『Dead by Daylight』開発者と『オバケイドロ2』開発者に、対話の場を作り“お互いのゲーム”の印象を聞いてみた。非対称対戦ゲーム先輩後輩対談

このたび弊誌は、『DbD』と『オバケイドロ!』の開発者による座談会を実施。前編となる本稿では、『DbD』が『オバケイドロ!』に与えた影響や、非対称対戦ゲームならではの設計思想について話を訊いた。

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Behaviour Interactiveが手がける非対称対戦ホラーゲーム『Dead by Daylight』(以下、DbD)は、このたび発売10周年を迎えた。日本で『DbD』独自のゲーム構造から影響を受けた作品のひとつが、フリースタイルの『オバケイドロ!』だ。

『Dead by Daylight』は、1人のキラーと4人のサバイバーに分かれて争う非対称対戦ホラーゲームだ。サバイバー側のプレイヤーは、マップ内に点在する発電機をスキルチェックにて修理し、ゲートを開いて脱出することが目標。一方のキラーとなったプレイヤーは、サバイバーの痕跡を追い脱出を阻止することを目指す。

そして『オバケイドロ!』は、「ケイドロ」をコンセプトとする、オバケ1人とニンゲン3人による鬼ごっこ対戦ゲーム。続編『オバケイドロ2』では、ニンゲン6人とオバケ2人での8人対戦が恒常的に楽しめるようになった。3分間の制限時間の中で、ニンゲン側は誰かひとりでもオバケから逃げ切れば勝利。オバケ側は、ニンゲン全員を捕まえたら勝利だ。

このたび弊誌は、『DbD』と『オバケイドロ!』の開発者による座談会を実施した。Behaviour Interactiveからは、『DbD』エグゼクティブプロデューサーのジョゼ・ラモス氏と、シニアクリエイティブディレクターのデイブ・リチャード氏が参加。フリースタイルからは、プロデューサー兼ディレクターの田中氏、クリエイティブディレクターの宮南氏、企画・デザインを担当する中山氏が参加した。

本インタビューでは非常に興味深い話を訊くことができたため、2本にわけて掲載する。前編となる本稿では、『DbD』が『オバケイドロ!』に与えた影響や、非対称対戦ゲームならではの設計思想について話を訊いた。UI/UX設計やコミュニティとの向き合い方、そして開発哲学に迫る別インタビューもあわせてご覧いただきたい。

──まずは自己紹介をお願いします。

田中氏(フリースタイル):
まずは『DbD』10周年、おめでとうございます。私自身、今日ここに来る前にも遊んでいたくらい『DbD』をよくプレイしていますので、このような機会をいただけて本当に嬉しいです。本日はよろしくお願いします。

宮南氏(フリースタイル):
フリースタイルの宮南です。まずは『DbD』10周年、おめでとうございます。私自身も普段から楽しくプレイしているタイトルで、『オバケイドロ!』を開発するうえでも参考にさせていただいた部分が数多くあります。

好きなキャラクターは、フェン・ミンです。ウサギのフードをかぶっているスキンのデザインがすごくかわいいとおもっています。本日はお話しできることを楽しみにしています。

中山氏(フリースタイル):
中山祐美子と申します。普段は『オバケイドロ!』の企画やデザインを担当しています。『DbD』10周年、おめでとうございます。私も初期からファンとして遊んでいて、好きなキャラクターはナースです。

自分の腕の問題かもしれませんが、操作はあまり得意ではありません(笑)ただ、移動の感覚がとても特徴的で、能力を何度か連続でうまくつなげられた時の達成感がすごく好きです。

『オバケイドロ!』はまったく同じ種類のゲームではありませんが、開発中にキャラクターやゲーム体験から影響を受けた部分があります。本日はお話しできることを嬉しく思います。

デイブ・リチャード氏(Behaviour Interactive、以下デイブ氏):
みなさん、ありがとうございます。『DbD』シニアクリエイティブディレクターのデイブです。

