Koch MediaとTripwire Interactive は6月9日、中世を舞台としたマルチプレイヤーの一人称/三人称視点スラッシャー『Chivalry 2』を発売した。対応プラットフォームはPlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X|S/PC(Epic Gamesストア)となっている。PC・コンソール間のクロスプラットフォームプレイにも対応。また6月24日には、PS4/PS5/Xbox Series X|S向けの国内パッケージ版が発売予定となっている。本稿ではPC版のベータテストおよび、Koch Mediaより提供いただいたPlayStation 4版の製品をもとにゲーム内容を紹介する。 
 

 
『Chivalry 2』はカナダの開発会社Torn Banner Studiosが開発する、一人称/三人称視点のマルチプレイスラッシャーだ。中世の架空の国アガサは内戦状態となっており、アガサ騎士団と反乱軍のメイソン兵団が戦いを繰り広げている。プレイヤーはそうした戦乱の時代を体験し、中世の騎士として戦争に参加するのだ。ゲームは最大64人を収容するサーバーに対応しており、大規模な戦場を体験できる。斬られた四肢や首が飛び散る、ゴアや流血などの過激な描写も特徴だ。 
 

64人が入り乱れる大規模な攻城戦 

本作のメインのモードは64人が参加するマルチプレイヤー対戦だ。中世を舞台にした映画さながらの攻城戦を体験できる。メイソン兵団とアガサ騎士団の二陣営が、広大な戦場でぶつかり合うのだ。64人対戦のルールとしては、拠点制圧などを目標とする「チームオブジェクティブ」と、キル数を競う「チームデスマッチ」が用意されている。 

メニュー画面から64人対戦を選べば、マッチングが開始。PC版ではサーバーブラウザーも用意されている。PING値やサーバー内の人数でフィルターをかけて検索することが可能。東京サーバーも存在しているため、安定したPINGのサーバーで快適に遊べるはずだ。 
 

 

 
チームオブジェクティブでは、おもに攻城戦がテーマとなっていることが多い。マッチはいくつかのフェーズで区切られていて、フェーズごとにそれぞれルールが異なる。たとえばポイントのキャプチャをしたり、ペイロードを進めたり、目標を破壊したり、目標を敵陣から奪ったり。ゲーム進行に合わせて、フェーズのルールは目まぐるしく変わってゆく。攻撃側のチームは各フェーズをクリアして、最後のフェーズまでクリアするのが目標だ。それぞれのフェーズのルールは複雑ではないものの、最初は若干戸惑うかもしれない。 

たとえばチームオブジェクティブのひとつ「ダークフォレストの戦い」は、メイソン兵団がアガサ騎士団の城へと侵攻していく設定。先攻となるメイソン兵団は、最初のフェーズで木製バリケードを破壊。次は攻城兵器の隊列を護衛しながら、道を進んでいく。後半はカタパルトで城門を破壊するなど、中世らしいギミックを活かしたルール設定がされている。そして最後は城内の君主を殺すことが目標だ。クライマックスでは64人近いプレイヤーが一か所に集まり、1人の君主をめぐって戦う。試合終盤はカオスな戦場が生まれ、特に熱い展開になることが多かった。 
 

 

 
また別のチームオブジェクティブ「コックスウェルの虐殺」では、攻撃側のメイソン兵団は村人を殺すことでポイントを獲得できる。さらに焚火から燃える木をとって民家を燃やしたり、金銀財宝を敵陣から奪ったりするなど、残虐非道な目標設定も中世ならではであった。ほかのマップでも攻城塔や攻城斜面、破城槌、トレビュシェットなど、中世の攻城戦兵器が登場する。1試合がかなり長いのもチームオブジェクティブの特徴で、最後のフェーズまでプレイすると20分以上かかる。 

また、ほかのモードとして、やや規模の小さい40人対戦のチームオブジェクティブ、参加者全員が敵の「フリーフォーオール」、そして「デュエル」がある。デュエルは、参加者全員が敵という点では、ルールはフリーフォーオールとほぼ同じ。ただしカオスな乱戦が巻き起こるフリーフォーオールと違い、デュエルでは決闘中の敵に横やりを入れないよう、礼儀正しい振る舞いが求められるという違いがある。またデュエルはサーバーブラウザーからのみ参加可能であるようだ。 

