「PS Plusフリプタイトルを『ダークソウル』に変更して」という署名活動が海外で展開され2万人以上が賛同。しかし怪しさ限りなし

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PlayStation Plus(以下、PS Plus)の目玉コンテンツであるフリープレイ。人気タイトルが無料で提供され、PS Plusに加入している限り無料で楽しめるということで、各月のフリープレイ枠の発表は注目を集める。そして、日本と海外では提供タイトルも異なっていることも特徴。たとえば、2020年5月の日本にフリープレイ提供枠は、『英雄伝説 閃の軌跡I:改』と『X-Morph:Defense』。一方で、欧米圏の今月のフリープレイ提供枠は、『Farming simulator 19』と『Cities Skylines』である。後者の枠の変更を求めて、海外にて怪しげな署名活動が展開されているようだ。

きっかけとなったのは“自称リーク”である。4月末に、PS Plusの5月枠発表に先んじてResetEraユーザーAdookah氏が、5月分枠として『ダークソウル リマスタード』と『Dying Light』が映ったPS Plusキャンペーン画像を投稿。「よくわからんが友人が送られてきた」とAdookah氏が語る出どころがはっきりしない画像は、「PS Plus 5月のリーク」として一部インターネット上に拡散された(Twisted Voxel)。しかし、前述したように、実際の欧米圏の5月提供枠は『Farming simulator 19』と『Cities Skylines』であった。今回繰り広げられている署名活動は、「リーク通りに、SIEに『ダークソウル リマスタード』と『Dying Light』を提供させよう」というかなりとんでもな活動なのである。

フェイクであったリーク画像

キャンペーン概要だけでなく、内容も支離滅裂。発起人であるPlayStation Gamer氏は、PS Plusの過去最高のラインナップを告げるリークに1000人以上のユーザーが喜んだが、『Farming simulator 19』と「シムシティのパチもの」の発表に落胆させられたとコメント。SIE社長のJim Ryan氏に署名の声を届けよう、と語っている。PS Plusフリープレイにて直前にラインナップが変更される例は存在し、たとえば2019年7月のフリープレイ提供枠には『ウイニングイレブン 2019』が事前発表されていたが、配信前日に『Detroit: Become Human』へと変更、同作が配信された(関連記事)。今回のPS Plus 5月枠の提供は5月7日から配信ということで、その前に変更しろ、と要求しているのである。

Change.orgの署名は数こそ2万人以上を集めているが、疑わしい部分があまりに多い。これだけ集まっているにもかかわらず、支持層の出どころが不明なのだ。このキャンペーンを取り上げている海外メディアPush Squareのコメント欄は「恥ずべき署名活動」という批判的な声で染まっており、Redditの当該スレッドも似たような意見が多い。Twitterなどでもまったく話題になっていない。2万5000人に及ぶほど大規模に賛同を集めているにもかかわらず、どこの誰が支持しているのか全く見えない。Change.orgのキャンペーンのコメント欄にも、署名内容に批判的な声が寄せられている。

発起人のPlayStation Gamer氏も身元不明で、Twitterアカウントのフォロー/フォロワー数もゼロ。「FamingSucks」という失礼な名前のキャンペーンを小規模におこなっているのみだ。身元も不明で、内容もめちゃくちゃ。それでも、署名の数が集まりつつあることから、Game Rantは「多くのゲーマーがPS Plusの5月枠に不満であり、変更を求める署名には多数の人々が賛同している」というヘッドラインをつけている。

もちろん『ダークソウル リマスタード』と『Dying Light』が提供されれば喜ぶユーザーが多いかと思われるが、虚偽のリークを根拠に枠変更を求めるのは暴論。署名活動自体も工作じみており、説得力はない。Change.orgのような抗議にも使えるプラットフォームは、「不満の声」を定量的に可視化できるということで、ソースとして使われやすいが、今回のように“火のなさそうなところから煙を生む”ツールとして用いられる可能性もある。オンライン署名活動については、賛同者の数だけでなく、その内容を見ておく必要がありそうだ。また、PS Plusの枠は、打診や議論を重ね、さまざまな観点から検討され決定されている。当月の枠が気に入らなかったとしても、変更を求めて署名活動をおこなうことはやめておこう。

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