AmazonのMMO RPG『New World』一部プレイヤーから「高額グラボが壊れた」との報告相次ぐ。開発元はゲーム側の問題を否定

 

Amazonのゲーム開発・販売部門Amazon Gamesは7月22日、現在クローズドベータテスト中のMMO RPG『New World』に関して声明を発表した。本作においては、一部のGPU(グラフィックボード)について完全に機能しなくなるという報告が寄せられており、これに対する回答となっている。


問題の不具合の報告は、公式フォーラムRedditなどに複数寄せられている。内容はというと、『New World』のベータテスト版をプレイ中に、GPUの冷却ファンが100%で回り出したのち、音は鳴ったまま画面がブラックアウトし、PCからGPUが認識されなくなるというもの。再起動して復旧できる場合もあれば、そのままGPUが完全に機能しなくなることもあるという。

報告の多くは、EVGA製のGeForce RTX 3090 FTW3 ULTRAを使用していたとされているが、ほかのメーカーのGPUにて同じ問題が発生したという報告もいくつかみられる。いずれにせよ、ハイエンドGPUであるNVIDIA RTX 3090が共通点となっている模様で、そのほかのGPUでは快適にプレイできているとのこと。またあるユーザーは、本作のプレイ中ではなく、メインメニューにいた段階でGPUがダメになったと報告。ほかのゲームではみられないほど、GPUの温度が非常に高かったと振り返る被害者もいる。

EVGA GeForce RTX 3090 FTW3 ULTRAといえば、日本円にして20万円を上回る高額GPU。他社製のRTX 3090 GPUも同等、あるいは30万円近くするものもある。そうした製品が、本作のゲームプレイ中に壊れたと報告するユーザーが続出し、騒ぎになっているわけだ。


こうした不具合報告を受けて、Amazon Gamesは声明を発表した。同社はまず、『New World』のベータテストは、これまでに数十万人が計数百万時間プレイしているとしたうえで、高パフォーマンスなGPUハードウェアに関する問題について報告をいくつか受けているとコメント。ただ、本作はWindows APIに基づいた標準的なDirectXコールを発行しており、ベータテストやここ数か月にわたるアルファテストにおいて、RTX 3090 GPUに広く影響する問題は確認していないとした。

そして、本作のベータテストのプレイには問題はないとしながら、プレイヤーのさらなる安心のために、本日中にパッチを配信することを明らかにした。パッチの内容はというと、メニュー画面表示時にフレームレートの上限を設けるというもの。一部では、グラフィック設定にてフレームレートの上限を設定していても、今回の問題に遭遇したというユーザーがおり、またメニュー画面では異常に高いフレームレートを示していたという報告もあった。とはいえ、これはほかのゲームでもみられることがある挙動であり、GPUを機能不全に陥れた直接の原因かどうかは今のところ不明である。


今回報告された不具合の多くは、先述したようにEVGA製GPUにて発生していた模様。ハードウェアに由来する問題なのか、あるいはAmazon Gamesは否定しているものの、ゲーム側に問題があるのかは現時点でははっきりしない。ただ、EVGAの製品マネジメトディレクターJacob Freeman氏は、同社として本件の調査にあたっていることを認めている。なお、EVGAは海外メディアPCWorldに対し、ゲームプレイ中に生じた不具合に関しては、保証の適用範囲内であるとコメントしている。

『New World』は、PC(Steam)向けに9月1日配信予定。クローズドベータテストは8月3日3時59分まで実施されており、本作を予約購入すれば参加可能だ。ベータテスト開始初日は、同時接続プレイヤー数が約19万人に達するほどの盛況だった(関連記事)。その後今回の問題が広く報じられたが、2日目も同等の数字を叩き出しており、プレイを控えるユーザーは限定的のようだ。とはいえコミュニティ内では、当面はフレームレートの上限を設定しておくよう呼びかけがおこなわれている。