ジョゼ・ラモス氏(Behaviour Interactive、以下ジョゼ氏):
お時間いただきありがとうございます。エグゼクティブプロデューサーのジョゼです。

『DbD』は、『オバケイドロ!』にとって「兄」のような存在

──Behaviourのおふたりが、初めて『オバケイドロ!』をご覧になった際の印象を教えてください。『DbD』からの影響は感じましたか?(笑)

デイブ・リチャード氏(Behaviour Interactive、以下デイブ氏):
本当にかわいいゲームだと思いました。ビジュアルもとても魅力的ですし、『DbD』から影響を受けているように感じる部分もありました。自分たちが作っているものがほかの開発者にインスピレーションを与えているのであれば、それは本当に素晴らしいことです。見ていて心が温かくなりました。

ジョゼ・ラモス氏(Behaviour Interactive、以下ジョゼ氏):
『DbD』だけでなく、『第五人格』を思わせる雰囲気も感じました。もちろん、『第五人格』も『DbD』から影響を受けた作品だと認識しています。自分たちの作品から影響を受けたゲームを見ることは、私たちにとっていつも光栄なことです。

また、『オバケイドロ!』の物語的なレイヤーもとても気に入りました。特にテキストやキャラクター同士の掛け合いが印象的で、そうしたやり取りを通じてキャラクターの人間らしい一面がうまく表現されていると感じました。

──『DbD』を初めて遊んだ時、どのような印象を受けましたか?

田中氏(フリースタイル):
私は『DbD』を10年近くずっと好きで遊んでいます。私たちにとっては兄のような存在で、『オバケイドロ!』にとっても兄的なタイトルだと感じています。

デイブ氏(Behaviour):
とても素晴らしい表現ですね。気に入りました。

ジョゼ氏(Behaviour):
これはほぼすべてのゲームに言えることだと思いますが、私たちは常に「巨人の肩の上に立っている」と感じています。『DbD』と同じ時期、あるいは少し前にも、いくつかの非対称対戦ゲームが登場していました。私たちがその中でもっとも成功した作品になれたのは幸運で、そこには単純な運もあったと思います。そして、私たちは常にほかのゲームから学ぶ姿勢で日々開発に励んでいます。

今回こうして対話したいと思ってくださったことも、私たちにとって素晴らしいことです。皆さんも情報を集め、学ぼうとしているわけですよね。それは私たちも常に続けていることです。『DbD』は大きな成功を収める機会に恵まれましたが、私たちにも常に影響を与えてくれたほかのゲームがありました。

田中氏(フリースタイル):
特に印象的だったのは、サバイバーとしてプレイした時の体験です。キャラクターの成長と、自分自身のプレイヤーとしての成長が密接につながっていて、学んだことが次の試合にも引き継がれていく感覚がありました。本当に素晴らしく、ほかにはないゲームだと感じました。そこは私たちが本当に尊敬している部分で、今日はぜひお伝えしたいと思っていました。

ジョゼ氏(Behaviour):
そのように言っていただけて嬉しいです。『DbD』は、そして多くのPvPゲームもそうだと思いますが、決して入りやすいゲームではありません。学習曲線もなだらかではないですよね。

だからこそ、特にサバイバー側では友達と一緒に学べることが重要です。『DbD』はTwitchなどでも広く配信されているので、コンテンツクリエイターから学ぶことも大きな助けになります。キャラクターと一緒に成長するだけでなく、コミュニティのほかの人たちに助けてもらいながら成長できる。簡単にはマスターできないゲームだからこそ、それが支えになります。

非対称対戦ゲームは、なぜ生まれたのか

──『DbD』の開発初期に、非対称対戦ゲームとして開発を進めることになった理由を教えてください。

デイブ氏(Behaviour):
自分たちが遊びたいゲームだったのに、当時はそういうゲームが存在しなかったからです。

サバイバーとして何者かに追われる幻想と、キラーとして相手を狩る幻想を再現したいと強く思っていました。それを正しく表現するには、非対称にするしかありませんでした。それに加えて、設計上の挑戦でもありました。難しいからこそ、同じようなゲームはあまり多くありません。だからこそ、その挑戦に取り組みたいと思ったのです。

──『オバケイドロ!』は、なぜ非対称対戦ゲームになったのでしょうか?

