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Koch Mediaより2月10日にリリースされる、SFシューティングRPG『CHORUS(コーラス)』。対応プラットフォームは、PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam・Epic Gamesストア)。 なおPC版とXbox版については、3月中旬のアップデートにて日本語対応するとのこと。広大な宇宙を舞台とする本作では、戦闘のみならず、探索も楽しむことができる。宇宙を自由自在に飛び回り、ハイスピードで高難度な戦闘に挑んでいるうちに、機体と一体となっていく感覚を味わえるだろう。本稿では、そんな『CHORUS』を紹介していく。プレイするうちに見えたのは、宇宙を舞台とした極めて没入感の高い戦闘および探索体験であった。なお、本稿の内容は、Koch Mediaより提供いただいたPlayStation 5版でのプレイ体験をもとに執筆した。
【UPDATE 2022/2/12 19:05】
PC版・Xbox版の日本語対応時期について追記


『CHORUS』は、宇宙を舞台とする3Dシューティングゲーム。超能力をもつ主人公のナラと、意思のある戦闘機フォーセイクンが力を合わせ、「サークル」という闇のカルト集団に立ち向かう物語が描かれる。本作には、マップを自由に探索するパートと、戦闘などのミッションをこなすパートの、大きく分けて2つのパートがある。探索では大宇宙を自由に旅し、戦闘では360度機体を自由に動かし熱いドッグファイトが繰り広げられる。

マップは、ゲームの進行度によってエリアごとに区切られているが、エリア内を自由に移動できる、オープンワールド調のスタイルだ。エリアそれぞれが広く、加えて、宇宙を舞台としていることから、陸上のオープンワールドマップよりも立体的で、自由度も感じられた。とくに大きな特徴としては、上下(陸上マップでいう高低差)を無視して飛び回ることができることだ。地面がない。ゲーム序盤から、移動中に山や海などに行く手を阻まれない喜びと開放感がある。

マップ上には、メインミッション、サブミッション、アイテムなどが配置されており、その他、戦闘などのランダムイベントも随時発生。行 きたい場所があるはずなのに、気づけば人助け。アイテムを求めて隅々まで見回るうちに、デブリにぶつからない操縦テクを身につけている。このように、マップの広いゲームでは寄り道が楽しいものだが、本作はあくまでもメインミッションが主。『CHORUS』の世界は小さな目標が多く存在する一方で、今なにをすべきかはしっかりと追っていける設計だ。


正確なコントロールを求められる戦闘

本作の戦闘では、フォーセイクンの戦闘機らしい基礎的な動作に、主人公ナラの超能力「ライト」を加えた、独特なアクションで戦う。この超能力がアクセントとなって、本作以外ではなかなか味わうことができない操作感となっている。 超能力にはいくつか種類があり、たとえば、ドリフトが可能となる「ドリフト・トランス」、対象の真後ろにワープする「ライト・オブ・ハント」などがある。単なる宇宙ドッグファイトだけでなく、超能力が加わることで、多彩な戦術が楽しむことができるわけだ。単に「敵を狙い撃つ」だけではない、ダイナミックな戦いが繰り広げられる。


戦闘は、ハイスピードで難しい。というのも、フライトコンバットゲームの例に漏れず、昇降や左右のターンをするにしても、なかなか思う方向にいかない。うまく周囲の環境を把握しつつ、先を読みながら操作するのだ。とくに、ゲームを進めるためのメインミッションの戦闘は高難度だ。機体を丁寧にコントロールしつつ、超能力を駆使して、敵の弱点を突く攻撃方法を選ばなければならない。敵の弱点属性は、特定の武器であったり、超能力であったりする。また、ゲームが進むにつれて、武器の種類や超能力が追加され、敵の弱点も複雑化していく。ここが難しさでもあり、面白さでもある。射撃を命中させた時の爽快感は格別だ。

倒し方が複雑化した一例をあげると、まず、ある超能力で敵の動きを制限した後、レーザーでシールドを破壊し、ガトリングでダメージを与えて倒す、といった流れが必要な敵がいる。そういった敵の中でも、周囲の仲間にバリアを張る習性があるタイプは、なるべく早めに倒したいところ。さらに、前述の敵が防衛ミッションに登場する場合、「厄介なので先に倒したいが、防衛対象からあまり離れる訳にもいかない……」などと葛藤しながら戦うこととなる。そのジレンマが、判断力を鈍らせ、死を招く。


