『CoD: Warzone』共同開発元Raven SoftwareがQAスタッフのレイオフ実施。従業員は不当な解雇を主張

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『Call of Duty: Warzone』などの共同開発元Raven Softwareにて、QA(品質管理)スタッフのレイオフが実施されたようだ。同社従業員がSNS上で報告し、業界関係者を中心に波紋が広がっている。
 

 
Raven Softwareは、『Call of Duty: Warzone』や『Call of Duty: Black Ops Cold War』を共同開発したゲームスタジオ。同社は1997年にActivisionに買収され、現在はActivision Blizzard傘下のスタジオとなっている。今回、スタジオでのレイオフを伝えたのはRaven Softwareにてアソシエイト・コミュニティマネージャーを務めるAustin O’Brien氏だ。同氏は12月4日、自身のTwitterアカウントにてレイオフについて報告。「複数のQAスタッフが、今日のミーティングで突然の解雇を通告された」と伝えている。
 

 
O’Brien氏は、今回レイオフされたスタッフはActivision Blizzardにより昇給を約束されていたとしている。また、スタッフのなかにはRaven Softwareが拠点とするウィスコンシン州・マディソンで働くため、転勤に応じた者もいるそうだ。解雇を告げられた者は、現地時間来年1月28日付けで退職する運びとなるとのこと。O’Brien氏は一連のツイートにて、「待遇改善を提示したにもかかわらず、従業員を解雇するのは不当だ」として怒りを顕にしている。また、「QAチームは素晴らしい成果を上げていた」とコメント。今回のレイオフが、残った従業員の負担の増加および士気低下をもたらすと指摘している。

本件については、海外の各メディアが報道。米国一般紙The Washington Postは従業員にインタビューし、O’Brien氏の報告を裏付ける内容を伝えている。同紙によれば、少なくとも十数名のRaven Software契約社員が解雇されたとのこと。ミーティングは契約社員への解雇もしくはフルタイムへの昇格を伝える目的で、12月3日から8日にかけて実施される見込み。現在のところ、QA担当者の約3分の1が解雇を告げられているそうだ。実際に解雇を告げられた契約社員は、「解雇通告の後に“あなたは何も悪くない“と言われた」と同紙に証言を寄せた。つまり、スタッフのパフォーマンスの問題ではなく、会社都合での解雇が実施されている可能性を示唆している。

今回のレイオフの知らせは、業界関係者を含む多くの人々に波及。スタジオ親会社であるActivision Blizzardへの批判の声も強まっている。Activision Blizzardは今年7月より、一連のセクハラ問題に起因して大規模な抗議運動に直面。一部株主および従業員からCEOの辞任が求められる事態に至っている(関連記事)。そこに傘下スタジオでの不当さの際立つレイオフが伝えられたことで、批判の声が強まった側面もあるだろう。

また、前述のツイートにてO’Brien氏は、「空いているポジションがあれば知らせて欲しい」と伝えていた。この呼びかけに複数の業界関係者が反応。Bungieでデザインディレクターを務めるBrenton Woodrow氏が「QAスタッフを募集している」とリプライでコメント。ほかにもRiot Games、Epic Games、Monolith Productions、ProbablyMonstersなどのゲーム会社従業員たちが、相次いでQAスタッフ募集を案内。レイオフされた人員へのサポートの意思を示している。
 

 
「QA(Quality Assurance・品質保証)」スタッフは、いわゆる“開発者”とは切り分けて考えられる場合も多い。現・元QAスタッフから、給与や待遇の悪さを訴える声があがる例も散見される(関連記事)。一方で綿密なQAは、上質なゲームを届けるために必要不可欠だ。ホリデーシーズン直前の解雇を受けたスタッフたちに、救済の手は差し伸べられるのだろうか。

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