田中氏(フリースタイル):
『オバケイドロ!』が非対称になった理由は、もともとイベント出展向けのアクションゲームとして開発した時までさかのぼります。当時は、イベント会場でもっとも盛り上がるゲームを作ろうというコンセプトで、最初は2対2のゲームとして作っていました。

ただ2対2では、勝った側は楽しめても、負けた側はどうしても「もう一度やりたい」と思いにくい。そのバランスしか作れなかったので、発想を変えました。そこで、1人だけど強い陣営と、3人だけどひとりひとりは弱い陣営との対戦にすれば、強い陣営側は勝って嬉しいからもう一度遊びたい。一方で負けた3人も「次はもっと上手く協力すれば勝てるかもしれない」と考え、もう一度挑戦したくなるのではないかと考えました。そうしたコンセプトから、今の形になりました。ある意味では、僕らの能力不足から非対称という形になったという経緯があります。

デイブ氏(Behaviour):
面白いですね。逆に3人が勝って1人が負けた場合でも、双方が楽しいと思えるかどうかも重要で。対戦ゲームではもちろん誰もが勝ちたいと思っていますし、結局はバランスです。4対1であれ、ほかの非対称構造であれ、パワーバランスこそが面白さにつながります。

私たちが重視してきたのは、勝ち負けだけに焦点を当てないことです。プレイヤーが試合の最後だけでなく、もっとも長い時間を過ごす試合中そのものを楽しめるようにする。そのことを今もプレイヤーに伝え、改善しているところです。

ジョゼ氏(Behaviour):
『DbD』はPvPゲームで競技的な要素もありますが、良いところのひとつは、「勝利」の定義がある程度プレイヤーの解釈に開かれていることです。キラーとして勝つとは、どういうことでしょうか。全員を倒すことなのか、4人中3人を倒すことなのか。多くのプレイヤーをフックに吊るしたものの、倒した人数は少なかった場合、それは良いパフォーマンスだったのか。同じように、サバイバーとして脱出できなくても、仲間をたくさん助けたなら、それは良いプレイだったのかもしれませんよね。

脱出できなかったり、多くのプレイヤーを倒せなかったりしても、良いパフォーマンスだったことを示す点では、私たちはさらに改善できると思っています。ただ、『DbD』には勝ち負けを二択で決める明確な定義がないからこそ、より面白い体験が生まれるのだと思います。

──『DbD』において、勝ち負けにさまざまな意味を持たせる考え方は、特に重要なものなのですね。

DbD日本チーム広報担当:
これはジョゼやデイブがよく話していることなんです。『DbD』にはさまざまな勝ち方があり、負けにもさまざまな解釈があります。サバイバーなら、自分を犠牲にして仲間を助けることもあるでしょう。キラーなら、サバイバーに逃げられて試合としては負けても、狙っていたメメント・モリを決められたり、思いどおりの攻撃を成功させたりすることもできます。

キラー側にもサバイバー側にも多様な楽しみ方があるので、プレイヤー自身が成功の定義を作り、ゲーム体験をそこまで広げられることは、開発者の視点から見ても非常に興味深い点ではないかと思います。

