大規模なゲームマラソンイベント「AGDQ2020」が本日深夜より開始。3億円以上の寄付金を集める人気チャリティーイベント

 

昨年末に秋葉原にて「RTA in Japan」が開催され、Twitchでの配信は視聴者が2万人を超えることもあるなど、大きな話題となったことは記憶に新しい。今度はその「RTA in Japan」の元となった大規模スピードランマラソンイベントである「Awesome Games Done Quick 2020」(以下、AGDQ2020)がアメリカ、フロリダ州にて開催される。イベントは日本時間1月6日(月)の1時30分(AM)開始となっており、ノンストップで1月12日(日)の14時30分まで続く予定だ。

AGDQ2020の形式はRTA in Japanとほぼ同じで、さまざまなゲームのスピードランが解説つきでリレーされていく。RTA in Japanと大きく違う点は、AGDQがチャリティーイベントだということだ。AGDQ期間中はPayPalなどを通じて寄付が受け付けられており、コメント付きの寄付の場合はスピードランの解説が途切れているタイミングや、ゲームの合間の準備時間に読み上げられる。また、インセンティブと呼ばれるものが大量に用意されており、スピードランをする際のキャラ名を何にするかなどといったアンケートは、それぞれの選択肢に向けて投じられた寄付額によって決定される。特定のタイミングまでの寄付額が一定額を満たした時にスピードランの一部が変更されたり(特定のカットシーンをスキップせずに見せるなど)、カテゴリそのものが変更されたり、ボーナスゲームとして新しいゲームがスケジュールに追加されたりといったのもある。2019年のSGDQ(夏に行われるAGDQの姉妹イベント)では寄付額条件を満たしたため、『スーパードンキーコング2』のカテゴリが本来のAny%からAll Stagesに変更されたりなどした。このように、AGDQには寄付のきっかけとなるような仕組みや工夫が多く準備されている。SGDQ2019の総寄付額はなんと300万ドル(およそ3.2億円)にものぼり、その全額が国境なき医師団へと送付されている。

AGDQ2020のスケジュールはこちらにて確認することができる。1週間に渡る長丁場であるため、気になるゲームは先にスケジュールをチェックしておくのが良いだろう。もちろん配信アーカイブは全て残るので、見逃した場合やどうしても見られない時間帯の場合でも安心だ。カテゴリやゲームの説明などは英文だがこちらから確認することができる。この表にはAGDQ2020に申請された全ゲーム(とそのカテゴリの説明)が掲載されているのだが、Accepted(承認)されたゲームの総予定時間が259時間なのに対してDeclined(却下)されたゲームの総予定時間は2516時間となっている。10倍近い倍率だということだ。また、ゲームの総本数ではなくて時間で表示されていることから、予定時間を基準に選定されており短いゲームほど通りやすく長いゲームほど通りにくいということがわかる。1週間ノンストップでも全く時間が足りないほどの申請があるイベントなのだ。

そんな高倍率の中、3時間を超える枠を確保したタイトルは『Grand Theft Auto: San Andreas』、FC/SFCの『ゼルダの伝説』シリーズリレー、『ファイナルファンタジーVIII』、『ゼルダの伝説 時のオカリナ』の100%、『ポケットモンスターX・Y』、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のRandomizerの6つとなっている。RPG専門のスピードランイベントである「RPG Limit Break」が存在する関係もあり、長時間のRPGはAGDQ/SGDQでは基本的に採用されにくい傾向があるが、毎回1タイトルくらいは6時間超えの大作RPGが通っている印象がある。今回は『ファイナルファンタジーVIII』がそれにあたるだろう。AGDQの『ファイナルファンタジーIX』では走者のLuzbelheim氏がゲーム終盤の非常に長いメニュー操作を目隠しでやったことが話題になったが、今回の『ファイナルファンタジーVIII』でも目隠しメニュー操作を披露してくれるようだ。

※ AGDQ2019でのLuzbelheim氏の目隠しメニュー操作

『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』のカテゴリはRandomizer、Open Mode Crowd Control Difficultyとなっているが、これはかなり先進的な内容となっている。まず、Randomizerというのはゲーム内の重要アイテムの位置がシャッフルされるROMハックの一種で、海外のスピードランナーから非常に人気が高いタイトルであり毎週のようにレースが開催されていたりする。今回はそれに加えてCrowd Controlという要素が追加されている。このCrowd Control、一時期流行った「Twitch Plays 〇〇」シリーズのように、視聴者がゲーム内容に影響を及ぼすことができるのだ。AGDQ2020のTwitch配信に準備されたCrowd Controlプラグインを通じて、ビッツ経由でスピードランナーにさまざまなデバフを与えたり、操作を反転させたり、持ち物を操作したりすることが可能。チャリティーイベントであり、ショーでもあるAGDQの性質を利用した非常に面白い試みであり、注目のタイトルだ。

AGDQは英語のイベントではあるが、許諾を受けての日本語でのミラー配信も用意されている。ボランティアや解説者などは現在も応募中のようなので、気になる方はJapaneseRestreamのTwitterアカウントをチェックしよう。RTA in Japanではなかったお気に入りのタイトルも、AGDQにはあるかもしれない。RTA in Japanを少しでも面白いと感じたのならば、本家のAGDQもチェックしてみてはいかがだろうか。
【UPDATE 2020/1/5 23:30】
日本語のミラー配信が許諾を受けたものであることを追記。またLuzbelheim氏の目隠しプレイがAGDQ2019のものであると修正