊版ユーザーの倉庫に海賊帽子が無限に湧き続け、開発元への支援を呼びかけるメッセージが表示されるという(関連記事)。またNINTENDO 64向けに発売された『ニンテンドウオールスター! 大乱闘スマッシュブラザーズ』では、特定の回数以上起動すると、マリオ以外のキャラクターで遊べなくなったり、ふっとびがダメージやステータスに関係なくランダム化したりといった“不具合”が発生するようになっていた(関連記事)。シンプルにプレイ不可能にするだけでなく、遊び心を利かせて海賊版ユーザーを“罠”にかける対策はさまざまなゲームで講じられてきたわけだ。
なおゲームを許可なく配布/アップロードする行為は、日本を含む多くの国で著作権侵害にあたる。違法アップロードされたコンテンツと知りながらのダウンロードも違法だ。またコンソールにおいてはプラットフォームホルダーによる対策が強化されてきた一方、PCゲームでは引き続き海賊版の流通が後を絶たない状況はあるようだ。前述したようなユニークなシステムについては、完全な対策の難しい海賊行為に対して一矢報いるための苦肉の策であることにも留意したい。
『Burgie’s Cozy Kitchen』はPC(Steam)向けに早期アクセス配信中。6月26日に正式リリース予定だ。
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