『荒野行動』と『PUBG』の著作権侵害をめぐる、法廷闘争が和解に向かう

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今年3月18日、『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)の著作権を巡る法廷闘争を繰り広げていたPUBG Corporation(以下、PUBG Corp)とNetEaseが、米国裁判所あてに当事者合意書を提出していたことが発覚(The McArthur Law Firm PDFリンク)。3月11日付で当事者間での合意に達したことを伝えている。ただし現段階ではまだ申し立ての却下を求めてはおらず、当事者間での合意に基づく対応が4月12日までに完了した場合、申し立ての却下を求める書面を提出するとし、当事者間での合意に基づく対応が完了しなかった場合にはその理由を記した陳述書を提出するとしている。

和解が成立するための条件がどのようなものなのか、当事者間での合意内容については明かされていない。ただ、原告PUBG Corp.による訴訟内容は、『PUBG』のゲームデザインや表現方法、アセットの種類などの類似性に基づく著作権侵害・トレードレス侵害・不正競争防止法違反の訴えであったことから、これから4月12日までの間に、訴訟対象となった『荒野行動(KNIVES OUT)』『Rules of Survival』にて何かしらの変更が適用されるのかもしれない。

PUBG Corpは2018年4月、モバイル向けに配信されているNetEaseのバトルロイヤルゲーム『荒野行動(KNIVES OUT)』『Rules of Survival』について、ビジュアル、サウンド、ゲームプレイの類似性に基づく著作権侵害を主張。著作権で保護されるべき視聴覚コンテンツについて、『PUBG』と『荒野行動』『Rules of Survival』との比較写真を用いて類似点を指摘していた。また『荒野行動』『Rules of Survival』は『PUBG』を意図的に模倣することで、PUBG Corp.が手がけたモバイル版『PUBG』であると消費者に誤解を与え、不当に利益を得たとも訴えている。

一方で被告側のNetEaseは2018年7月、訴訟の棄却を求める書面を裁判所に提出。PUBG Corp.の訴えは、バトルロイヤルジャンルの独占を目指す恥知らずな試みであり、正当な競争を阻害する行為であると反論(関連記事)。ゲームのメカニクスやルール、体力ゲージの表示やロビー画面という概念、「Winner winner chicken dinner (勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!)」といったフレーズに対し著作権を主張することはできないと述べていた。

これに対しPUBG Corp.はさらに、バトルロイヤルジャンルの独占を目的とした訴訟ではなく、『PUBG』におけるオリジナル要素を保護するための訴訟であると再度反論している。またNetEaseが主張する『PUBG』と『荒野行動』『Rules of Survival』の相違点については誤った供述であるとし、それらは訴状提出後にNetEaseが両タイトルのアップデートにより、著作権の侵害を隠すために加えた変更であると述べている。PUBG Corp.の主張としては、NetEaseは模倣点を隠し「相違点」をつくり出すことを目的として、『荒野行動』において計30回以上のアップデートを配信してきたという。

なおPUBG Corp.はEpic Gamesの『フォートナイト』に対しても著作権侵害を主張し、PUBG Corp.が拠点を置く韓国にて訴訟を起こしていたが、こちらは2018年6月に訴えが取り下げられている(関連記事)。訴訟の目的は『PUBG』の知的財産権保護であったとされていたが、取り下げ理由が公表されることなく幕を閉じていった。NetEaseとの一件に関しても、両社間の合意内容は公には明かされないまま和解へと向かっていくのだろう。多くの謎を残したままではあるが、バトルロイヤルならびに『PUBG』を巡る大手各社の法廷闘争は一段落つきそうだ。

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