Nintendo Switch向け恋愛ADV『サマースウィートハート』公式Twitterアカウントは10月21日、同作において日本ファルコムのBGMを無断で使用していたことを認め、謝罪をおこなった。開発スタッフ一同が日本ファルコムの楽曲のファンであり、著作権に対する認識に誤りがあったため、今回のような一件が起こってしまったという。該当楽曲は早急にゲーム内から削除する予定であり、日本ファルコムからの連絡を待つとのこと。
謝罪文
この度は弊社が『サマースウィートハート』にてfalcom社様の曲を無断で使用してしまい、誠に申し訳ございませんでした。@nihonfalcom @Baust528 pic.twitter.com/1IvgZX8Aw0
— サマースウィートハート (@fengyunhuyu) October 21, 2019
『サマースウィートハート』は、Nintendo Switch向けに販売されている実写型の恋愛アドベンチャーゲーム。価格は2480円。10人の女性キャラが登場するほか、豪華声優が吹き替えを担当。ゲームの中で毎日スケジュールを組み立て、女の子を誘ってデートしたり、買い物や仕事、勉強などで遊んだりしながら女の子と出会っていく。マルチエンディングシステムが採用されており、女の子達との物語は分岐するという仕組み。セクシャルなCGも多数用意されており、「CERO D」相応の際どい演出も存在する、ちょっぴりピンクな作品だ。
今月10月17日に発売されたばかりの同作であるが、この週末に海外で曲に関する疑惑で糾弾されていた。というのも、TwitterユーザーBrad氏が、『サマースウィートハート』内で『イース・オリジン』『英雄伝説 零の軌跡』のBGMが無断使用されていると指摘。この情報は早速コミュニティ内で共有されていた。実際にBGMを聞き比べてみると、使われている楽曲がそっくりそのままであることがわかる。こうした反応を受けて、開発元は今回の声明を出したと思われる。
THIS IS FROM YS ORIGIN #NintendoSwitch pic.twitter.com/xcyb7v2wKR
— ? Brad ? Bravely Default II ? (@Baust528) October 19, 2019
The original track for reference: https://t.co/eWOyTSwaIZ
— ? Brad ? Bravely Default II ? (@Baust528) October 19, 2019
自社ゲームにて他メーカーの音楽を使うというのは、一般的に考えられないことだろう。ただし、この話には若干複雑な背景がある。というのも、日本ファルコムは2009年に「ファルコム音楽フリー宣言」を発表していた。ファルコム音楽フリー宣言とは、すべての楽曲を自由に利用することが可能であるとする宣言。コピーライトを表記するならば、バンドのライブやラジオ、テレビCMやイベントBGMなど多岐にわたる局面での使用が自由に認められている。ただし、すべてに使用できるわけではない。楽曲利用規約には、禁止項目が定められており、楽曲の複製や販売などと並んで、「有償又は無償を問わず、ゲームコンテンツに利用する行為。」と記載されている。
日本ファルコムの楽曲は基本的には自由に使用できるが、ゲームコンテンツに利用することは一切禁じられているわけだ。開発元の謝罪の中にある「著作権に対する認識に誤りがあった」という一文は、規約を読まず使用したことを示唆している。経緯はどのような形にせよ、無断使用していた事実は間違いないだろう。
似たような例としては、ブラジルのインディースタジオRetro Reactorが開発したNintendo Switch向け『One Strike一騎打ち』においては、『魍魎戦記MADARA』の楽曲にそっくりなものを使用し、結果としてパブリッシャーのQubicGamesは、しばらくの間同作の販売をニンテンドーeショップから取り下げ(関連記事)。差し替え後に販売を再開する判断を下していた。『サマースウィートハート』は、販売を続けながら楽曲の差し替えを進めていくようだ。
なお無断使用を告発したユーザーBrad氏は、『サマースウィートハート』がSteamにて『女神驾到丨Happy together』として販売されており、こちらでも当該のBGMが使われていると指摘している。やはりNintendo Switch版と同様に、こちらのSteam版も楽曲に関する措置がおこなわれるのだろうか。
※らあゆちゃんねるによるプレイ動画