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『Fallout: New Vegas』ディレクター、“防具システムの設計は難しすぎる”とこぼす。でもシンプルな『ツシマ』と作り込み光る『キングダムカム』はどっちもよくできていると感心
3DRPGにおける防具のシステムについて、具体的なタイトルを例に、その設計の難しさが語られている。

ゲーム開発者のJoshua Sawyer氏はYouTubeにて動画をアップした。ユーザーからの質問に答えた同動画では、3DRPGにおける防具のシステムについて、具体的なタイトルを例に、その設計の難しさが語られている。
Joshua Sawyer氏はObsidian Entertainmentのゲームデザイナーだ。『Fallout: New Vegas』や『Pillars of Eternity』シリーズでディレクターを務めるなど、数々の人気作の開発を率いてきたベテランゲーム開発者である。
そんなSawyer氏はYouTubeのチャンネルを運営しており、ゲーム開発にまつわるトピックの解説をおこなう動画を定期的にアップしている。6月13日にアップロードされた動画では視聴者からの質問に答えるかたちで、3DRPGにおける防具システムについて同氏が解説。装備によってキャラの見た目も変わるタイプの作品における、シンプルな装備システムと複雑な装備システムの利点についてそれぞれ語った。
Sawyer氏はまず非常にシンプルな防具システムの代表例として、頭と胴体の2種類だけというものがあるとした。こうしたシステムの利点としては、デザイン上の制約が少ないことがあるという。細分化された防具システムでは、アーティストは鎧のデザインをおこなう際に、各部位の境界線を意識しながらデザインする必要がある。胴や腕、あるいは下半身などに分かれ、それぞれに異なる防具を装備できるようなシステムであれば、各部分を分割しつつ、干渉しにくいものにする必要があるだろう。これはデザイン上厳しい制約になるそうだ。
しかし頭と胴体の2種類だけなら、首回りだけ気を付ければかなり自由にデザインすることが可能とのこと。そのためアーティストは基本的にシンプルな装備システムの方を好み、ディレクターとしてのSawyer氏も、しばしばシンプルな装備システムの利点を感じるという。
そしてシンプルな装備システムを採用し、優れたデザインを実現しているゲームの例として、Sawyer氏は『ゴースト・オブ・ツシマ』および同作の流れを汲む『ゴースト・オブ・ヨウテイ』を挙げている。このシリーズ2作品では、防具の部位は頭・顔(面頬)・胴体の3箇所に分かれる比較的シンプルなシステムとなっている。Sawyer氏はこの単純化により、クールなデザインで“最高級の鎧”を実現したとの見解を示している。そしてステータスに影響するのは胴体の鎧のみとなっており、性能の特徴も明快。ユーザーがビルドを構築しやすいゲームデザインになっているというわけだ。

一方、細分化された装備システムでは、既存のデザインに縛られすぎることなく、ユーザーが自分のスタイルを追求できるという利点がある。また装備箇所が多いことで組み合わせも豊富になり、ビルドの幅も広がりやすい。見た目と性能の双方における自由度が最大の魅力になるという。しかしこのような複雑な装備システムを備えた作品は、バランス調整がとても難しいそうだ。個別のステータス設定に時間もかかり、多くの判断と決定が必要になるという。
一つの解決策として、防具に関しては見た目のみの要素としてしまい、性能には影響させないことも可能だという。しかしその場合でも、細分化された装備システムの欠点がすべて解消されるわけではないとのこと。たとえ見た目のみの存在であっても、先述の通り、組み合わせた場合にアーマーの形状が問題となり、パーツ同士が干渉してしまうことがある。また多彩な装備を組み合わせるとメモリなどの消費も激しくなりがちで、パフォーマンスに影響が出ることもあるという。これらは開発を複雑にする原因のひとつになりうるそうだ。
そんなデメリットも多いとみられる複雑な装備システムを採用しつつも成功している作品の例として、Sawyer氏は『キングダムカム・デリバランス』を挙げている。同作は非常に装備箇所が多く、甲冑の下に鎖かたびらを身に着け、さらに中に服を着るといった「重ね着」も可能。これは歴史的な正確さを追及するという『キングダムカム・デリバランス』のゲームデザインに則ったものといえるだろう。
こうしたシステムではパーツ同士が干渉したり、下にある装備が上に来た防具を見た目的に貫通したりといった問題が起きがちだ。しかしSawyer氏は、『キングダムカム・デリバランス』はかなりうまくやっているとコメント。一部では見た目上の問題も見られるものの、一般的なゲームよりはるかに少ないという。同作の世界観にマッチした、素晴らしいシステムだとして高く評価した。

Sawyer氏はこれまでたびたびRPGにおける防具システムについて語っており、今回6月13日にアップされた別の動画でもやはり装備システムについてトークを展開した。「いつも鎧について考えている」と話す同氏は、2022年には約1時間におよぶ講演動画をアップしているほど。その際は『Fallout』や『エルデンリング』、『サイバーパンク2077』など具体的な作品に言及しつつ、防具は敵から受けるダメージを減らす実用品であるとともに、プレイヤーの気分を上げる装飾品でもあり、世界観を語るツールでもあると話していた。いろいろな意味をこめられるだけに、単純にせよ複雑にせよ、そのゲームの雰囲気やゲームプレイに合ったシステムを採用するのが重要ということなのだろう。
今回はそんなRPGの装備に情熱を燃やすベテランゲーム開発者のJoshua Sawyer氏が、シンプルな装備システムと複雑な装備システム、それぞれの詳細について語った。『ゴースト・オブ・ツシマ』と『キングダムカム・デリバランス』という成功例も持ち出しつつ、システム設計における利点と欠点、そして設計の難しさが明かされたかたちだ。ゲームを遊ぶ際は装備システムにも注目してみると、そのゲームが大事にしているものや、目指している方向性がうかがえるのかもしれない。
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