Riot GamesがNetEaseを提訴したとの報道。モバイルFPS『Hyper Front』が『VALORANT』に似すぎとして

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VALORANT』を手がけるRiot Gamesが、モバイル向けゲーム『Hyper Front(未来戦場)』を運営する中国企業のNetEaseおよびグループ会社に対し、著作権侵害などを理由に訴訟を起こしたと報じられている。Riot Gamesは『Hyper Front』が「『VALORANT』の本質的な部分をコピーしている」と主張。Riot Gamesはイギリスのほか、ドイツ、ブラジル、シンガポールにて、類似の訴訟を提起しているとのこと。Polygonが伝えている。

『Hyper Front』


『VALORANT』は、Riot Gamesが手がけ2020年にPC向けにリリースした、オンライン対戦FPSゲームだ。そして『Hyper Front』は、NetEaseが手がけ2022年にAndroid及びiOS向けにリリースした、オンライン対戦FPSゲームとなる。いずれの作品も基本プレイ無料で提供されており、5対5を中心としたさまざまなモードで互いに対戦する内容となっている。

『Hyper Front』は現在マレーシアやタイなど数か国に向けてのみ配信されており、Google Playストアにおいて100万回以上のダウンロード、4万8000件以上のレビューを獲得している。日本国内においても『未来戦場』のタイトルで事前登録キャンペーンを実施中。サービス開始時期は未定ながら、日本向け公式サイトにて事前登録者数1000万人を達成したと発表している。

Polygonが公開した裁判資料によれば、Riot Gamesはイギリスでの訴訟において『VALORANT』と『Hyper Front』それぞれに類似しているとする点を多数列挙している。キャラクター・マップ・武器・武器の性能・武器スキンなどのほか、スコアボードなどゲーム内UIおよびBGMについても指摘。果てにはラウンド準備時間中にエリアを隔てている半透明な壁のデザインまで、数多くの点が類似していると主張している。

*Polygon公開の裁判資料より


同裁判資料では、Riot Gamesは過去にも『Hyper Front』が『VALORANT』に類似していると指摘したとしている。その際には、NetEase側により『Hyper Front』の各デザインが少し修正されたとのとこと。しかし、Riot Gamesの弁護士であるDan Nabel氏はPolygonに向けて、キャラクターの能力の色を変更したり、見た目を少し変更したとしても、著作権侵害である事実が変わることはないと述べている。

上:修正前 下:修正後
*Polygon公開の裁判資料より

Nabel氏は、Riot Gamesとして複数の地域で訴訟を起こしている理由について、著作権法が地域によって異なるためであると言及。この問題を解決するために特定の市場に依存したくないと伝えた。また、Riot Gamesと同様にグローバルなパブリッシャーであるNetEaseに対して、同社がこの問題を非常に重く捉えていることを知ってほしいとしている。英国での裁判資料においてRiot Gamesは、NetEaseに対し著作権侵害行為の停止、ならびに著作権侵害などに対する損害賠償をNetEase側に求めている。

今回訴えを起こされたNetEaseは『荒野行動』や『IdentityⅤ第五人格』など人気のモバイル向けゲームを配信している。過去には『荒野行動』における『PUBG: BATTLEGROUNDS』との類似点などをめぐってPUBG Corporationより訴訟を起こされている。この訴訟は2019年に和解となったが、和解の条件は明らかになっていない(関連記事)。

そして、今回訴えを起こしたRiot Gamesは、過去にも同社が提供している作品が著作権侵害を受けているとして、別の複数の訴訟を起こしている。たとえば、『リーグ・オブ・レジェンド』の著作権を侵害しているとして、モバイル向けMOBAゲーム『モバイル·レジェンド: Bang Bang』を配信するShanghai Moonton Technologyを訴訟。結果としてShanghai Moonton Technology側に対し、約290万ドル相当の支払いを命ずる判決を勝ち取っている。なお、Riot Gamesはモバイル・コンソール向け作品『リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト』の展開にあたって、ふたたびShanghai Moonton Technologyを提訴していた(Polygon)。

またRiot Gamesは2021年に『VALORANT』一周年の記念としてモバイル版となる『VALORANT Mobile』を発表している。今回の裁判資料において同社は“『Hyper Front』が『VALORANT』のモバイル版の普及を損なう可能性がある”としており、『VALORANT Mobile』の今後の展開を考慮して、訴訟に踏み切った側面もありそうだ。人気作品を手がける世界的パブリッシャーらの係争は、今後どのように展開するだろうか。

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