『原神』miHoYoのbilibili告訴を受けてリーク情報提供者が続々引退。一部は反発し活動継続へ


miHoYoの『原神』における事前情報リーク取り締まり本格化が、同作のリークを扱っていたサイトおよび個人に波及しているようだ。SNS上でリーク情報を投じていたユーザーの活動停止が相次ぎ、miHoYoからホスティング停止を求める手続きを取られるサイトも現れた。DualShockersが報じている。

今回の活動停止ラッシュの発端と見られるのは、miHoYoが9月6日に中国の動画プラットフォームbilibiliの運営会社、上海寛娯数碼科技有限公司を告訴した一件だ。訴えを起こした理由について、弁護士の夏林飞氏が中国現地メディア雪球に「bilibiliにおいてリークをおこなったユーザーの情報開示を目的とした訴えの可能性が高く、miHoYoとbilibiliの関係悪化を必ずしも示さない」という見解を寄せている。つまり、あくまでリーカー当事者に迫る情報を得るための、一種形式的な訴訟である可能性が高いのだ(関連記事)。


そして、上述の訴訟はmiHoYoによるリーカー取り締まりの本格化も示唆している。同社の動きを受けて、SNS上でリーク情報を流していたユーザー複数名が、アカウント削除などにいたっている。例として、Twitter上で『原神』リークを扱っていたユーザーabc64氏およびSukuna氏は自身のアカウントを削除。Sukuna氏については、アカウント削除直前に大量のリーク情報を投稿していたようだ。また、「今回の動きを予期して数か月前からリーク情報の投稿をやめていた」と嘯くユーザーも存在する

一方で、今回の一連の騒動を受けて「ストーリーのネタバレは良くない」と意見を述べつつも、今後の活動方針については濁すような投稿をするリーカーも見られる。なお記事執筆現在、国内のリーク情報投稿者については、今後の活動方針に触れるユーザーは筆者の観測範囲内では見られなかった。


また、miHoYoから活動停止にまつわる手続きを直接受けたサイトも存在する。『原神』データベースサイトのHoney Impactだ。同サイトを管理するHoney氏は、『モンスターハンター:ワールド』の装備構築ツール「MHWBuilder」の開発者でもある。Honey Impactおよびドメインを同じくするHoney Hunter Worldは、『原神』および『モンスターハンター : ワールド』に関する網羅的な情報やプレイに役立つツールを提供するサイトとなっている。

しかしながら、同サイトはデータマイニングによって、一般ユーザーによる『原神』通常プレイでは触れられない情報をゲームデータなどから“発掘”して公開していた。また、未公開のベータ版のキャラクター詳細なども公開しており、事前情報をリークしていたのだ。9月10日にはHoney氏は「Honey Impactをホスティングしている事業者が、miHoYoからのサイトホスティング停止などを求める勧告を受けた」と同サイトで報告。miHoYo法務部からISP側に送られた勧告の全文を掲載している。

結果的に、Honey Impactはホスティング事業者との話し合いの末に事業者を変え、本日9月12日にサイトの移転を完了している。Honey氏は今回の勧告に不服なようで、上述の記事や自身のTwitterアカウント上でmiHoYoに対する反論を投稿しており、サイトを含めて活動を継続していく姿勢を見せている。


ゲーム事前情報のリーク行為は、地域の法やリーク情報の入手経路によっては違法行為になりうる。また大前提として、ゲーム企業のマーケティング計画を乱し、倫理にももとる行為であることは言わずもがなだ。

過去には、株式会社ポケモンインターナショナルがリーカーを相手取って訴えを起こし、リーカー側が約1500万円という多額の損害賠償金を支払うことで示談となった例がある(関連記事)。こちらのケースでは米国における連邦営業秘密保護法に基づいた訴訟だった。今後miHoYoがリーカーを相手取ってどのように訴えを進めるのか、また活動し続けるリーカーたちはどのような対応を見せるのか、慎重に見守りたい。