本作の楽しみ方は、シビアな対戦だけではない。勝利を目指しつつ、ロールプレイに興じたり小ネタを探したりするのも本作の楽しみ方だ。たとえば試合中には、喊声をあげることができる。中世の兵士になりきって声を出すと、突撃時に味方の士気を高められるかもしれない。ときには落ちている野菜を拾い食いして体力を回復したり、鶏や敵兵の首を敵に投げつけたりすることもでき、笑わせてくれる要素も多い。マップに配置されている燭台や鎌を拾って武器にしたり、カタパルトで人間を発射したりと、シュールな要素も存在する。残虐で殺伐とした中世世界ながら、ところどころに散りばめられたユーモアも本作の見どころだ。 
 

 

 
4つの兵科とそれぞれ3つのサブクラス 

『Chivalry 2』の兵科は大きく分けて4種類存在する。4種類はさらにそれぞれ3つのサブクラスに分かれ、合計12種類のサブクラスをプレイ可能だ。4種類の兵科は「射手」「前衛」「歩兵」「騎士」に分かれる。各クラスを使い込むと、クラスのレベルが上昇してサブクラスが開放されてゆく仕組みだ。兵科ごとにそれぞれ使える武器やアイテムが異なるため、プレイスタイルに合わせて選択しよう。騎士>歩兵>前衛>射手の順番に体力が多い。 
 

 

射手は離れた場所から弓やクロスボウで敵を撃つ兵科で、FPSやTPSらしい操作感。とはいえ矢はそこそこ弾速が遅い。弾道の落下や、偏差を意識して敵を狙う必要がある。弓は威力が低く、なかなか一撃でキルできない。弱っている兵士を優先的に狙うなど、慣れと工夫が必要な武器だ。ちなみに本作では、一試合につき参加できる射手の数に制限が設けられている。枠が埋まっているとそれ以上のプレイヤーは射手になれない仕組みだ。近接戦闘がメインのゲームで、射手の数が多いとバランスが壊れそうだが、その点は心配いらないというわけである。 

ほかの3つの兵科はすべて近接武器メインで戦う兵科となっている。前衛は、体力が低いものの攻撃力に特化したクラスだ。たとえばサブクラスであるデバステイターは、両手武器を振り回すことができ、圧倒的な攻撃力を誇っている。また特殊アイテムに油壺をもっており、敵に投げつけて周囲を燃やすことができるなど、攻撃的な性能だ。 

歩兵は体力と攻撃力のバランスがよく、さらに特殊アイテムとして、包帯キットを持っている。特殊アイテムは一定時間ごとに使える仕様で、包帯キットはとくに回転率が良い。本作では通常、回復アイテムはひとつしか持てず、また自然回復も非常に遅い。回復方法に乏しい本作において、別枠で確保できる回復アイテムとして包帯キットは重宝するはず。ちなみにサブクラスとしては、間合いの外から槍でチクチク攻撃できるポールマンが個人的には強力な印象だ。 

騎士はとにかくHPが多くて、硬いクラスだ。初心者のうちはこの騎士を使うと戦場で長く生き残れるかもしれない。サブクラスのガーディアンはさらに盾も持っているので、生存率が高め。前線を維持したり、ポイントをキャプチャしたりするとき、粘り強さが輝くだろう。 

こうして全クラスを比較すると、体力の多い騎士や歩兵が一見有利に思われる。しかし、実は彼らは鈍器に弱い。本作では斧やメイスなどの鈍器に「チョップ」と「なまくら」という属性が設定されているのだ。本来、剣に比べて鈍器はダメージは低め。しかし「チョップ」と「なまくら」の属性は、騎士と歩兵に対して追加ダメージを入れることができる属性なのだ。そのため鈍器を使えば、体力の多い騎士や歩兵にも有効打を与えることができる。敵の騎士や歩兵がやっかいに感じたら、鈍器に持ち替えて鎧の上から殴るといいだろう。 
 

 
『Chivalry 2』は一人称/三人称視点マルチプレイスラッシャーという、独特なジャンルのゲーム。しかし初心者お断り感はなく、カジュアルでプレイしやすいゲームに仕上がっている。間口は広いものの、その先で剣術を極めていくことも可能だろう。PC・コンソールでのクロスプレイがあるため、スムーズなマッチングも期待できる。また流血表現は、設定で軽減することが可能だ。 

『Chivalry 2』は、PC(Epic Gamesストア)/PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One向けに発売中。価格はPC版がゲーム単体で4180円、ゲーム内特典付きのSpecial Editionが5180円。PS5/PS4版のStandard Editionが5478円、Special Editionが7150円。Xbox Series X|S/Xbox One版はゲーム単体が4650円、Special Editionが5850円となっている。PS5/PS4/Xbox Series X|Sについては、6月24日に国内パッケージ版が発売される予定だ。