『バルダーズ・ゲート3』開発元、高評価メトロイドヴァニア『ブラスフェマス』のクラファンに高額出資していた。一切の見返りを求めずこっそり支援

 

インディースタジオThe Game KitchenのリードレベルデザイナーEnrique Colinet氏は4月12日、同スタジオの人気作『ブラスフェマス(Blasphemous)』のクラウドファンディング実施当時に、『バルダーズ・ゲート3』で知られるLarian Studiosが高額出資していたことを公表。ファンの間で大きな注目を集めている。


『ブラスフェマス』は、PC/Nintendo Switch/PS4/Xbox One向けに2019年に発売されたメトロイドヴァニアスタイルのアクションゲームだ。舞台となるクヴストディアと呼ばれる世界では、降り注いだ奇蹟によって人々は邪悪な呪いにかかり、異形のモンスターとして徘徊。プレイヤーは悔い改める者・悔悟者として、この奇蹟の根源を突き止めることを目指す。

本作は、敵との歯ごたえあるバトルを含め高難易度のゲームプレイを特徴とし、また宗教色の強い世界観や、異形のモンスターのグロテスクなドット絵ビジュアルなどが話題に。ユーザー・メディア双方から高い評価を受け、昨年8月時点で約250万本を売り上げるヒットを記録している。なお、同月には続編『Blasphemous 2』が発売された。

本作は、2017年にKickstarterにて実施されたクラウドファンディングでの成功を受けて開発された。当時、約1万人の出資者から約33万ドル(約5000万円・現在のレート)を集めている。そして開発元The Game KitchenのリードレベルデザイナーEnrique Colinet氏によると、本作にはLarian Studiosも企業として出資していたという。


Larian Studiosは、ベルギーに拠点を置くデベロッパーだ。『Divinity』シリーズなどRPG開発に定評があり、直近では『バルダーズ・ゲート3(Baldur’s Gate 3)』での成功が記憶に新しい。非常に高い評価を獲得した同作は、昨年から今年にかけて数々の賞を総なめにし、今年3月時点で約1500万本を売り上げている。

そんな同スタジオは、『ブラスフェマス』のKickstarterキャンペーンにて4桁の金額を出資し、もっとも大きな貢献者になっていたという。当時のキャンペーンページを確認してみると、出資されたなかで最高額となる1000ドル(約15万円)のプランに、3名が出資していたようだ。出資者のアカウント名は公開されていないものの、表示されたアカウントのアイコンのひとつは、確かにLarian Studiosのロゴになっている。また、本作のクレジット画面にも同スタジオの名が掲載されている。

なおその1000ドルのプランでは、本作の製品版やプロトタイプへのアクセス権、各種グッズなどに加え、本作に登場するボス1体をデザインできる権利がリワードとして提供された。ただColinet氏によると、Larian Studiosはいずれのリワードも受け取ることはなく、“近年で最高のゲームのひとつ”を作り続けることを選んだそうだ。おそらく、当時発売直前だった『Divinity: Original Sin II』の仕上げ作業、あるいは『バルダーズ・ゲート3』の開発準備で忙しかったということなのだろう。


Larian Studiosが『ブラスフェマス』に出資した理由については、同スタジオから出資の事実を含め特に公表されておらず不明。ちなみに本作以外にも、これまでに20以上のプロジェクトに出資している模様である。実は同スタジオも、『Divinity: Original Sin』シリーズ2作品および同ボードゲーム版の制作を、Kickstarterを通じて実現させている。そうした背景もあって、応援したいプロジェクトがあれば見返りを求めず積極的に支援しているのかもしれない。もっとも、同スタジオが『ブラスフェマス』のボスを手がけていたなら、どういったキャラクターが生まれていたのかは見てみたかった気もする。

『ブラスフェマス(Blasphemous)』は、PC(Steam/Epic Gamesストア/GOG.com)/Nintendo Switch/PS4および海外Xbox One向けに発売中だ。PS Plusのゲームカタログ向けにも提供されている。