とはいえ、本作の戦闘はただ高難度なだけではない。実は、プレイヤーの操作が上手くなるにつれて、ナラの能力も上がっていく。アクションの使用回数の累計が多いほど強くなる「マスタリー」という成長要素が、ひっそりとプレイヤーをサポートしてくれるのだ。「ガトリングで撃破」「回避」「ドリフト中に撃破」など、さまざまなアクションごとに5段階のレベルが設定されており、レベルが上がると、そのアクションに関わる値にボーナスが加算されていく。しかも、レベルを上げるためのアクション使用回数は、死亡してもカウントがリセットされない。つまり、プレイするほど強くなるシステムだ。

正確なコントロールを求められるゲーム性と、同じ動作を繰り返してレベルが上がるシステムは相性が良い。練習しているうちにある程度レベルが上がっていくため、良い意味でプレイ中にあまり意識することがなかった。なお、マスタリーレベルによるボーナスの恩恵を受けても、丁寧に動かなければミッションをこなせない絶妙な調整がなされている。繰り返すが、この厳しさが、挑戦への意欲をかきたてるのだ。

困難な状況を俯瞰して見るためにも、まずはやられないことが肝心だ。そのためには、敵の攻撃をできるだけ回避しなければならない。となると、やはり、正確な機体コントロールが重要になってくる。なお、ゲームの難易度はいつでも下げることができるが、イージーでもゴリ押しで進むことはできない難易度だ。難易度に関わらず、生き延びるためには精細な操作が求められる。コントロールを極めようと挑戦し続けるうちに、フォーセイクンのパイロットとして『CHORUS』の世界に没頭していくのだ。


カスタマイズでお好みの調整に

ナラの戦闘機フォーセイクンは、カスタマイズが可能だ。カスタマイズで調整できる内容は、「機体アップグレード」「武器」「改造」。機体アップグレードをおこなうと、機体のシールドやHPが増加。武器は、ガトリング・レーザー・ミサイルの3種類の武器をそれぞれ設定できる。改造では、最大3つのスロットに、さまざまな効果を持つモジュールを装備可能だ。このカスタマイズ性が、機体の 成長要素にあたる。愛機をいじることで、戦いに強くなっていく。

カスタマイズアイテムのうち、武器と改造モジュールにはレア度が設定されており、レアアイテムにはラベルが付いている。同ラベルを複数揃えて装備すると、セットボーナスが発生。ラベルによって、守備寄り、攻撃寄り、特定の武器の強化、超能力強化など、さまざまな効果が得られる。アイテムの取得方法や性能にランダム性はないようで、基本的にはサブミッションの報酬で得られるアイテムが強力。筆者がプレイした限りでは、どのラベルも比較的近いタイミングで2つは揃い、セットボーナスの1段階目を体験するのに苦労することはなかった。アイテムの偏りによるストレスの心配はいらない。

たとえば、「マムシ」のラベルは、武器か改造スロット内に2つ装備することで、「敵を背後から攻撃したときのダメージが50%増加する」セットボーナスが発動。4つ揃えると、追加効果として「ガトリング銃の冷却性能が大幅に向上し、オーバーヒートすることなくフルオート射撃が可能となる」セットボーナスが発動する。ラ ベル付きアイテムは基礎性能が偏っているものの、セットボーナスがとにかくお得。パラメータ上では判断しづらいものの、格段に戦いやすくなることもある。細かい変化だが、装備によって愛機の見た目も変わる点も、愛着が湧くポイントだ。


ただし、機体アップグレードには、ゲームの進行度によってロックがかかっており、武器・改造モジュールも、進行度に合ったアイテムしか入手できないようになっている。そのため、機体をとことん強化して強敵を楽に倒す、といったプレイはできない。「難しいミッションをいかにクリアするか」を意識したカスタマイズとなるだろう。より快適な操作感を求めるカスタマイズ方針もあれば、プレイヤー自身がカスタマイズ後の機体に合うようプレイスタイルを合わせることも考えられる。どちらにしても、プレイヤーとフォーセイクンの一体感を高めることが攻略の鍵だ。


