『ギルティギア ストライヴ』ラムレザルの海外版声優が交代。自身とキャラの“肌の色”の違いを理由に、別の声優に役を譲る

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アークシステムワークスの新作対戦格闘ゲーム『GUILTY GEAR -STRIVE-(ギルティギア ストライヴ)』について、同社は海外版の声優の発表を5月14日頃からおこなっている。その中で、「ラムレザル=ヴァレンタイン」の担当声優が交代したことが明らかになった。

ラムレザルは、シリーズ前作の最初のバージョンにあたる『GUILTY GEAR Xrd -SIGN-』から登場した、同作の物語に絡む重要なキャラクター。その英語ボイスは、これまで俳優のErin Fitzgerald氏が担当していたが、『GUILTY GEAR -STRIVE-』では俳優のLaura Stalh氏が担当する。この交代はFitzgerald氏の意向もあって実現したそうで、同氏はその理由について、ラムレザルの“肌の色”を挙げている。
 

 
前担当声優のErin Fitzgerald氏は、Laura Stalh氏が本作でのラムレザルのボイスを担当することを伝えるツイートを引用した上で、より適切なキャスティングがおこなえるよう快く身を引いたのだと、今回の声優交代の背景を説明した。

この“より適切なキャスティング”に関してFitzgerald氏は、「このキャラクターは黒人だが、私は黒人ではない(The character is black I am not black)」とコメント。また同氏は、黒人女性俳優により多くの声優の仕事が提供されるよう支援しているとも述べている。人種の違いが声優交代に繋がったようだが、あくまでFitzgerald氏の意向による交代だった模様である。
 

 
特にアメリカの映画業界では、あらゆる人種の役を白人が演じることが多く、キャスティングの人種的多様性の欠如が指摘されることがある。たとえば、2017年公開の「ゴースト・イン・ザ・シェル」では、もともと日本人の設定とされる主人公の草薙素子を、白人のアメリカ人であるスカーレット・ヨハンソン氏が演じたことで、一部で大きな批判の声が上がった。

近年のそうした問題提起を受けて、Erin Fitzgerald氏は白人である自身がラムレザルというキャラクターを演じてきたことについて、また自らが身を置く俳優業界の状況について思うところがあったのかもしれない。そして、Laura Stalh氏が新たな声優に選ばれたことについて、制作会社のPCB Productionsは素晴らしいキャスティングをおこなったと讃えている。
 

 
ラムレザルは、バックヤードと呼ばれる特殊な空間にて生み出された生体兵器である。そうしたルーツのため、彼女を黒人であると表現することが設定上正しいのかどうかは分からないが、褐色の肌をしていることは事実(デフォルトカラーの場合)。一般的な受け止めとしては、少なくとも白人ではないという認識になるだろう。

今回の発表に対しては、Erin Fitzgerald氏の行動を支持・賞賛する意見が多く寄せられる一方で、疑問を呈する人もいる。たとえば、ラムレザルは黒人ではないとするものや、声をあてる仕事においては肌の色など関係なく、実力のみによって選ばれるべきだと主張する意見など。ただFitzgerald氏は、正しいと思ったことをしたまでであり、エゴを捨てるよう努めているのだとした。
 

 
GUILTY GEAR -STRIVE-(ギルティギア ストライヴ)』は、PC(Steam)/PS5/PS4向けに6月11日発売予定。アーケードでの展開も予定されている。ちなみに、日本版のラムレザルのボイスは、引き続き声優の潘めぐみさんが担当する。

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