ルールをシンプルにし、カオスを楽しむ『DbD』2対8モード

──『DbD』では期間限定で2対8モードが開催されることがありますが、どのような考え方で開発されているんでしょうか?。

田中氏(フリースタイル):
私も気になりました。先ほどの、ゲームは勝ち負けだけに焦点をあてないという話にもつながる話だと思います。2対8のように人数が増えると、対戦している感覚も変わります。私たちも2対6モードを作りましたが、1対3や1対4と比べて人数が増えると、一人ひとりが負う責任は少し小さくなります。体験の面でも、誰かを追いかけた時に得られる達成感の質が変わってきます。

設計上、私たちも非常に苦労した部分です。2対8を作る際に、こうした問題にどのように向き合ったのか教えてください。

デイブ氏(Behaviour):
……ええ、問題がありました(笑)

ジョゼ氏:
(笑)2対8モードの実装は非常に難しい挑戦でした。ただ、プレイヤーからは2対8を求める声が数多く寄せられていました。ゲームが壊れてしまう可能性も認識していましたが、それでも何とかしようと決めました。完璧でなくてもまず実装し、そこから少しずつ調整していったのです。

『DbD』はライブサービス型のゲームなので、プレイヤーと一緒に作っていくものです。プレイヤーが求めていたモードをまず入れて、その後に徐々に調整していきました。

さらに2点付け加えます。ひとつ目は、ある程度カオスを受け入れたことです。同時に、ルールをシンプルにしたいとも考えました。キャラクターに装備するすべてのパークや固有要素はこのモードから取り除き、代わりにキャラクターのカテゴリー、つまりクラスに焦点を当てました。ルールを簡略化することで、よりカジュアルなモードにしました。プレイヤーがメタを学ばなくても、楽しくカオスな体験をそのまま楽しめるようにしたのです。

ふたつ目は、試合が一方的で息苦しくならないよう、バランスを管理することでした。マップの広さと発電機の数を調整しました。マップが広くなり、そこに多くの発電機が分散したことで、サバイバーが自由に動ける空間が生まれ、新たな戦略も生まれました。

ルールをシンプルにすることと、マップを広げること。この2点が、モードの成功に大きく貢献したと思います。

ジョゼ氏(Behaviour):
『オバケイドロ2』も前作と比べると規模が大きくなっていますよね。先ほど仰っていたように、オバケが2人、ニンゲンが最大6人でプレイできます。そういう意味では、2対8モードに少し近い構造だと思います。ところで……2の発売おめでとうございます(笑)

田中氏(フリースタイル):
ありがとうございます!

DbD日本チーム広報担当:
『DbD』には約10年の歴史があり、ベテランや非常に上手なプレイヤーが数多くいます。一方で、それが初心者にとっての大きなハードルにもなっています。パークの数も多いため、新規プレイヤーがすべてを使いこなすのは難しく、そもそも覚えるだけでも大変です。ただ、2対8モードでは要素がかなりシンプルになっているので、すべてを学ばなくても『DbD』に飛び込めます。異なるレイヤーのカオスを楽しめるモードになっています。

田中氏:
なんというか、意外なほど気軽に遊べるモードだなと思いました。通常モードに入ると、自分がほかのプレイヤーに迷惑をかけてしまうのではないかという不安がありました。2対8ではオンライン対戦に参加する心理的なハードルが下がるというのは、プレイしてみてもすごく感じていました。お祭りみたいな感じがすごく良いですよね。

DbD日本チーム広報担当:
まさに『DbD』の開発チームが狙っていたことだと思います。プレイヤーがハードルを感じずに飛び込んでくれるのが2対8モードの良さですね。

ジョゼ氏(Behaviour):
狙いどおりに楽しんでいただけて嬉しいです!

──ありがとうございました。(後編へ続く)

Dead by Daylight』はPC(Steam/Epic Gamesストア/Microsoft Store)/Nintendo Switch/PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。PlayStation PlusのゲームカタログおよびXbox Game Pass(PC/コンソール/クラウド)でも提供されている。『オバケイドロ2』はNintendo Switch 2向けに発売中。Nintendo Switch向けにも8月6日発売予定だ。

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