PlayStation Plus(以下、PS Plus)の目玉コンテンツであるフリープレイ。人気タイトルが無料で提供され、PS Plusに加入している限り無料で楽しめるということで、各月のフリープレイ枠の発表は注目を集める。そして、日本と海外では提供タイトルも異なっていることも特徴。たとえば、2020年5月の日本にフリープレイ提供枠は、『英雄伝説 閃の軌跡I:改』と『X-Morph:Defense』。一方で、欧米圏の今月のフリープレイ提供枠は、『Farming simulator 19』と『Cities Skylines』である。後者の枠の変更を求めて、海外にて怪しげな署名活動が展開されているようだ。
【#PSPlus】2020年5月提供コンテンツ情報!
フリープレイに『英雄伝説 閃の軌跡I:改 -Thors Military Academy 1204-』と『X-Morph:Defense(エックス モーフ:ディフェンス)』が登場!
「NURO 光」優待キャンペーンも好評実施中!
詳しくはこちら⇒ https://t.co/RVMuJgsp3v#PS4 #フリープレイ pic.twitter.com/yMsXTKdzvY— プレイステーション公式 (@PlayStation_jp) April 30, 2020
きっかけとなったのは“自称リーク”である。4月末に、PS Plusの5月枠発表に先んじてResetEraユーザーAdookah氏が、5月分枠として『ダークソウル リマスタード』と『Dying Light』が映ったPS Plusキャンペーン画像を投稿。「よくわからんが友人が送られてきた」とAdookah氏が語る出どころがはっきりしない画像は、「PS Plus 5月のリーク」として一部インターネット上に拡散された(Twisted Voxel)。しかし、前述したように、実際の欧米圏の5月提供枠は『Farming simulator 19』と『Cities Skylines』であった。今回繰り広げられている署名活動は、「リーク通りに、SIEに『ダークソウル リマスタード』と『Dying Light』を提供させよう」というかなりとんでもな活動なのである。
キャンペーン概要だけでなく、内容も支離滅裂。発起人であるPlayStation Gamer氏は、PS Plusの過去最高のラインナップを告げるリークに1000人以上のユーザーが喜んだが、『Farming simulator 19』と「シムシティのパチもの」の発表に落胆させられたとコメント。SIE社長のJim Ryan氏に署名の声を届けよう、と語っている。PS Plusフリープレイにて直前にラインナップが変更される例は存在し、たとえば2019年7月のフリープレイ提供枠には『ウイニングイレブン 2019』が事前発表されていたが、配信前日に『Detroit: Become Human』へと変更、同作が配信された(関連記事)。今回のPS Plus 5月枠の提供は5月7日から配信ということで、その前に変更しろ、と要求しているのである。
Change.orgの署名は数こそ2万人以上を集めているが、疑わしい部分があまりに多い。これだけ集まっているにもかかわらず、支持層の出どころが不明なのだ。このキャンペーンを取り上げている海外メディアPush Squareのコメント欄は「恥ずべき署名活動」という批判的な声で染まっており、Redditの当該スレッドも似たような意見が多い。Twitterなどでもまったく話題になっていない。2万5000人に及ぶほど大規模に賛同を集めているにもかかわらず、どこの誰が支持しているのか全く見えない。Change.orgのキャンペーンのコメント欄にも、署名内容に批判的な声が寄せられている。
発起人のPlayStation Gamer氏も身元不明で、Twitterアカウントのフォロー/フォロワー数もゼロ。「FamingSucks」という失礼な名前のキャンペーンを小規模におこなっているのみだ。身元も不明で、内容もめちゃくちゃ。それでも、署名の数が集まりつつあることから、Game Rantは「多くのゲーマーがPS Plusの5月枠に不満であり、変更を求める署名には多数の人々が賛同している」というヘッドラインをつけている。
@JimRyanSIE #FamingSucks.
Millions of PS Plis subscribers are in lockdown and all we are offered is CORN?. What happened to the 'Play At Home Initiative'. ?We was all pumped for Dark Souls and Dying light. ? Where's the real games at?.https://t.co/HNGCU4ywZs pic.twitter.com/1UhHsQxcxp
— Playstation Gamer (@Playsta51671288) April 30, 2020
もちろん『ダークソウル リマスタード』と『Dying Light』が提供されれば喜ぶユーザーが多いかと思われるが、虚偽のリークを根拠に枠変更を求めるのは暴論。署名活動自体も工作じみており、説得力はない。Change.orgのような抗議にも使えるプラットフォームは、「不満の声」を定量的に可視化できるということで、ソースとして使われやすいが、今回のように“火のなさそうなところから煙を生む”ツールとして用いられる可能性もある。オンライン署名活動については、賛同者の数だけでなく、その内容を見ておく必要がありそうだ。また、PS Plusの枠は、打診や議論を重ね、さまざまな観点から検討され決定されている。当月の枠が気に入らなかったとしても、変更を求めて署名活動をおこなうことはやめておこう。