高難度だが、張りつめっぱなしではない

メインミッションの激しい戦闘に疲れたら、広大な宇宙を探索するのもいいだろう。メインミッションよりも少し難易度が低いサブミッションや、マップを移動中にランダムで発生するイベントなどをこなしていけば、機体の操作に慣れることができる。筆者お気に入りの気晴らし方法は、思いきり高速で飛ぶことだ。亜高速ドライブモードでは、通常ブーストよりも高速で移動できる。ただ飛ぶだけでも楽しいが、隕石の間の狭い空間を通り抜けたり、わざとオブジェクトすれすれで飛んだり、上下逆さまの状態からスタートしたりすればスリル満点だ。

ほかにも、マップ内の主要ポイントを繋ぐレールに沿って飛ぶのも楽しい。レール上には一定区間ごとにブーストゲートが設置されているのだが、ゆるく変化する進行方向さえ気をつけていれば、ブーストがかかり続けたまま駆け抜けることができる。このレールが大好きになってしまった。レール飛行の感覚を『マリオカート』シリーズで例えるなら、ゲートを通過する度にキノコを与えられている感じだ。実際にはゲート間で減速しないようなのだが、通過時のエフェクトと効果音が気持ちを盛り上げてくれる。回り道になったとしてもつい通りたくなる、抜群の遊び要素だ。

また、本作はスペースコンバットゲームながら、ストーリー演出にも力が入れられている。探索や移動中には、ナラの考えていることがささやき声で発せられたり、フォーセイクンとの会話や、レジスタンス仲間との通話が発生したりする。音声は英語のみなれど、フルボイスで感情の乗った声が耳に届く。こういった、ゲームプレイ中に自然に差し込まれるささやきや会話によって、付近の情報、ナラとフォーセイクンの過去などが、少しずつ見えてくるのだ。ストーリーに深みをもたらす情報が、プレイヤーの操作が中断されることなく入ってくるため、操縦しながら語りかけられているような感覚で楽しめる。

また、戦闘ミッションの息抜きとして、探索中に見つけた美しいロケーションでスクリーンショット撮影するのもよいだろう。フォトモードは、ポーズ画面が開けるタイミングであればいつでも起動できる。超能力を使った瞬間の歪みや、ブースト中のエフェクトを狙えば、SFらしい1枚が撮れるかもしれない。筆者は本業が写真家なので、フォトモードはかなり楽しめている。おすすめは、デフォルトでオンになっている上下の黒枠と中央に配置されたロゴを、そのまま使うこと。お気に入りの1枚が、ポスター風にかっこよくなる。


まとめ

『CHORUS』をプレイして、機体の操作を追求するうちに、ゲームの世界にどんどん没入していく。ゲームを進める過程で、操作に慣れるころに新要素が追加され、その要素に慣れるためにさらにコントロールに磨きがかかり、機体との一体感が高まっていくのだ。

また、機体カスタマイズには、ゲーム進行度による制限がかかっている。強敵を楽に倒す術はなく、クリアするためには上達するしかない。ゲームの難易度は、高いまま保たれる。本作は、何度もやられながら、上達していくことを感じられるゲームが好きな方におすすめだ。なお、難易度ハードでも物足りない方向けには、一度やられたら終わりの「パーマデス」機能も用意されている。

硬派な3Dシューティングに、超能力というユニークな要素を加えた操作感。そして、戦闘だけではなく、探索も楽しむことができる幅広さ。広大な宇宙で泳ぐように遊ぶことができるのは、『CHORUS』ならではの魅力だ。


『CHORUS』は、PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC(Steam・Epic Gamesストア)向けに配信中。PC版とXbox版は、3月中旬のアップデートにて日本語に対応する。価格は、Steam版が4380円、各コンソール版(ダウンロード版)が、4378円。また、PlayStation 5/PlayStation 4向けにはパッケージ版も展開され、価格は3980円となっている。

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