オーストラリア森林火災支援のため、ゲーム業界の著名企業らが動く。『CoD』のActivision、『Destiny 2』のBungieなどが寄付活動

『Destiny 2』

現地の生態系や人々に甚大な影響を与えているオーストラリアの森林火災。既に1500万エーカー以上の土地が焼かれ、推定5億~10億もの動物が犠牲になったと報じられている。昨年9月より被害が続いている大規模な自然災害には、さまざまな国・業界から支援の手が差し伸べられており、2020年に入ってからはゲーム業界の企業からも援助に向けた動きが出始めている。

まず現地にもスタジオを構えているUbisoftは、オーストラリア赤十字の災害援助・復旧基金(Australian Red Cross Disaster Relief and Recovery Fund)に3万オーストラリアドル(約228万円)寄付したとTwitter上で報告。ユーザーからの支援を促進するために、寄付用のゲーム内アイテムを販売してほしいとのリクエストがあったものの、それを用意するには長い開発時間を要してしまう。事態は急を要するとの判断により、現地のUbisoft Australiaより直接寄付がなされた。現地の援助活動をサポートしたいユーザーに対しては、上述したオーストラリア赤十字やWWF(世界自然保護基金)など、支援団体に直接寄付するよう呼びかけた。

同じくゲーム業界の大手企業であるActivisionは、同社の人気タイトル『Call of Duty: Modern Warfare』のゲーム内にて、「Outback Relief」パックというゲーム内アイテムの販売を開始。複数のゲーム内アイテムを同梱したもので、同パックの売り上げはオーストラリア森林火災の援助活動の援護のために全額寄付されるという(販売期間は1月31日まで)。

https://twitter.com/CallofDutyJP/status/1216487543191035904

また『Destiny 2』を開発するゲームスタジオBungieは、限定Tシャツの販売を通じた寄付活動に向けて準備を進めている(公式ブログ)。購入者はゲーム内アイテム(限定エンブレム)も入手可能。限定Tシャツの販売から生まれる利益の半分は、オーストラリアの中でも被害の大きいニューサウスエールズ州の地方消防署(NSW Rural Fire Service)に寄付。残りの半分は、野生動物保護団体であるWIRESへの寄付金にあてられる。現在Tシャツのデザインを制作中であり、1月16日より予約受付を開始するとのことだ。

Bungieは過去にも、大規模な自然災害発生時にこうした支援活動を実施してきた。米国のハリケーン・カトリーナやハイチの大地震、そして日本の東北地方太平洋沖地震時の寄付活動まで。なお『Destiny』シリーズにおいてプレイヤーは、「ガーディアン」と呼ばれる兵士としてゲームをプレイすることになる。世界各国のガーディアンたちは、現実世界においても、その名に恥じることのない貢献をしてきたのだろう。

『The Universim』

支援に向けて動いているのは、大手ゲーム企業だけではない。神の視点で人類を導いていくシミュレーションゲーム『The Universim』を開発する米国の独立スタジオCrytivoは「Mission Koala」と題し、公式ストアを通じて来たる2か月間のうちに発生する純収益の100%、ゲーム配信プラットフォームSteamを通じて来たる2か月のうちに発生する収益の30%を現地の支援団体に寄付すると発表している。また、絶妙な勘違いジャパンぶりが光るパーティーゲーム『Nippon Marathon』の開発元Onion Soup Interactiveも、1月7日~1月14日にかけてSteamを通じて発生した『Nippon Marathon』の利益を、上述したWIRESに全額寄付するとアナウンスしていた。

ゲーム本体の売り上げ、ゲーム内での仮想アイテム販売、実物アイテム。方法は三者三様だが、ここ1週間のうちに企業規模の大小問わず、ゲーム業界内でもオーストラリア支援に向けた動きが活発化してきている。もちろんゲーム会社を通さなくても、個人として直接寄付できる。だが、もともと関心が薄かった人々を含め、より多くの層にリーチできるほか、ゲーマーとして支援しやすい環境を作るという意味でも、オーストラリア森林火災を巡る現状にとって意義のある運動と言えるだろう。