『ファイアーエムブレム 風花雪月』の「名もなき門番」が国内外で人気博す。深みあるキャラづくりがもたらす愛着

 

『ファイアーエムブレム 風花雪月』では、これまでの作品以上にキャラクターがプレイヤーを魅了している。重要なキャラクターはもちろんのこと、意外な脇役に熱烈な人気が集まっている。今コミュニティで熱く支持されているのは、学園生活をおくるガルグ=マク大修道院の入り口にたたずむ「門番」だ。

大修道院に入り市場を抜け玄関ホールの手前でしばしば目にかかる門番は、単なる門番である。NPCのひとりにすぎないのだが、とにかく突き抜けて明るいのである。基本的に前向きで、挨拶はうるさいほど。そして、プレイヤーにやたらと助言してくる。また詳細を述べるのは控えるが、学園生活が進むにつれて、彼自身の言動も変わっていく。真面目な姿勢を貫き、時に人間らしくおどけたり、落ち込んだりもする。なんとも共感できる愛すべきキャラクターなのだ。

何度も繰り返すように、門番は名もなきNPCなのだが、『ファイアーエムブレム 風花雪月』のほかのキャラクターにもれず、テキストはフルボイス。声を聴けることにより、存在感が感じられる。それでいてブレないキャラクター性があり、プレイヤーに寄り添うような言動を見せる。本作は、学園生活と戦場というテーマからもわかるように、重々しい雰囲気の時も多々ある。この門番のまっすぐさに惹かれるプレイヤーは国内外多くいるようだ。

国内でもTwitterで「風花雪月 門番」と検索すると大量のファンが発見できるほか、国外でも多くのファンをつくっており、幅広いファンアートが生み出されていることをPolygonが報じている。特定キャラがこの門番を真似するというシーンもあり、ゲームの世界での門番の存在は認知されているようだ。これほど濃く愛されているNPCであるが、門番はスカウトして引き入れることが不可能である。そうした葛藤が、ファンアートを数多く生み出しているのかもしれない。

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強調したいのは、この門番は決して例外的なキャラではないということ。多くのキャラクターが魅力的であり、その中のひとりであるのだ。『ファイアーエムブレム 風花雪月』においては、学園生活が主軸に置かれており、スキンシップの機会が多く、キャラクター関連のテキストが支援会話以外でも大量に存在している。共に日常を過ごすということで、キャラクターのさまざまな一面を見ることができるほか、ADV好きの筆者の主観となってしまうがテキストも良い。キャラクターひとりひとりの性格が一貫しており、細やかな心理描写などにより重厚なキャラクターづくりに成功している。しかもそれらのテキストはフルボイス。門番は特別な存在ではなく、こうしたキャラづくりのよさがNPCという部分にまで及んでいるという好例といえる。

『ファイアーエムブレム 風花雪月』においては、そのほかにも多くのキャラクターがネットミーム化しているが、検索にかけるとネタバレを食らいかねないので要注意。その点門番は、最序盤からその魅力がわかるキャラクター。彼の存在を認識していた人もそうでない人も、ぜひ積極的に話しかけその魅力を確かめてみるといいだろう。