カトリック教皇として世界を導く『Pope Simulator』発表。国治めの武器は軍事でも経済でもなく信仰パワー

 

ポーランドのパブリッシャー・Ultimate Games S.A.は4月16日、教皇として世界を導くシミュレーター『Pope Simulator』を発表した。対応機種はWindowsで、Steamにて配信が予定されている。リリース日は未定だ。リーダーとなって巨大な国や軍隊を率いるシミュレーションゲームは数多くある。その場合、武器となるのは強力な軍事力、あるいは圧倒的な経済力だ。しかし現実というシミュレーション世界では、もはや銃や財といった力で世界を治めることは不可能と結論づけられつつある。それに対抗して生まれてきたのが「ソフト・パワー」という考え方だ。すなわち物理的な強制力ではなく、文化や政治的価値観で共感を得、信頼と発言力を手に入れる力。そして今、世界でもっともソフト・パワーを使いこなして戦略に挑むシミュレーションが開発中だ。しなやかにしてしたたかな指導者、プレイヤーが演じるのはカトリック教会の長・教皇その人。

本作は「コンクラーベ」、すなわち教皇選挙の日からゲームが始まる。記念すべきこの日、枢機卿団がプレイヤーを新たなる教皇に選出するのだ。カトリックの長になってまずはじめにしなくてはならないことがある。歴代の教皇がそうしてきたように、自身の固有の「紋章」を決めるのだ。プレイヤーはヨハネ・パウロ1世やフランシスコ教皇が実際に用いた「盾の形」や「シンボル」などを組み合わせて自身の紋章を決めることになる。これは単なるフレーバーではなく、任期中における自らの能力値に影響を及ぼすようだ。変動するパラメーターとしては「説得力」「知識」「犠牲心」の3つがあり、選んだ要素によって強化される能力が異なる模様。そして教皇としての仕事は多岐にわたる。巡礼の旅を行い、世界平和について主張する。ときには争いをとりなし、またはヴァチカンの影響力を振舞う。

教皇としてのプレイングスタイルは、いわゆるRPG的な「魔法使い」に似ているかもしれない。教皇はゲームを通じて特定のスキルを獲得していくが、それらを使用するには「信仰」と呼ばれるマジックポイントのような消費エネルギーが必要となる。信仰の力は群衆に与えることが可能だが、そのリソース管理には常に注意を払わなくてはいけない。あまりに祝福を分け与えすぎると、自らの力を弱めることにもつながってしまうのだ。

PC Gamer誌が報じるところによれば、本作を送るUltimate Gamesの重要な出資企業には多くのシミュレーターゲームで知られるPlayWay SAが2016年から名を連ねているとのこと。PlayWay SAといえば『House Flipper』や『Cooking Simulator』といった人気作品を輩出する一方、奇妙なタイトルをいくつか抱えていることでも有名。2019年の暮れに発表された、キリストなりきりオープンワールド『I Am Jesus Christ』の名前を挙げれば膝を打つ人がいるだろう(関連記事)。こちらの作品でも「メーターが貯まれば奇跡を起こせる」など、『Pope Simulator』と通ずる遺伝子を感じなくもない。

ただ『Pope Simulator』は設定が異色というだけではなく、「軍事・経済に頼らないシミュレーションゲーム」として新しい試みを見せてくれるゲームになりそうだ。「教皇は軍事的・経済的な力をその背後にもちませんが、そうではない手段で世界に影響を及ぼすことができます。たとえば1980年代、ポーランドで共産主義が倒れたことを考えてもそれは明らかです」と語るのはUltimate GamesのCEO、Mateusz Zawadzki氏。いわゆるソフト・パワーを用いることで、世界の運命に影響を与え、国際政治に干渉する。その可能性が本作のアイデアになっているとのこと。もちろんすべての変化は、プレイヤーが選びとるビジョンに委ねられている。

『Pope Simulator』はSteamにて配信予定で、発売日は今のところ未定。『I Am Jesus Christ』のリリース予定もComing Soonとなっているが、こちらは発表以来ずっとこの表記である。