銃乱射事件とゲームの紐付けに怒れるゲーマーたちが、“ネットミーム”を通じて抗議。ジョーク画像で憤りを示す


今年8月3日にアメリカ・テキサス州エルパソにて発生した銃乱射事件や、この数日のうちに発生した複数の銃撃事件を受け、ドナルド・トランプ大統領は「社会における暴力を賛美することはやめなければならない。これには、おぞましいビデオゲームも含まれる」とコメント。また共和党議員らも、「ゲームが若者を非人間化させる」「ゲームは若者に人の殺し方を教えている」といったコメントを発している(関連記事)。

こうした発言を受けてアメリカの大手メディアでは、ゲームは非難されるべき存在なのかという観点で討論がおこなわれるなど、ゲームと暴力との因果関係についてにわかに注目が集まっている。そうした状況のなか、ゲーマーの間ではとあるインターネットミームの投稿が活発になっているようだ。海外メディアIGNなどが報じている。

https://twitter.com/zexionreplica/status/1158587330061451265

https://twitter.com/Kurisuchaneko/status/1158133266920202241

上のツイートで見られるのが、そのネットミーム「Woman Yelling at a Cat」である。左の画像は、2011年に放送されたリアリティショー「The Real Housewives of Beverly Hills」での1シーンで、涙目で怒りを訴える女性を、もうひとりがなだめている様子。そして右側の画像は、Tumblrに投稿されたSmudgeという名の猫である。ディナーのテーブルにつくも、嫌いな野菜サラダを出されて困惑している(かのような)表情を収めている。これらの画像とコメントを組み合わせることで、猫に対して何かを猛烈に訴え、一方の猫は困惑交じりにさらりと受け流すという、シュールで笑える構図となっているわけだ。

ゲーマーのツイートでは、「Video games cause violence!(ゲームは暴力を引き起こす)」と女性に叫ばせているのが共通点として挙げられ、一方の猫には、どのようにゲームを楽しんでいるのかを喋らせている。上のツイートでは、「(『ドラゴンエイジ:インクイジション』で)ヒンターランド地方でエルフルートを集めてる」「『GTA』で交通法規を守るプレイに挑戦中」「『ファイアーエムブレム 風花雪月』でディミトリと5回連続でお茶会しちゃった」といった具合である。平和にゲームを楽しんでいるだけだと困惑を示しながらも、根底にはゲームが暴力を引き出すわけではないという主張があるように見える。

今回の銃撃事件にゲームを関連づける一部政治家のコメントに対しては、米国任天堂前社長Reggie Fils-Aime氏も反応。ゲーマーひとりあたりのゲームに費やす金額を国別に示したグラフと、銃による死者数を同じ国別に示したグラフを並べ、むしろゲームをたくさんプレイする国の方が銃犯罪が少ない傾向にあるとコメント。ただし、アメリカだけは例外であると付け加えている。

もちろん、国によって銃規制のあり方は異なり、また銃以外での死者数も考慮すべきという意見もあるだろう。ただ、ゲームによる暴力への影響を証明した研究結果はないため、ゲームと暴力との因果関係について肯定するような論調に対しては、ゲーマーの反発は強い。それがいま次々に投稿されている、ネットミームを使ったアクションに現れたのだろう。